《初めての》告白の先に見えたあの日の約束76
背中の痛みが和らぎしだけ心地よくもじれる頃には、いつもの集合場所に著いていた。
今日は僕が一番。それもそうだ、バスで三十分も掛かる繁華街へ向かう拓哉たちの時間に合わせたのだからね。
昨夜の雨に濡れるシルバーの門扉に手を置き、そこに溜まった雨を絵を描くが如く指使いで一つ一つ繋げて遊ぶ。保育園生の頃、この時期になると「ここは僕の領土!」って一筆書きで繋げることが出來た水たまりを誇らしげに見下ろしていた。
「懐かしいね? 今でも私もたまにやるな~。はい、ここ私の領土~」
先に朋希が來たらどうしようかと不安になっていたがそれは杞憂に終わる。ワインレッドの傘を折りたたんだ春香がまだ手付かずの水溜まりを一つに纏めていく。
「覚えてたたんだこの遊び」「もちろんだよ。雨の日の定番の遊びって言ったらこれだもん」「誰が教えてくれんだっけ?」「ママ」
そうだ。梅雨のこの時季、元気が有り余って暴走する僕の気を紛らせる為に「ふふ、私の領土を奪ってみせなさい」って挑発的にこの遊びにってきたのは當時の擔任だった春香のママである。なら、春香がこの遊びを今でも覚えているのは當たり前か。
「あ~零れちゃった。領土小~、やっぱりみやちゃんは上手いね」
門扉の狹い幅ではある程度考えてから繋げないと簡単に溢れてしまう。春香が繋げた水たまりが一つの綻びから次々に流れ出てしまい、最初の頃よりも小さな水たまりが殘るだけとなった。
「上手くいかないな~。はあ~」
そこまで落ち込まなくても良いことなのに、春香は大げさにため息を吐き出す。
「なんかあった?」
さすがにこんな下らない遊びが原因だとは思えない。僕も育てた水たまりを敢えて溢れる様につなげると、濡れた手をそっと春香にバレない様に制服の袖で拭いた。
「……、あんまり二人仲良くないよね? なんでかなって考えてたら寢れなくて」
あくびをかみ殺すように口をまごまごさせる春香。どうやら寢れなかったのは本當の様で、問題の深刻さはその顔を見れば一目瞭然である。
「いや、そんなことないよ。普通だよ」「噓、拓哉君や會長さんと話すときと全然違うもん。強いて言うなら、最初の寺嶋君たちと接している時に似てる」「そ、そうかな~? ほら、僕人見知りだからさ~、拓哉と會長と比べるのはちょっと」
苦しい言い訳なのは自分でも分かっている。春香が怪訝な表を崩すことなく続ける。
「なら、今日は二人が一緒に組んで子供たちと遊んでね? 朋希にもそう言っておくから」「分かったよ」
春香がそれで怖い顔を辭めてくれるならお安い用だ。どうせ、今日晩飯にうんだから八時間早く行に移してもさほど問題はない。逆に、春香からそう言われたから仕方ないと言い訳もできるし、急に馴れ馴れしくしても朋希から怪しまれることもないだろう。
だから、春香から遅れて五分後に到著した朋希に「……、春香のお願いじゃなきゃ絶対いやだわ」って言い放たれても我慢して「そんなこと言わないでくれよ朋希君」って返してやったのであった。
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