《初めての告白の先に見えたあの日の約束49

「大きくなったら二人で一緒に夢を葉えよう。お互いのことなら、例えおじいちゃんおばあちゃんになっても一緒に頑張るって約束したんだ。だから、朋希が今日私の夢の為に一緒に居てくれたことが本當にうれしくて……、私も絶対朋希の応援をしようって思うんだ」

なんてロマンチックな約束だ。小さい頃からお互いをそこまで思い合うことなんて普通出來ない。もし、そこまで自分の人生を相手の為に浪費出來るって言うのなら、それはつまり――。

「春香は、その、朋希のこと……」「ん? 朋希のことがなに?」

その先を聞けるはずがない。朋希が好きなの? なんて怖くて口に出せない。口に出して真意を確かめたら、僕のこの気持ちがどうなってしまうかなんて明らかだ。

下手な僕でも分かるさ、春香が朋希にどんなを抱いているかなんてさ。尊敬や憧れを通り越した、すなわちってやつがなからず春香の心にはあるはずだ。

それを認めたくないから僕は必要以上に大きな作で顔の前で手を振る。

「いや、なんでもない。春香の大切な馴染なら、僕も仲良くならないとって思っただけ」

僕から話を切り上げて進行方向へを向ける。

僕の脈絡もない言や不審な挙に思考が追いつかないのか、首を傾いで何か言おうとしたが大人しく先を歩く僕に習って春香もアジサイから離れてまた軽やかに歩き出す。

とてもじゃないが心中穏やかではない。アジサイの緒ある佇まいや心地よい雨音、春香のき通った聲の鼻歌。とてもじゃないが楽しんでなどいられない。どうにかしてこの不測の事態から起死回生の策――悪あがき的な作戦を編み出そうと一考する。

殘された時間は菅野家までの正味十分もかからない帰り道が終わるまで。春香を最寄りのバス停まで送り屆けるまでには、畫期的で、なおかつこの現狀を一発で打破できる妙案をひねり出さなければ――と思っていた矢先、苦悩して歩みを止めていた僕を追い越した春香が自ら右折するところを左折して僕んちの方へ進路を取った。

最寄りのバス停はそこを左だ。十歩くらい歩けばつく距離である。雨腳も強まりこんな悪路を遠回りする必要はない。

悪天候の中、お互い長靴ではなく防水が皆無なローファーである。僕の両足が不快な気に包まれているってことは、春香の靴も相當不快な狀態のはずだ。それも靴下を絞れば水たまりが出來てもおかしくないほどに。

それにも関わらず遠回りをする意味はなんだ?

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