《初めての》解き明かされる過去04
「今日もダメだった」「絶対拓哉君のことなら何でも知ってそうなのにね」「でしょ? たーくんなんてこの歳になっても呼ぶんだぜ? むしろ、優香さん自も絶対院の真相を知りたいと思うんだけど」
放課後、道草をすることなく真っすぐ帰宅することが多くなった僕と奈緒は、今夜も僕の部屋で作戦會議をしていた。奈緒は春香もうべきと言っていたが、春香の気に病みようは相當なものである。ここでまったく進展がないと言ってしまったら、もっと自分を責めるに違いない。腹痛で院じゃないことだけは、會長に何かを言われて協力的になった福田先生から裏に手したので間違いない。
どうも、古傷が痛むとかで検査院しているらしいのだ。
「例の膝のケガってやつ? それで院にまでなるものなの?」「もしかしたら治るのかもしれないとか?」「それだったら、なんで連絡の一つもよこさないのよ? しかも、あんなことがあった後よ? 不自然過ぎない?」
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確かに。もし、仮にも膝の怪我が完治するのであればそれは朗報である。僕らににする理由がない。ならば、疑うのが當然である。GW問題が発してからの謎の長期院。原因は膝の痛みときたら、暗にサッカー部との問題を指していると言っているようなものだ。
だから、次の作戦を考案し実行することにした。
「サッカー部に乗り込む」「正気なの?」
正気も何も、大真面目である。原因はどこにあるか考えたら、元兇はすべてサッカー部にある。あいつらが現れてからすべてが狂い始めたのだ。僕らの知らない過去が原因であんな事件が起きたのだ。ならば、僕から打って出るしかないだろう。
拓哉と寺嶋の確執を暴くには敵地に乗り込むほかに方法はない。
僕が力強くうなずくと奈緒が呆れた様にため息を吐き出した。
「まったく、あんたは本當に友達のことになると一生懸命ね。でも、そこがあたしはすごく好きよ。頑張って來なよ。もし、ダメならあたしと春香でめてあげるから」
なんとも頼もしい限りだ。負け戦でも勝利が約束されているとはこれいかに。俄然やる気がわいてくるってものだ。
「でも、無茶は止めてね? ダメになる前に帰ってくることが條件だから」「おう、任せろ! 奈緒との約束はいつでも守ってきただろ?」「うん、そうだね。絶対、みやびは約束守るもんね」
奈緒がいるから僕は頑張れる。奈緒の為ならどんなことも出來る。そうだ、奈緒が拓哉を思ってくれる以上、僕は全力で拓哉をまた奈緒の前に立たせて見せる。
そうかに誓い、次の日の放課後僕は因縁のサッカー部のグランドを訪れたのであった。
スポーツ特待生科。在籍人數はざっと千人を超える。誰もが將來を期待されたアスリートであり、將來のスポーツ界を擔うスーパースターなのだ。
我が學園が有する種目はサッカーを始め、日本のお家蕓である道、野球、水泳、弓道卓球から徐々に力を付けてきたバドミントン、バレーボール、バスケットボール、式テニスなど日本人選手の活躍が待ち遠しいスポーツにも力をれている。
その多彩の競技の中でも、我が學園が一番期待を込めて選手の育を推し進めているのが件のサッカー部である。昨今低迷が続くJリーグにも何人もの生徒を送りとどけ、また送る準備を著実に整えている。強豪校と呼ばれるようになって早十年、いまではどこの教育機関よりも人員を確保し、確かな指導と育を行っているからこそ、広大な専用練習場で練習できる部員は部できただけでも相當の実力があるのだ。
我が學園のスポーツ特待生科に學するだけでも一苦労なのだから、サッカー部の一員になれた人間は誰もが優秀と言えた。人間は置いといて。
それが、學園一広大なグランドを所有し指導員だけでも五十人は存在し晝夜、天候、溫度関係なしに萬全の態勢で練習に打ち込めるサッカー部の姿である。今月は泊まり込みだと言うのだから、気合いの要りようが他とは違う。誠に気合いとが必須の世界は萬年帰宅部には理解しがたい。
こんな巨大な組織に僕は一人で挑もうとしていると、眼前で怒鳴られているサッカー部員をフェンス越しで見て、気が滅りそうである。
「あ、いた、おーい優香さん!」「……、なんですか? ここは部員以外立ちり止ですよ?」「どうしても、気になるんだよ」
キャリー付きのカゴにったサッカーボールを運んでいた優香さんに聲を掛けたものの、あからさまに不機嫌な顔をされた。
「しつこいですね、私は知らないって言ってるじゃないですか」「なんでそこまで、拓哉のことを拒絶するんだよ」「そんなの、あなたには関係ないです。それに、拒絶したのはたーくんの方だし……」
フェンス越しのせいもあり、気がかりなことを呟いた優香さんをそれ以上呼び止めることが出來なかった。
note+ノベルバ+アルファポリス+電子書籍でエッセイ、小説を収益化しつつ小説家を目指す日記
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