《初めての錯する心22

「わかんない、興味はあるんだけど」「たしか、うちの學園結構有名だよな? そこの部長に聲かけられたんだろ? すごいじゃないか」「どうして聲かけられたか分からないんだよね。確かに興味はあるんだけど、どうしてあたしなんだろ」

奈緒が演劇に興味を抱いたのは、高校一年の秋だとか。文化祭の出し育館を貸し切っての公演に銘をけたと當時、興気味に話していた。

それから、奈緒はしずつ演劇への道を歩もうと雑誌を買ったりして知識を得ているらしい。が、部活にるまでには至っていない。

「誰って言ったっけ? あの部長」「木村きむら竜人りゅうとさん」「あ、そうそう。僕らと同い年なのにすごいよな」「將來を約束されたホープって言われてるからね」

って、よく見ると奈緒が持つ雑誌の表紙は件の男であった。このイケメンが僕と同い年手でもう將來が約束された大スターだもんな。世界も不平等である。

「僕が出來ることあったら協力するから、頑張ってみろよ?」「そうね、みやびも頑張ってるんだもの。あたしも前に進まないといつまでもこのままじゃ笑われちゃう」

誰が笑うっていうんだ。奈緒は自嘲気味にそう言い殘し向こうの世界へと行ってしまう。

「あ、臺ありがとね。おやすみ」

両部屋を繋ぐ踏み臺が揃ったことで奈緒の移は斷然容易になった。今日服と一緒に買ってきたのを速攻で設置しておいたのだ。

「おう、おやすみ」

カーテンを閉める前に奈緒は笑った。どこか憂いのある、そんな笑みであるように見えたが、演劇の事を考えているに違ない。奈緒もまた新しい一歩を踏み出す勇気を蓄えているのであろう。

翌朝、僕はまだ夢の中にいた。そう、あの夢を見ているのだ。ワンワンと泣きじゃくる三人の子、今日も三人はひたすらに泣いている。どうして、三人が泣いているのか。答えは見つからないし、この夢を見る意味もいまだに解明されていない。

でも、僕は新學期を迎える一カ月前から、この夢を頻繁にみるようになった。厳に言えば、二月二十九日からである。かれこれ二か月間、僕はこの夢を見続けているんだ。意味が分からないだろ? 男の子と二人のの子が、無我夢中、がむしゃらに、ただひたすらに泣きんでいるんだ。

ここまでくると狂気すらじる。名前どころか、そもそも顔も見えない子供が僕の目の前で泣いているんだ。背中合わせになって。

聲を掛けても僕の聲は聞こえていないのか、それとも出ていないのか判斷つかないが、無視されている。暗闇の中、個々に発しているように闇に浮かび上がる三人は、僕の事も他の二人の事も意に介していない。

今日もこのまま時計のアラームが鳴る前に、自然と目を覚ますんだと思った。が、今日は目覚める前に、その夢に変化が訪れた。

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