《初めての》錯する心25
僕はその提案を快諾した。もちろんである。
「みやび、がんばりなさいよ。あたし、応援してるから」
その聲は、昔から知る馴染のモノである。僕が一番信頼しているの子の聲。ずっと近くにいたの子の聲。聞けば元気になる魔法の聲なのだ。
奈緒は言った。「私のこと忘れないでね」って。もう一度言うが、忘れるわけがないだろ。この底抜けに元気で、聞いた者に活力を與える太の聲を。
「任せろ! 奈緒も拓哉と楽しめよ」「うん。ちゃんと報告しなさいよね~」
きっと奈緒がいなければ僕は春香と友達になることはできなかったと思う。ましてや、二人で出かける事なんてもってのほかである。
電話口で眠そうな聲で僕を激勵する馴染に、僕はありったけの謝の気持ちを込めてお禮を伝え通話を終了させた。
本日は晴天。まさにデート日和なり。男――雅、本日想い人とデートして參ります。あわよくば進展させてみせまる。もしかしたら……、なんてこともあるかもしれない。それはデートが始まってからのお楽しみであり、予定時刻まで二時間もある現時點では、どうなるかなんて見當もつかない。でも。今日、何かがく気がする。
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に浮かれる心にかすかな違和を覚えつつも、僕は生まれて初めてのデートに向けて準備を始め、春香を迎えに行くためにバスに乗ったのは待ち合わせ時刻の一時間前であった。
「雅、頑張れよ! 春香ちゃんには俺からも説明しておいた。今日は雅が春香ちゃんをエスコートするって。一応、俺が考えたデートプランを伝えるからそれを參考にしてくれ」
そう、拓哉からラインがきて今日のスケジュールがこと細かく記されていた。デートプランなど考えたことがない僕としてはすごく有り難くそのまま使わせて頂くことにした。
「俺が考えたって春香ちゃんにはいうなよ? あと、俺と奈緒ちゃんのことは気にせず、最後の合流場所は來れたらでいいから」
來れたらで良いとはどういう意味だろうか。バスに揺られながら一考する。
合流場所は夕方五時に桜ノ宮スカイタワー4F正面エントランスである。そこから四人で晩飯を食べに行く計畫だと言う。が、“來れたら”となっている。これない理由とは?
「カップルになれたら、そのまま二人でどこかにいけよ。そこからはお前の判斷に任せるもちろん、夜の仲良しこよし――」
まあ、そう言うことらしい。奈緒もその辺を考慮していたが、僕が春香に告白する可能は極端に低い。なぜなら、そんな度がないからである。単純明快でしょ?
車のアナウンスが春香ん家の最寄りのバス停名を告げる。
「拓哉はどうするんだよ?」「俺は、まあ、するつもりだ。覚悟はできてるからな」
GWを楽しむ家族連れの楽しそうな聲が溢れる車で、僕は攜帯を見つめてやるせない気持ちになってしまった。
「僕は、まだできないよ。自信ないし」「自信か。確かに俺もないよ。でも、言わないと変わらない関係ってのもあるんだって気が付いた」
吹き出し形式で言葉が表示されるせいもあり、いやにポップで軽く見えてしまう拓哉の文面。
「俺は変えたいんだ。今の関係を、じゃないと俺が前に進めない気がする」「どういう意味だ? 言ってることが分からない」「いつか話す。きっと雅には言った方がいいと思うから」
そのメッセージが最後であった。それに僕が「今でもいいじゃん」って返信したが既読がついただけであった。
「あ、雅君!」
停留所に著きバスを降りると待ち合わせ一時間前だと言うのに僕を待っているの子がいた。
その子は全に刺繍が施された純白のレースワンピースをに纏い、頭には青いリボンが取り付けられた白いつば広帽を被っている。誠に、良家のお嬢様と言った様相である。漆喰の様な艶のあるロングの黒髪と全の純白が相まって余計に彼の清楚が際立っている。そう、彼はもちろん春香である。
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