《初めての告白の先に見えたあの日の約束47

その日はそうやって過ぎて行き、初日は僕の快勝と言うべきか。お晝の時間を癒しの一時に格上げされた時はヒヤッとしたがその後は再度手遊びで盛り返した。帰り際、朋希の背がし小さく見えたのは、お得意のギターの腕前を披することが出來なかったからであろう。

生憎の雨模様を利用して、室での時間を見越して持參したに違いない。策士策に溺れるってもんだ。それ以外の手を考えていないなど愚の骨頂。こちとら特訓してきたんだ。簡単には足もとすくわれないぞ。自分も手遊び以外は準備していなかったことをすっかり忘れていたことは緒である。

今はこの傘に當たる雨音も心地いい程だ。

「どうしたの? なにかいいことでもあった?」「へへ、どうかな~有ったと言えばあったかな~」「え~なになに? 教えてよ」

一人通學路が違う朋希の姿が曲がり角に消えるまで手を振っていた春香が、傘の隙間から僕を見上げてくる。

優越もあり普段より一層ニヤケ面がひどかった僕に春香がずいっと肩を寄せて興味津々の顔をする。そんなに近寄ってきては周りの目が気になってしまう。そう「あ~カップルがイチャイチャしてる」って冷やかされても仕方がない。

周りを巡視するが雨腳が強まる午後五時、迎えの保護者も絶えて園庭には人影はなかった。

~、春香と一緒にいられて楽しかったってことだよ」「ちょ、そんな恥ずかしいことそんな笑顔で言わないでよ……なんだか恥ずかしい」

このまま相合傘でもして帰ればどう見ても正真正銘のカップルに見間違われる程の雰囲気。良いムードってやつが周囲に漂っている。

「だって、離れ離れだった馴染がまたこうして同じ時間を一緒に過ごしてさ、楽しいって思えるんだよ? これって運命だと思うんだ」

我ながら運命って言葉まで使ってキザすぎると発言してから後悔したが、春香の瞳がとても嬉しそうに爛々と輝き、春香特製の天使スマイルを見せてくれた。

「私も嬉しい。今、とても幸せだよ。三人でこうして一緒に居られるなんて夢にも思わなかったし」

スキップする様に歩きだした春香の背を追いかけて園を後にする。

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