《初めての告白の先に見えたあの日の約束50

もしかして、まだ僕と一緒に居たいとか? 朋希とは二人だけの大切な約束、他人には到底図り知れない只ならぬ想いとかあるけど、それをすべてひっくるめるくらい今日の職場験の効果は絶大だったってこと? あいつよりも僕に軍配が上がったと言うことなのか?

それならそうだ。妙案を思いついた。このまま家に來てもらおう。いつも僕をバカにする母さんをぎゃふんと言わせてやろうではないか! そして、そのまま味方につけ既事実を作ってしまおう。

あいつと春香はもう親公認の仲なんだって朋希に思させてやるんだ。そうすれば、春香がどんなに朋希の事を想っていてもなんの意味がないからな。朋希が春香からを引けばそれで萬事解決だ。

次なる策が決定し、これまで実の息子を「を知らないダメ男」「モテない男の日本代表」などとコケにしてきた母親に、どうやって効果的に日ごろの恨みを晴らそうか思案している間にも、手前にある奈緒の家が先に見え次に僕ん家が見えてきた。

到著まであと十メートルもないところまできて、歩きながらさも當然の様にこう提案する。

「母さんし怖いところあるけど、悪い人じゃないからさ、ご飯でも食べながら新しい手遊び教えてくれないかな?」「え? え、え~と」

當たり前の様に菅野家を目指していると思っていた分、春香の素っ頓狂な表と明らかに返答に困っている聲、どう見ても奈緒ん家の方へ流れる視線、それらを含めた一挙手一投足から、自分がとんでもなく恥ずかしい勘違いをしていたことを気が付かせてくれた。

が、時すでに遅し。春香の足はしっかり奈緒の家の門前で止まっていたのだ。疑い様もない勘違い。はなから春香は奈緒ん家に用事があったんだ。

「奈緒に用事あるから……、今日は遠慮しておくね。新しい手遊びは後でラインで教えるよ。必ず教えるから、その、気を悪くしないでね?」

火を見るよりも明らかに、言葉選びに気を使われている。

バカな男が恥ずかしい勘違いをしていたのを鼻で笑おうとはせず、次回は喜んでお邪魔しますってニュアンスを言葉に含ませている。それが逆に僕の恥心をさらに駆り立ててきて、普通ならこのまま僕も上がり込むところだが、全力で春香の申し出をれてそそくさと別れを告げ帰宅した。

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