《99回告白したけどダメでした》20話
「はぁ……なぁ、どうするべきだと思う?」
「何がだよ?」
「だから、昨日の部長の件だよ…」
「だから言ったじゃねーか、し待ってもらえよ。お前、まだ気持ちの整理も何もついてないだろ?」
実際、誠実の中では、まだ綺凜を好きな気持ちは変わらない。
諦めはしたが、それはまだ昨日今日の話であり、そう簡単に次のには行けない。
「うーん……やっぱりそれが良いのかな……でも正直、そのあとって絶対気まずくなるよね?」
「それは振ったとしても一緒だろ? むしろ、振ったらもう一生元の関係には戻れないかもなぁ~」
「い、嫌なことを言うなよ……でもそうだよな……はぁ……どうしよ」
告白の返事を待ってもらうのもなんだか気が引ける、かといって斷るのもなんだか違う気がする誠実。
実際、誠実は自分が沙耶香の事をどう思っているのか、よくわからなかった。
「俺はし考える時間をもらうべきだと思う」
「なんでだよ、健?」
相変わらずスマホをいじっている健だが、會話にはしっかり參加してくる。
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誠実と武司は、スマホを作しながら、話始める健に注目する。
「お前、山瀬さんに告白してるとき、何を思いながら告白してた?」
「えっと……正直、自分を見てほしかったって言うか……自分をもっと知ってほしかったっていうか……まぁ、一番はもっと仲良くなりたかったのかな?」
「それって、今の前橋と同じなんじゃねーか?」
「え?」
言われて考え込む誠実。
告白するときの気持ちを誠実は誰よりも分かっているつもりだった。
何せ99回、同じ子に告白をしたのだ、告白する側の気持ちは痛いほどわかる。
「まぁ、正直。前橋の気持ちは、前橋にしかわからねーよ、でも準備も何もせず、思わず告白しちまった前橋は、きっと昨日の事を後悔してるとおもうぜ?」
「まぁ、誠実が泣かせて、言わしちまったんだもんな~、きっともっと仲良くなってから、告白したかっただろうに……」
「お、俺が言わせた訳じゃ……」
二人に言われ、誠実は改めて思う。
ここで自分が、気持ちの整理が付かないから、なんて理由で沙耶香からの告白をあっさり振ってしまうのは、可そうな気がした。
「確かに、健の言う通りかもしれない……折角好意を持ってくれてるわけだし、ちゃんと考えてあげないとだめだよね……」
「何も考えずに、99回も告白するような馬鹿には言われたくないだろうがな」
「そ、それは置いといて……ちゃんと考える時間をもらうよ。やっぱり、好きだって言われたのはうれしかったし、それに部長にだって、きっとその方が良いだろうし」
誠実は心を決めた。
今までは綺凜の事しか考えず、綺凜のために學校に來ていたようなものだったが、今はその必要はない。
しっかりと沙耶香の事を考え、答えを決めよう。
誠実はなんだかんだ言っても、ちゃんとしたアドバイスをくれる友人二人に謝しながら、放課後の回答を決めた。
「なぁ、そんな事よりも廊下の方が騒がしくないか?」
「そういえばそうだな、何かあったのか?」
話に夢中だった三人は気が付かなかったが、廊下の方では何やら騒ぎが起きていた。
騒ぎに気がついた三人が廊下の方を見に行くと、そこには一人の子生徒が居た。
「なぁ、なんかあったのか?」
「ん、あぁ、三馬鹿か……」
「「「一括りにすんじゃねぇ!!」」」
誠実たちはクラスの中では「三馬鹿」と呼ばれることが多い、學した時から、何かと三人でいることが多かったのと、全員どこか殘念な一面を持った馬鹿であることから、クラスではそう呼ばれていた。
「んで、何があったんだ?」
「アイドルか?」
「健、アイドルはうちの學校に居ない……」
興しながら馬鹿なことを言う健に、誠実は冷靜にツッコミをれる。
そんな中、さっきから話をしているクラスメイトが三人に話始める。
「あながちアイドルってのも間違いじゃねーよ。二年の蓬清先輩(ほうせいせんぱい)がなんか知らねーけど、一年のフロアに居るんだよ!」
「ホウセイ? 誰それ?」
「おいおい、誠実知らないのか? 蓬清栞(ほうせいしおり)は二年の中ではトップクラスに可いって評判だぜ? それに財閥の令嬢で、それを鼻にかけない優しい格も魅力な人だ!」
「武司、お前ってそういう報、どこから仕れてくるの?」
當たり前のように説明しだした武司に、若干呆れる誠実。
なんでこいつはこんな報ばかり持っているのだろうと、不思議に思いながら誠実は続きを聞く。
「績もよくて、教師からのけも良いらしい、生徒會の副會長もしているらしく、校ランキングでは、トップ10にる生徒だ」
「なぁ、この間から聞いてるそのランキングなんだ? トップ10だけ、うやむやなのか?」
「トップ10もランキング化してたんだが……甲乙つけがたくてな、トップ10に順位は無いんだ」
「なんだよ、その理由。てか、お前が作ってたの?!」
武司が前から何かをいそいそ作っているのを知っては居た誠実だったが、まさかそんなものを作っているとは思わなかった。
あきれ果てた誠実は、武司の將來を心配しながら、興味のない素振りでスマホを作する健に話を振った。
「健、武司ってそういえば馬鹿だったな……」
「何言ってんだ、お前もだろ?」
「いや、三人全員だっての……」
クラスメイトの言葉に、健は異議があるらしく、スマホを作するのをやめて、先ほどから話をしているクラスメイトに言い返す。
「心外だな、この二人はともかく、俺は常識人だ、二馬鹿プラス一天才に改名しろ」
「「なんでお前だけ、馬鹿から卻しようとしてんだよ! お前も馬鹿だろ! このアイドル馬鹿!!」」
健の言葉に反応し、誠実と武司は聲を上げて文句を言う。
聞いていたクラスメイトはそんな様子を見て、肩を落としてつぶやく。
「そういうとこが、三馬鹿なんだよ……」
廊下の騒ぎを見に來たはずなのに、いつの間にか騒ぎを起こしている三人。
そんな三人の元に、噂の子生徒がやって來た。
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