《初めての解き明かされる過去01

クラスメイトがGW中に拓哉に何が起きたかなんて知る由もなく、特に子が心配そうにムード―メーカーの様態を福田先生へ質問していた。

「すまん、詳しいことは分からない」「分からないって先生擔任でしょ? 親さんに聞けばいいじゃないですか~」「いや、最近は何かと個人報がどうとかで第三者には教えられないんだよ」「なにそれ~私たちは他人だって言いたいんですか」「そうではなくてだな」と、大人の事を察しない教え子に福田先生は困してしまっている。昨今、個人報保護法なるものが施行され、うかつに個人報を何かと矢面に立たされることが多い教育機関が洩させたらどうなるかなんて、子供の僕にでも分かる。が、子が聞かなければ僕が問いただそうと思っていただけに、出鼻を挫かれてしまった。「みやび、なんか聞いてないの?」「……、私のお弁當のせいで拓哉君院しちゃったんだよね?」「いや、僕も何も知らないんだ。春香が気に病むことはなにもないよ。拓哉はそんなにじゃない」「そっか……」

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春香の様に食あたりを気にしたところでそれが問題で院したとは考えにくい。現に同時期に同じモノを拾い食いした僕がこうしてピンピンしているのだ。の作りがしっかりしている拓哉がよもや食あたり程度で院するとは思えない。そもそもその程度なら、音信不通になることなどあり得ないのだ。

予め開いていた僕のスマホ。既読すらつかない起畫面に皆が視線を落とす。

「ごめんね、みやび。私がちゃんと拓哉君の気持ち考えてあげていれば……」「……、拓哉から話は聞いてるよ。奈緒の過保護も度を超えてるとは思うけど、あれはどう考えても向こうが悪い。拓哉がいなくても僕らは最初から狙われていた」

思い出しただけでも怒りがこみあげてくる。思わずまた握りこぶしになってしまう。

「暴力はダメよみやび。あんたらしくないわ」「でも、あいつら、本當に拓哉と同じスポーツマンなのかよ! あり得ないだろ!」「それはそうだけど」「奈緒は我慢できるのかよ? 拓哉のことあれだけコケにされて、奈緒は黙っていられるのかよ!」――、やり場のない怒りを機にぶつける。「出來るわけないじゃない! あたしだって拓哉君のこと大切な友達だと思ってるんだから! でも! でも……、私には何もできなかった……」

僕の怒気に発された奈緒の怒號に、次の授業の準備をしていた雑音、喧騒とした空気がピタリと止まった。

「すまん、別に奈緒を責めるてるわけじゃない」

不穏な空気を察してか、そもそもそのムードメーカが不在だからなのか。教室の空気が一段と重くなる。なんとなくみんな薄々じているのだろう。WG中に仲良し四人組に何か問題が起きたことに。

「どうしたの? 三人とも?」「あんたたちらしくないわね。今日は拓哉のお通夜でもあるのかしら?」「會長と千春さん、えっと……」

クラス委員長である會長と何かと頼れる千春さんが僕らのしょげたってきた。

「実はさ、GW中に――」

話すか迷ったが、僕からGWのことを二人に打ち明けた。

「なるほどな。そりゃ、心配になるわな」「ぶん毆っちゃえばよかったじゃないの。向こうが悪いんだし、暴力沙汰にして無期限活停止にすればよかったのよそんなの」「そんなこと拓哉がするわけない。元は同じ釜の飯食べた仲なんだよ。だから、僕を止めたんだ、あれだけ一方的に言われても我慢したんだ。膝悪くして辭めざるを得なかったって言ってたのに……」「それに、あそこでみやびが手を出してたらきっとみやびもタダでは済まなかったはずだわ。拓哉君はサッカー部もみやびもどちらも救ってくれたんだよ」

さすが拓哉である。普段チャラチャラしときながら、そこまで考えていたなんて想像もつかなかった。男として、もっと見習うべきところが、彼にはあるのだ。

そんな彼に、僕も奈緒も春香だってもう一度會いたい。あんなやりきれない気持ちのまま長時間會えないなんて心が耐えきれない。どうにかなってしまいそうだ。

「じゃあ、會長として俺から一つアドバイスをやるよ」「これは?」「拓哉の元クラスメイトの名前とそのクラスだ。もしかしたら、福ちゃんなんかよりよっぽど使える報持ってるかもしれないぜ?」

機の上に置かれていた僕の大學ノートにペンを走らせた會長がそんなことを言ってそのノートを手渡してきた。

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