《99回告白したけどダメでした》24話
*
誠実は一日、勉強に集中出來なかった。
沙耶香の一見の事ももちろん原因の一つだが、問題はその他にもあった。
それは、男子生徒からの下心丸見えの絡みにあった。
「誠実く~ん、よかったら今度家に遊びに行ってもいいかな?」
「誠実、これ映畫のタダ券なんだが、よかったら妹さんに渡してくれないか?」
「誠実、いやお兄様、奈穂ちゃんって結構有名な學生モデルなんだな、今度結婚を前提に會わせてくれ!」
授業の間の休み時間や晝休みになると、こうして奈穂目的に誠実に近づいてくる男子生徒が後を絶たなかった。
本當なら誠実は、放課後の事を考えるため、今日は極力一人でいたかったのだが、周りがそれを許してくれなかった。
そして、現在はようやく放課後、誠実は男子生徒たちの追っ手から逃げ切り、現在は約束の4階の空き教室に向かっていた。
「はぁ……なんか今日は疲れた……」
追いかけられすぎて力的にも、神的にも疲れていた誠実。
Advertisement
結局放課後の事にあまり意識を集中できないまま、誠実は放課後を向かえてしまい、若干張していた。
沙耶香とは朝以外では話をしていない、何を話して良いのかわからないのと同時に、今の狀況では気まずくて、前の様には接することが誠実は出來なかった。
「まさか……今日ここで別な子に會うことになるなんてな……」
昨日、綺凜を呼び出したはずの四階空き教室に、今度は誠実が別な子に呼び出されている。
なんだか不思議なものだと考えながら、誠実は教室前で、ウロウロする。
「もう來てるのかな……いや、でもまだホームルーム終わってすぐだし……」
なかなか中にる勇気が出ず、誠実は教室前を行ったり來たりを続ける。
四階には誠実以外の人間はみあたらず、誠実は廊下に座って考えこむ。
「はぁ……なんでこんなに気が重いんだ……」
前までは、沙耶香を仲の良い友人として接していた誠実だったが、昨日の事で誠実の沙耶香に対する気持ちは、しずつ変化し始めた。
「確かに、よく見ると可いんだよなぁ……」
健と武司に昨日言われた通り、よくよく考えると誠実の好みのタイプにピッタリ當てはまる沙耶香。
言われて初めて気が付いた誠実は、今日の授業中はチラチラ沙耶香を見ていた。
そして気が付いた。
確かに自分の好みの生徒だという事に、しかし誠実は分からなかった。
「なんでだろ………なんかモヤモヤすんだよな……」
誠実はを押さえて考える。
確かに好みのタイプなのだが、何かが自分の心を邪魔して、的なを沙耶香に抱くことが出來ない。
今の可いだって、テレビのアイドルを見て可いというじと一緒だった。
「あ……そっか、俺……まだ山瀬さんの事……」
昨日諦めたはずの子生徒の名前をつぶやき、のモヤモヤが何なのか分かった誠実。
「……早く踏ん切りつけないと……山瀬さんにも部長にも悪いな……」
誠実は決意を固めた。
新しいに生きる。
その事をに、誠実は空き教室のドアを開ける。
「部長……」
「あ、伊敷君……」
今日室の窓際の席に沙耶香は座っていた。
日に照らされた沙耶香のかわいらしい表に、誠実は見とれながら、沙耶香の近くまで歩みを進める。
*
誠実が空き教室にった瞬間。
階段の踴り場の影から、數名の生徒が四階の廊下に姿を現した。
「どうやら、伊敷君も教室にったようね…」
「廊下でなんか悩んでたけど、部長大丈夫かしら?」
「私は伊敷君の貞の方が心配よ……今の部長は、伊敷君に好かれるために必死になりすぎてる。何をするか……」
「ナニをするのかな?」
「ちょっとあんた黙ってなさい」
廊下に姿を現したのは、料理部の面々であった。
沙耶香が暴走しないように、部員全員で沙耶香の告白を見守りに來たのだ。
「私らが居なかったら、この階ってあの二人だけよね?」
「つまり、何が起こっても誰にも見られない……」
「そういえば、放課後のこの階で、変な聲を聴いたって、私聞いたことある……」
沙耶香の一番の友人である志保は、複雑な気持ちで空き教室を見つめていた。
