《初めての告白の先に見えたあの日の約束55

朝からそんなじで二人組と単獨で行していたものだから、園児たちが登園してきてからも僕は何かと一人で作業することが多くなっていた。

雨で濡れる園児の足を拭くコンビと、雨靴と傘が散する靴置き場を整理する擔當。子供を相手するのはやはり一人よりは二人で、三人はいらないから誰がと言うこともなく僕が一人であっちこっちに散らばる長靴を、や柄、名前が書かれているなら同じ名前で一対になるように整理整頓することになった。

「あ、ちょっとひろ君! 冷たいって!」「ワンワンのまね~」「あ~つめて! 春香先生までびしょ濡れになるってそんなことしたら!」

そんな悲鳴にも近い聲が聞こえたと思い振り返ると、カッパを著用したまま犬がを振って濡れたを乾かすように全を振る男の子に、二人が水しぶきを掛けられているところだった。

「ホント悪戯っ子だなひろ君は~! メっ! だよ?」「ほら、春香先生プンプンだから謝らないとダメだよ~? こんな可い顔してるけど、怒ったらめちゃくちゃ怖いんだから」「あ~なにその言い方! 私そんな怖くないし、てか、朋希に怒ったことないし!」

普通なら大慘事で激怒されても言い訳のしようもない悪戯だと言うのに、春香はしっとりと濡れた前髪をどこかで誰かも使っていた貓のキャラクターが可い髪留めで止めると、朋希へ片頬を膨らませてお茶目な表を見せる。

「すまんすまん、ついつい意地悪したくなっちゃって」「すきな子にちょっかいだしたくなる歳ごろなんでしょ~?? 梅しぇんしぇーが言ってたよ」

ひろ君のその発言にドキッとしたのは僕だけではない。朋希の表も一瞬で固まった。どうも図星の様で柄にもなく聲を上ずらせて暴にひろ君のを拭き始めた。

「それは子供の時までだよ~? 確かに、その気持ちはオレも分かるけど、もうそんなガキみたいな態度取って疎遠になったりしない。いいかい、ひろ君もの子には優しくするんだぞ?」

春香が他の園児に気を取られているうちにそう訂正をれる朋希。やはり図星みたいだし、過去に好意が転じて悪い方向に態度を一変させたことがある様だ。

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