《99回告白したけどダメでした》17話
食事を終えた誠実と奈穂は、お會計を済ませ、帰路についていた。
會計の時、店員が誠実ではなく、奈穂が金を出したため、若干誠実を見て笑っていた。
そんなことがあり、誠実の今日の神的ダメージは大きく、もう限界に近かった。
「なんだよあの店員……まぁ、確かに男の俺が払わないのはけないけど……」
「もう、良いでしょ? 気にするだけ無駄よ、早く帰ってお風呂んなきゃ…」
「そうだな…俺も今日は々あったから、ゆっくりしたい……」
そんなことを話しながら、帰り道を並んで歩く誠実と奈穂。
(今日はびっくりする事とか、面倒な事とか、嫌なこととか、々あったけど……まぁ、良いか)
誠実がそう考えるのは、最後にこうして奈穂と、前のように普通に會話できているからだ。
言ってしまえば誠実の勝手な勘違いだったのだが、勘違いと分かったことが、誠実にとってはうれしかった。
「ねぇ……おにぃってさ……」
「ん?」
「彼って……居た事あるの?」
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「はぁ? んなもんあるわけねーだろ。今日も振られたし……」
「だ、だよね~、おにぃってモテなさそうだし~」
「うっせぇ!」
(こいつ……また俺をからかって遊んでやがる……)
そんな事思いながら、誠実は何とか反撃出來ないものかと考える。
「お前はどうなんだ? 好きな奴とか居ないのか?」
「は、はぁ?! い、居るわけ無いでしょ……」
(お! 揺したぞ!! これはもしや…)
怪しい反応をする奈穂に誠実は、さらに追い打ちをかける。
「怪しぃなぁ~、もしかして俺の知ってるやつかぁ~?」
「うっさい! バカ! ストーカー負け犬男!」
「ぐはっ!! お、お前……言ってはならない……事を……」
誠実は追い打ちをかけるどころか、奈穂からカウンターをけ、神的に大きなダメージを負った。
もう奈穂をからかうのはやめよう、誠実はそう思いながら、再び自宅までの道を歩き始めた。
*
夜の九時過ぎ、私はいつものように部屋で読書をしていた。
私はこの靜かな時間が好きだった。
誰からも何も言われず、一人で落ち著いていられる、この時間が……。
「はぁ……終わっちゃった……」
本を読み終え、私は背中をばして立ち上がる。
ふと窓の外を見ると、星がきれいで、なんだか穏やかな気分になれた。
「今日の告白は……なんだかいつもと違ったわね……」
私はいつものように、伊敷君からの告白をけた。
しかし、今日は事がし違った。
「まさか……あんな現場を見ちゃうなんて……」
伊敷君は家庭科室で、とある子生徒から告白まがいの事を言われていた。
そんな現場に私は居合わせ、二人きりになったときは、思わずなんと言って良いやら、分からなくなってしまった。
「はぁ……ほんと、なんで私なんかを……」
私は訳あって、男とお付き合いができない。
そのため彼の告白もすべて斷って來た。
前から良く告白されることはあったが、99回同じ人からの告白というのは、初めてだった。
「まぁ、普通に考えて異常よね……」
しかし、私は99回の告白をけ続けることで、多なりとも彼の格を知っていた。
彼の告白に付き合った理由の一部は、そこにあった。
彼は決して怒ったり、振られたからと言って、私の悪評を広めたりなどの事をしなかった。
中學時代は、そのせいで噓の噂が流れてしまい、ほんのちょっと面倒だった。
彼は、確かにしつこかった、しかし、同時に優しかった。
「気がついて……ないよね……」
私が彼の告白を斷り続ける大きな理由は、他にある。
「伊敷君がこれを知ったら……怒るんだろうな……」
私は飲みを取りに行こうと部屋を出て、キッチンに向かう。
この家は、私以外には誰も住んではいない。
両親とは離れて暮らしており、今はこの無駄に広いマンションに一人で暮らしている。
ハッキリ言って私の家は、結構裕福だ。
娘一人のために、最新のオートロック機能が付いた、高級マンションを借り、そこから學校に通わせてくれる。
母は早くに他界し、今は父親だけ。
その父も別に厳しい人ではなく、溫厚で優しい人だ。
「はぁ……明日の彼は、どんな風に告白してくるのかしら……」
私はそんなことを考えながら、冷蔵庫から出した麥茶を飲み干す。
「きっと……諦めなんて、ついてないわよね……」
これまでの彼の行を考え、自然とそんな結論に至る。
そろそろ彼に本気で私の事を諦めてもらわないといけない。
そうしなければ、彼は折角の高校生活を無駄に消費してしまう。
「やっぱり……キッツイこと言わなきゃダメかしら?」
私は麥茶をしまい、部屋に戻って行く。
部屋に戻ると、私は機の上に充電中だったスマホを手に取り、作し始める。
「……はぁ~」
メッセージが來ていないかや、SNSを確認し私は直ぐにスマホを機に戻す。
「伊敷君って……モテるのかしら?」
自分で振っておいて、何を不思議がっているのだろう?
まぁ、確かに99回も告白をしてきた相手だ。
正直気にならない訳が無い。
しかし、そこに的ながあるわけではない、ただ知っている人だから、という理由でのただの興味だ。
「まぁ、私には関係ないか……そういえば、お禮……言えなかったな……」
本當なら、この前助けたくれたお禮を今日言うはずだったのだが、々あって結局言えていない。
「明日にでも言おう……」
私は明日になれば、また言う機會があるだろうと思い、そうつぶやく。
そんな時、機の上のスマホが音を立てて震え始めた。
私はスマホを手に取り畫面を見る、そこには父の名前があった。
「もしもし、お父さん?」
お父さんからの電話だった。
私が襲われた事を伝えたら、心配して電話をかけてきた様子だった。
「うん……多分……え、大丈夫だよ、私は一人で……うん……」
電話越しに、父からの心配そうな聲が聞こえてくる。
心配をかけてしまったと思いながら、私はお父さんとの會話を続ける。
「え? うん……その話はまた帰ってからしよ……大丈夫だよ。彼氏なんて居ないよ……」
私はそう言いながら、なぜか彼の顔を思い出してしまった。
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