沙耶香と出會ったのは中學時代で、気が合ったのと、彼の優しさが気にり、何回か一緒に出掛けたりするようになり、徐々に仲良くなっていった。
今では親友と言っても良いくらいに仲が良くなり、そんな親友が初めて好きになった男子が、どんな男か、志保は気になった。
「ねぇ、あんたたちって、伊敷君ってどう思う?」
「え? いきなりどうしたの?」
「いや、なんか私じゃ良くわかんないから……顔は普通よりちょい良いくらいよね?」
「まぁ、顔は仕方ないですよ」
「顔はねぇ……」
「あんたらって、結構辛辣ね……」
志保はそんな事を聞きたいのではなかった。
誠実が男として、どうなのか、人としてどうなのかを尋ねたかったのだ。
「そうじゃなくて……人としてよ!」
「人として? 変!」
「明るいストーカー」
「優しいストーカー」
「……まぁ、そうよね」
誠実の99回の告白を知らない者はこの學校ではあまり居ない。
彼の事を聞けば、この回答が返ってくることは容易に想像できた。
親友が好きになった男子だ、どんな奴か気になるのは當たり前だ。
その男子が、周りからストーカー認定されているのであれば、親友として止めるべきなのかと悩んだ事もあった。
しかし……。
「でも、話すと面白くて良い人なのよね、ちょっとしつこいけど、なんていうか、本當に好きっていうのが伝わってくるし、好きな相手の事を結構考えてるし」
「今はもう諦めたんでしょ? じゃあストーカー卒業だし、普通に良い人じゃない?」
「には盡くすタイプよね、なんでも言う事聞いて、浮気とかしなさそうだけど……」
志保も部員の意見と同意見だった。
誠実が料理部に仮部しているとき、料理部の皆が彼の人の好さと彼が悪い人ではない事に気が付いていた。
ただ一生懸命で、一途な彼に沙耶香が惹かれるのにも納得がいっていた。
「そうよね、悪い人じゃないものね……」
「志保、私らは見守りましょう。あの子なら大丈夫」
「そうだよ、私たちの部長だよ? 大丈夫大丈夫!」
「そうよね……じゃあ、見守りに行き……」
志保が言いかけた瞬間、空き教室方で、何かが倒れる大きな音がした。
何かあったのかと思い、料理部の面々は急いで空き教室に向かい、ドアの隙間から中の様子を伺う。
- 連載中249 章
妹との日常。
毎日投稿頑張ってます!(大噓) 妹のことが大好きな夢咲 彼方(ゆめさき かなた)。周りからはシスコンだとからかわれるが、それでも妹、桜のことが大好きなシスコン。 「桜!今日も可愛いな」 「えっ!ちょっ!やめてよ!気持ち悪いなぁ」 「がーん…」 「嬉しい… ボソッ」 「ん?なんか言ったか?」 「ン? ワタシナニモイッテナイヨ」 ツンデレ?妹とのハチャメチャ物語。 尚、いつの間にかツンデレじゃなくなっている模様… 月一程度で休みます… 最初の方は彼方が桜のことが好きではありません。途中から好きになっていきます。 あと、作者はツンデレを書くのが苦手です。 毎日投稿中!(予定なく変更の可能性あり) いちゃいちゃ有り!(にしていく予定) 最初はツンデレキャラだった桜ちゃん。 Twitter始めちゃいました⤵︎⤵︎ @Aisu_noberuba_1 フォローしてくれたら全力で喜びます。意味不明なツイートとかします。 本垢ロックされたのでサブの方です… 2018年11月7日現在いいね100突破!ありがとうございます! 2018年12月1日現在いいね200突破!ありがとうございます! 2019年1月14日現在いいね500突破!ありがとうございます! 2019年2月21日現在いいね1000突破!ありがとうございますッ! 2018年11月24日現在お気に入り100突破!ありがとうございます! 2019年1月21日現在お気に入り200突破!本當にありがとうございます! 2019年2月11日現在お気に入り300突破!マジでありがとうございます! 2019年3月28日現在お気に入り數400突破!!ウルトラありがとうございます! 2019年5月9日現在お気に入り數500突破! マジでスーパーありがとうございます!!!
8 76 - 連載中58 章
ただいま冷徹上司を調・教・中・!
