《初めての告白の先に見えたあの日の約束40

その日は生憎の雨。梅雨に突したのだから當たり前と言えば當たり前である。とても外に出て元気よく遊び天候でもなければ、園庭も最悪のコンディション。そうなれば、自ずと室での遊びをする訳で、ある意味では春香との特訓の果を披するにはうってつけであった。

だが、と言えば障害が付き、集合時間の十分前に母園に到著した僕を待ち構えていのは、春香の羨の眼差しと言えばいいのか、熱い眼差しを注がれ照れくさそうにギターを肩に持った同じ班のあの男であった。

「やっぱり朋希だったんだ。ギター辭めてなかったんだね。良かった」「そりゃ、辭める訳ないじゃんか。春香が泣きべそかいてる時でも、ケロっと笑顔を取り戻せるあの曲だって今でも弾けるぜ」「も~! いつの頃の話ししてるのよ! も~そんな簡単には泣きませんよだ!」

桜ノ宮第一保育園の玄関前で仲睦まじくそんなやり取りをするお二人さん。とても仲がよろしい様だ。まるで僕と奈緒のやり取りを投影している様で、ただ事ではないことを即座に察知した。

「おはよう春香!」「あ、みやちゃんおはよう!」「……、うっす」「……どうも」

悪天候にも負けずいつもの笑顔にさらに三割増しで花を咲かせる春香の脇に立つ男が、あからさまに笑顔を消してまるで親の仇とでも対峙するかのような、殺意とも取れるとても熱烈な眼を向けてきた。

春香と話していた時の笑顔が噓のように消えたその面構え。まさしくこいつは僕の敵である。さすがの僕でも八方人な誰にでも自分をよく見せようとする態度は取れず、歯には歯を目には目を的な神でぶっきら棒に挨拶を返した。

「あ、そうか! 二人は初対面だったね。よかった、私も二人には友達になってほしいと思ってたの。ううん、絶対仲良しになれる! だって二人は似ているもの!」

僕と寺嶋朋希の音もなく始まった敵対関係は、僕だけが一方的にじている訳ではなかった様だ。春香のその発言に真っ先に反論したのは彼の方であった。

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