《初めての告白の先に見えたあの日の約束48

「もっと二人も仲良くなってね」

僕が伝えたかったことがどう伝わったのか分からないが、春香の弾けんばかりの笑顔を見たら朋希とのことなんてどうでもよくなってきた。僕には僕のやり方で春香と距離をめればいいんだ。

「そうだ、春香に聞きたいことがあるんだ」「なにかな?」

おニューのお気にりの傘をさしてテンションが高い園児の様に、軽やかな歩みを見せる春香に僕が急いで歩幅を合わす。沿道のアジサイにカタツムリとアマガエルが仲良く並ぶのを発見してご挨拶をしていた春香に、朋希が言っていたことの真偽を確認する。

「二人は馴染なの?」「うん、そうだよ? 話してなかったっけ? 小學二年生の頃から一番仲良かったのが朋希だよ」

初耳も初耳。衝撃的過ぎてドッと疲れが溢れる。

なるほど、そうなると春香に歌を教えたのも朋希になるのか?

「せいかーい! ダイゴロウさん――朋希のお父さんの趣味で小さい頃から弾いてたみたいで、転校したばかりでまだ友達もいなくて寂しい思いしてた私を元気づける為にいろいろ弾いてくれたんだ。懐かしいな~あの時、朋希がいてくれて本當に良かったよ~」

僕が奈緒と一緒に居た様に、春香だってそりゃ誰かと一緒に楽しいひと時を過ごしただろう。それの相手が朋希であるのが大きな誤算であるし、クラス替えの日、誰もが嫉妬した「春香にあんな表をさせる」人間が寺嶋朋希だったんて誰が予想できたか。

「そ、そっか。じゃあ、春香にとって朋希は大切な存在なんだ?」「うん。みやちゃんが奈緒を大切に想う気持ちと同じくらい、私も朋希を大切に想ってる」

それはほとんどの告白に近いと思うのだが……。

発言者である當の春香はそれに気が付いていないようで鼻歌を歌いアマガエルとカタツムリ、雨でしっとりと輝くアジサイをでている。

「確か、最近はあまり話せてなかったんだよね?」「そうなんだよ。中學生の頃からしずつ他人行儀になってきて、気が付いたら話もしてくれなくなっちゃって……。でも、もう大丈夫だと思う。私との約束覚えててくれてるみたいだから」「約束って?」

中學時代と言えば思春期。異を気にして自分らしさを失う期間ではないか。僕も可子に話しかけることを躊躇うあまり、三年間一度もついには言葉をわすことが出來なかったがいたほどだ。朋希が春香から距離はそのせいじゃないだろうか?

それよりも約束ってのはなんだ? また馴染同士の大切な約束ってやつか?

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