同期から男を取られた崖っぷちOL 久瀬千尋 ✖ 容姿端麗で仕事も完璧、誰からも一目置かれる課長 平嶋凱莉 二人はひょんなことから(仮)戀人になることに。 今まで知らなかったお互いの素顔を知るたびに、二人の関係はどんどん近くなる。 意地と恥から始まった(仮)戀人は(本)戀人になれるのか? 戀愛下手な二人の戀愛が今始まる。
8 56 - 連載中71 章
ルーズリアの王太子と、傾いた家を何とかしたいあたし
貧乏子爵家の長女として生まれたマリアはギャンブル好きの父、見栄をはる母、放蕩をする雙子の弟を抱え、二月後のデビュタントに頭を抱える14才。 祖父から堅実なお前にと譲られた遺品と鍵つきの祖父の部屋を與えられたものの、少しずつ減らさざるを得ない寶物に嘆きつつ何とかしたいと努力していたが、弟に部屋に侵入され、祖父の遺品を盜まれた時にブチキレた! 一応、途中の內容の為に、R15を入れさせていただきます。
8 181 - 連載中75 章
カノジョの好感度が上がってないのは明らかにおかしい
『好感度を上げすぎるとその人との関係がリセットされる。』 ある日、そんな無慈悲な呪いをかけられた彼は、戀人も友達も一切いない哀しい學園ライフを一人謳歌していた。どうせ消える関係に期待するなんて馬鹿らしい。そうのたまい、人と深く関わること自體を拒否してきた彼だったが、突然転校してきた少女や、様々な人々と接していく中で、彼は少しずつ変わっていく。 呪いと過去が交錯する中、彼は何を望み、何を失い、何を摑みとるのか。 ※カクヨムにも連載中です。
8 145 - 連載中51 章
引きこもり姫の戀愛事情~戀愛?そんなことより読書させてください!~
この世に生を受けて17年。戀愛、友情、挫折からの希望…そんなものは二次元の世界で結構。 私の読書の邪魔をしないでください。とか言ってたのに… 何故私に見合いが來るんだ。家事などしません。 ただ本に埋もれていたいのです。OK?……っておい!人の話聞けや! 私は読書がしたいんです。読書の邪魔をするならこの婚約すぐに取り消しますからね!! 本の引きこもり蟲・根尾凜音の壯絶なる戦いの火蓋が切られた。
8 186 - 連載中8 章
この美少女達俺の妻らしいけど記憶に無いんだが⋯⋯
「師匠! エルと結婚してください!」 「湊君⋯⋯わ、わわ私を! つつ妻にしてくれない⋯⋯か?」 「湊⋯⋯私は貴方が好き。私と結婚してください」 入學して二週間、高等部一年C組己龍 湊は三人の少女から強烈なアプローチを受けていた。 左の少女は、シルクのような滑らかな黒髪を背中の真ん中ほどまで下げ、前髪を眉毛の上辺りで切り揃えた幼さの殘る無邪気そうな顔、つぶらな瞳をこちらに向けている。 右の少女は、水面に少しの紫を垂らしたかのように淡く儚い淡藤色の髪を肩程の長さに揃え、普段はあまり変化のない整った顔も他の二人の様に真っ赤に染まっている。 真ん中の少女は、太陽の光で煌めく黃金色の髪には全體的に緩やかなウェーブがかかり幻想的で、キリッとした表情も今は何処と無く不安げで可愛らしい。 そんな世の中の男性諸君が聞いたら飛んで庭駆け回るであろう程に幸せな筈なのだが──。 (なんでこんな事になってんだよ⋯⋯) 湊は高鳴ってしまう胸を押さえ、選ぶ事の出來ない難問にため息を一つつくのであった。 十年前、世界各地に突如現れた神からの挑戦狀、浮遊塔の攻略、それを目標に創立された第二空中塔アムラト育成機関、シャガルト學園。 塔を攻略するには、結婚する事での様々な能力の解放、強化が基本である。 そんな學園に高等部から入學した湊はどんな生活を送っていくのか。 強力な異能に、少し殘念なデメリットを兼ね備えた選ばれたアムラト達、そんな彼らはアムラトの、いや人類の目標とも言える塔攻略を目指す。 一癖も二癖もある美少女達に振り回されっぱなしの主人公の物語。
8 103