《初めての告白の先に見えたあの日の約束56

「朋希しぇんしぇーは春香しぇんしぇーがスキなの?」「うん、そうだよ。大好きだ」「そうなんだ、ひろ君も春香しぇんしぇー好き!」

好きのベクトルが違うと言うか、朋希が言いたいのはlikeではなく、loveの方だと敢えて指摘することではない。朋希はひろ君に微笑みを返した。

続々と登園してくる園児たちの聲で、教室はすでに電車が通過する高架下にいるような狀態だ。朋希のそれらの発言は聞き耳を立てなければ聞き逃していたであろう。

やはり朋希は春香が好きなのだ。しかも大好きなんだとか。春香に聞こえていないとはいえ、大膽な行に出たもんだ。

「どこが好きなの?」「ん? そ~だな~。優しくて思いやりがあるところは當然だし、ああ見えて頑張り屋さんなんだよ。寂しがり屋で人一倍甘えん坊なのに、パパに心配かけないためにも強がって家では泣かず、學校で泣いてた。無理して強い人間を演じてたんだ。そういうところ全部が可いんだよ春香は」「ふ~ん、よくわかんないけど、頑張ってね」「ありがとう」

自分でも子供相手に真剣に答え過ぎたと思ったのだろう。朋希は苦笑いに近い微笑みを浮かべ髪を乾かし終えたひろ君を友達の待つ教室へ送り出す。

「もしかして、聞こえた?」「子供相手によく言えたねそこまで」

応援の先生が到著し手の空いた朋希は次なる園児が自分の前に到著する合間、周囲の狀況を確認するためか視線を上げ、一部始終をガン見していた僕と目が合うことになった。

「いずれ本人も知ることになるんだ、誰に言ったってかまわないだろ。まあ、春香を狙っている人間が聞いたら心中穏やかではいられないだろうけどな」

今日からそういうスタンスで僕と対立する様だ。挑発的と言うか挑戦的と言うか。敵意を隠すことなく言葉と一緒に投げつけてきている。

そっちがその気ならこっちだって負けていられるか。

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