《初めての》解き明かされる過去03
「誰? お前?」「お~い、優香ちゃん男が呼んでるぞ」
誰かの意志で分けられたかの様に、綺麗に前と後ろとで男で分かれた二年A組の晝休み風景。口付近で一塊になっていた男のグループから一つ頭がこちらを向くと、一斉に他の後頭部がこちらを向き怪訝な表をされた。男だけで何をしているんだと、表には出さない様に心のだけで悪態をつきながら教室の後方から慌てて駆け寄ってくるの子を待つ。
あれ、男子グループの中心にいるのは、奈緒が読する雑誌の表紙を務めていた木村竜人その人ではないか。男子からも絶大の人気を博しているのか。なるほど世間は不平等である。特にその背後にいる男三人が大事な寶石を見つめているとでも言いたげな視線を木村竜人に向けている。
――と、その更に背後の窓際でカーテンが風でなびくと同時に、ギターの音がどこからともなく流れてきた。
これは、我が敬するパンクバンドの最も売れた名曲のワンフレーズではないか。自分がどうしてわざわざ四つも教室が離れたA組に足を運んだのか失念しそうになる。目で音の出先を探り逆の中で窓際の席、ギターを抱える一人の男を見つけた。
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「あの、私が優香ですが、どちら様ですか?」「あ、えっと、僕はF組の雅って言います」
前報にあったように、サッカー部のマネージャーらしく髪をポニーテールに結ったし日焼けしたが、白いブラウスに栄える子がぎこちない笑みを見せている。
「真田拓哉のことでお話がありまして」「たーくんのことですか?」
ぐふ、なんとも可らしいあだ名である。拓哉が脇にいたら絶対にいじり倒している。が、ここはグッと堪えよう。
「その、長期院になったみたいで、何か知らないですか?」「にゅーいん? ……知りません。何も知りません私は」
ツンとした表でそういう優香さんは、見るからに不機嫌である。
「あの、拓哉がいた頃のサッカー部のことも聞きたいんですけど」「それも知りません!」「いや、でも、サッカー部のマネージャーなんだよね?」「そうですけど、知らないものは知らないんです」
おいおい、たーくんって特別な呼び方をしておいてその言はないんじゃないか。
あからさまな苛立ちが僕にまで伝播してきて、僕の聲にもしばかり怒気が混じってしまったのかもしれない。前列の席を占領する男子グループの中心人――木村竜人が口論になりかける僕らに制しの聲を掛けてきた。
「よさないか二人とも。とくに、雅と名乗ったそっちの男、レディーに対する態度が々出過ぎているぞ。知らぬと言ってるのだから、ここは潔く引き下がるべきではないのか」
獨特の言い回しがそれらしいと言えばそれらしく、瞬時にして僕はこいつが嫌いだと思った。なぜか知らないが、こいつとは友達になれないとも悟った。良く分からないが、第六がそう告げているんだ。
「……、急にごめんね。今日は出直すよ、何か分かったら教えてください」「……はい」
彼も彼で失禮な態度を取ったとじたのか別れ際はしだけ笑顔を繕った。
結局その週は、二度A組の教室を訪れたが、優香さんは「知らない」の一點張りで埒が明かなかった。サッカー部のマネージャーでありながら、拓哉と寺嶋の問題を知らないとは思えず、しつこく食い下がる僕に決まって木村竜人が苦言を呈してきた。
他の誰でもなく、の中心にいながらわざわざ、教室全に響くような持ち前の聲量で「いい加減にしないか、しつこい男ほど醜いものはない」って言い放ったのだ。
こっちとしては、不自然なまでに拓哉のことを拒む優香さんを問い詰めたいものの、我がクラスの會長とは違う空気で、教室全を掌握した木村竜人のせいで僕が悪者扱いされて半ば強引に視線だけで廊下へ押し戻された。
「もう、こないでください迷です」
ドアを閉めつつ優香さんはそう言い殘し向こうの世界に消えた。
その日も、その背後からギターの音が聞こえたが、もう僕はこの教室にくる気概がなくなってしまった。彼と語られたらいいなって思ったが、あいにく向こうは僕に興味はないであろう。
「トモキ~俺にもギター教えてくれよ」
そうか、彼がトモキと言うのか。會長がギター小僧と稱す、ギターの申し子が彼なのか。
喧騒に塗れる廊下に響くギターの音はどこまでも綺麗でどこまでも穏やかである。壁一枚隔てても明瞭な旋律が彼のギターの腕前を証明している。
こんな音を奏でる男は、一どんな人間なのだろうか。もし、機會があれば話がしたいものだ。なんて、思っていたが予鈴にせかされてその場を急いで後にするのであった。
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