《初めての告白の先に見えたあの日の約束77

今日の雅先生と朋希先生は気持ち悪いくらい一緒に行している。子どもたちからも「せんせー達今日は仲良しなんだね〜?」「仲直りしたの〜?」って聲を掛けれている始末だ。この三日間だけでも、僕らの関係がどれほど険悪だったのか園児達のその聲だけ聞いても想像が付く。

「ねえ、普段どんな曲聞いてる? 今度よかったら僕にも貸してよ――」

「そのギターかっこいいね? どこで買ったの? いくら位するの?――」

「僕も朋希君くらいクールでかっこ良くてギター上手い男になれたらな〜――」

これが全て僕の口から飛び出た世迷い言だと思うと吐き気がする。が、ここは我慢だ。春香と約束した手前、引くに引けないんだ。あと二日半耐えればこっちのもの。あとはクラスで春香を獨占すれば朋希に勝てるのだから。

半ば強引に自分を納得させ、びへつらう僕を気悪いモノを見る様な目で警戒する朋希と仲良くなろうとしている。

「いい加減にしろよ。なんだよいきなり。春香に言われたからって急に態度変えすぎ」

「親睦深めないとこの先苦労すると思ってさ。そんなに警戒しなくてもいいじゃん」

「お前となんて親睦深める気はない。春香の手前、しは我慢するけど、馴れ合うつもりはない」

前髪で上半分が隠れている雙眸からは相変わらずの敵意がこれでもかと溢れ出ている。多は春香のことを気にしている様な言はあるが、基本的には心を許さない。休憩時間に彼のギターを見ていたらそそくさと片されてしまったのがいい証拠か。

このままでは全面戦爭になってしまう。拓哉からのアドバイス通りにいかなくなってしまうだろう。

それ即ち春香爭奪戦の本格的な宣戦布告が近々行われることを意味しているわけで、子供たちと謡を歌う我らが意中の――小鳥遊春香が誰かの“モノ”になる日も近い事を意味しているんだ。

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