が有ったらりたい。春香も最初から言ってくれればいいものをどうして何も言わず奈緒の家に向かったんだ。あんなの先週までの特訓の流れを考えたら、今日もこのままの特訓すると思ってしまうじゃないか。

そうでなくても、今日の反省會とか、明日の作戦會議をする可能だって考えられたはず。まあ、だったら朋希もうはずだが……。

「どうしたバカ息子？　あれ？　もしかしてご飯にったけど斷られたから逃げてきた？」

慌ただしく息子が帰宅したものだから玄関まで出てきた母さんが開口一番で的確に罵ってきやがった。

インドを彷彿させるスパイシーは香りが廊下に充満しているってことは今夜の晩飯は菅野家で一番味いと人気のカツカレーか。もしかしたら、僕がチームＦを食事にうかも知れないと予想していたのかもしれない。この人ならあり得る。

「ち、ちげーし。あ～腹減った！　お、今日はカツカレーか！」

だからこそ、そんなの勘が鋭い母さんに要らぬ詮索をされる前に自室へ退避。そのまま風呂にって晩飯を食べる事にした。

「あんたもしは青春しなさいよね。今週はそれなりの用意しておくから。えるもんならってみなさいよ」

最初から最後まで母さんは母さんらしく愚息を煽り、それでも息子の可能と懸命にをする姿勢を応援するべくそう言ったのだ。

好のカツカレーを二杯代わりしてその日は割かし早く就寢した。春香から來るはずのメッセージが來なかったのもあるし、疲れていたのもあり二十二時を回る頃には睡して今日のダイジェストを夢で観ていた。

奈緒の部屋に二つの人影が鼾をかいて眠る僕の部屋からも見えたのを、トイレに行きたくて目が覚めた時に気が付いたけど、それが何時だったのかも奈緒と誰がその時一緒に居たのかも考えもしなかった。

自分の溫もりで溫まり至福の空間と化したベッドに吸い込まれ、両親も寢て靜まりがける一階から十二回時計が「ボーン、ボーン」と鳴ったのを確認する。

「奈緒のやつまだ起きてるのか……ふぁあ、寢よ」

寢言に違いような獨り言をつぶやきまた夢の世界へと場するのであった。