《初めての》錯する心21
「普通は歩いてるときにするんだから、こうでしょ? ほら、握ってみて」「お、おう」
小さくて華奢な奈緒の左手を右手で握ってみる。なるほど、これは破壊力がある。心臓が暴発しそうだ。この大量のり気は僕の手汗であろう。
「これじゃ、友達繋ぎね。人繋ぎをしなくちゃ」「どうするんだそれ?」「こうよ」
僕の手汗には意を介さず、つなぎ方を変える奈緒。掌同士でする握手が友達繋ぎと言うなら、奈緒がいまするこの指と指の間に互いの指を絡める手のつなぎ方は人繋ぎと言うらしい。その形から貝殻繋ぎともいうらしいが。
「こ、これは、なんともエッチな!」「ば、ばか! 変なこと言わないの」
とは言いつつも奈緒の顔もこの人繋がりになってから赤くなった気がするし、僕から視線をそらしている。かすかに、手汗の量も増えた気がする。
「すまんありがとう、変な汗でちった」「本番が思いやられるわよ」
ベットりと濡れた手を自分のTシャツで拭き取り、奈緒の手もついでに拭いてやる。
「もういいわよ。別に汚くないし」「いやいや、今の汗はいろんな思いが詰まってるから匂うかもよ?」「そう? 別に何もじない」「ぐふ、普通嗅ぐかよそこで。まったくはホント可いな」「かわいいとかいうなし! いうなら春香に言いなさい」
ぷいっとそっぽを向かれる。ホント可いな。こんな子が僕の馴染で本當に良かったと思う。こんな頼もしい子が僕の味方で路を応援してくれているのだ。心の底からやる気がみなぎってくる。
「よし! やるぞ! 頑張るぞ!」「……、みやび」「ん? どした?」
明日の覚悟を決めた僕をか細い聲が呼ぶ。
「いや、その、なんでもないんだけど。一つだけあたしのお願い聞いてくれる?」「いいよ? 奈緒のお願いならなんでも聞くぜ」
初めてこんなことを言われた気がする。その真面目な顔はし哀愁が漂っているようにもじた。
「もし、今後、春香と上手く言ってもあたしのこと、忘れないでね?」「は、忘れる? そんなことあり得ない。何言ってんだよ」「絶対忘れない? 約束できる?」
寵する弟が旅立つのがしいお姉ちゃん、そんなじであろうか。小指を出してきた奈緒はどう見ても寂しそうである。
「約束する。絶対に奈緒の事は忘れないし、僕の大切な馴染は奈緒だけだ」「うん、絶対だよ」
指切りげんまん。僕たちは約束した。それがどういう意味なのか。僕には分からないが、きっとあたしのこともしはかまってよ。そんな意味合いだと勝手に解釈して僕は小指をしまう。
「じゃあ、あたしも明日の準備あるし帰るね」「あ、雑誌忘れてるぞ」「ありがとう」「で、どうするんだ」
窓辺に歩き出した奈緒を呼び止めて、ベッドに置き忘れていた演劇系の雑誌を奈緒に手渡すついでに、その雑誌に関連することを質問する。
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