《99回告白したけどダメでした》27話
「じゃ、早速」
「えっと……何かな?」
誠実の腕にしがみついてくる沙耶香。
誠実はそんな沙耶香にどう反応して良いのかわからず、戸いの表を浮かべる。
「一緒に帰ろうよ」
誠実の目を真っすぐ見つめ、笑顔で言ってくる沙耶香。
誠実は恥ずかしさで、思わず目をそらしてしまった。
「か、帰るのは良いけど……腕を組むのはやめないか? そ、その……誰かに見られたら面倒だろ?」
「私は別に構わないのになぁ~」
恥ずかしいのももちろんだったのだが、誠実はそれよりも、腕にある二つのらかいに危険をじていた。
「と、とにかく! 帰るのは良いけど、そういうのはダメ! 答えを待ってもらってるで勝手かもしれないけど、なるべくいつも通りに接してくれよ」
「む~、誠実君は私と腕組むのが嫌なんだ!」
「い、嫌じゃないけど……でも、ちゃんとメリハリをつけないと……俺たちはまだ友達なんだし」
「ぶ~、じゃあ良いよ、みんなの前ではいつも通りでいてあげる。でも二人きりの時は……フフフ」
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(な、何をされるんだ……)
なんだかの危険をじる誠実。
誠実の説得で、沙耶香は誠実から離れる。
「そろそろ、行こうか」
「うん、鞄取ってこないとね」
「あ、そういえば俺、あいつら待たせてるんだった……あいつらも一緒に……」
「二人っきりで帰るよね?」
帰ろうとしたところで、誠実は教室に健と武司を待たせていることを思い出す。
健と武司も一緒に帰っても良いか、沙耶香に尋ねる途中、沙耶香が言葉を重ねてきた。
顔は笑顔なのに、どこか怖い雰囲気の沙耶香に誠実は何も言えない。
「そ、そうだね……」
「ありがと!」
誠実は、今まで知らなかった沙耶香の一面を見て、驚くと同時に、いかに自分が彼という人間を知らなかったのかを理解し、健に電話をし始める。
「すまん、先に帰っててくれ……あぁ、悪いな……そ、それは明日話すから! じゃあな!」
沙耶香とどうなったのかを聞かれ、説明が面倒になり、焦って電話を切った誠実。
電話の最中、沙耶香はどこか嬉しそうな顔で窓の外を眺めており、誠実は電話が終ったことを沙耶香に伝える。
「お、終わったから……帰るか?」
「うん、帰ろうか」
誠実の橫にピタッと張り付き、鞄を置いてある自分たちのクラスに戻って行こうと教室を出ていく二人。
「「「「あっ………」」」」
「あ、じゃねーよ!!」
扉を開けた瞬間、反対のドアに張り付いて、中の様子を伺おうとしている料理部の面々と目が合う誠実。
「い、いやぁ……あの……これは志保が……」
「ちょっと! 私のせいにしないでよ!!」
「だって志保が、実際どんなじなのかな? とかいうから!!」
ごとに興味津々な料理部の部員たちは、こっそり隠れて、様子を見ようとしたのだが、殘念ながら空き教室という事もあり、中は必要のない機や椅子を置いておく、置のようなじになっており、良く見えなかったのだ。
「い…いやーでも何事も無かったようで、安心したよ」
「そう、そうだね! 明日登校した時に、部長が大人になってたら、私達なんか置いて行かれたみたいになるしね!」
「じゃあ、何はともあれ、お疲れ~」
一仕事終えたようなじで、その場を立ち去ろうとする料理部の面々。
「おう、お疲れ! ………じゃねぇだろ!! 何のぞき見してんだよっ!!」
沙耶香に言った事を他の人間にも聞かれていたと知り、誠実は恥ずかしさと怒りで、料理部の面々に向かってぶ。
それと同時に、料理部の面々は「ヤバイ! 逃げろー!!」と言って一目散に逃げだしていった。
料理部の面々を追っていこうとした誠実だったが、それを沙耶香が止める。
「もぉ、誠実君一緒に帰ってくれるんじゃなかったの?」
頬を膨らませながら言う沙耶香に、誠実は歯切れ悪く答える。
「い、嫌でも、口止めしないと、何を言われるか……」
料理部の面々は噂好きが多い、誠実が料理部に顔を出していたころは、毎日のように、誰かの噂を耳にし、そのすべてが次の日には學校中の噂になっていた。
「私はいいもん、そっちの方が誠実君に言い寄ってくる子が居なくなりそうで」
「俺は大丈夫だよ、元からモテないから……寄ってくるのは男子の方だよ……」
「あ~……そうかもね……」
誠実たちの通う西星高校は、生徒數が多いことでし有名だ。
そのため、個かな生徒も多く、何が起きるかわからない。
今朝のように、誠実が可い子と登校していたというだけで、あの大騒ぎだ。
今度は告白された、なんて噂が流れたら、事態はさらに大きくなる。
誠実はそんな恐怖を恐れて、料理部の面々を追っていこうとしていた。
「まぁ、でも大丈夫だよ。あの子たちだって、それくらいわかるだろうし……それより一緒に帰ろ! 」
「なんか、やけに嬉しそうだな……」
「うん、だって好きな人と放課後一緒に帰るの……憧れてたから……」
「そ、そうなんだ……」
料理部の登場で忘れかけていた誠実だが、直ぐに思い出した。
前まで友人として接してきた子が、自分を好きで、しかもその子と一緒に今から下校する。
中學時代、子との流なんてほとんどないまま卒業した誠実にとっては、初めての験であった。
鞄を教室に取りに戻り、二人はそのまま帰宅しようと、校門前を目指す。
沙耶香の話によると、誠実の家と沙耶香の家の方向は同じらしく、誠実の方がし遠いようだった。
橫で楽しそうに笑いながら歩く沙耶香を見て、誠実は時折、ドキドキしながら校門前まで來た。
「あ、やっと來た。おにぃ、遅いよ」
「え! なんでお前が……」
校門まで來た誠実と沙耶香の前に、誠実の妹である奈穂が、學生服姿で姿を現した。
今まで、奈穂が誠実の學校に迎えに來たことなど一度もなく、誠実は突然のことに驚いた。
しかし、驚く事はそれだけでは無かった。
「あ、伊敷く~ん」
「え! なんで蓬清先輩が!!」
後ろから名前を呼ばれ、振り返ってみると、そこには今朝連絡先を換した先輩で、誠実が昨日助けた栞が、手を振りながら駆け寄って來た。
「ねぇ、おにぃ……誰?」
「奈穂? どうした?」
なぜか低いトーンで話す奈穂に、誠実は尋ねる。
しかし、奈穂が答える前に沙耶香が誠実に尋ねる。
「ねぇ、誠実君……妹さんって普通學校に迎えにまで來るかな?」
「さ、沙耶香さん……笑顔がなんか怖いんだけど……」
沙耶香は笑顔であったが、聲は全然笑っておらず、なにか黒いものをじる誠実。
「誠実君、今帰りで……あら? お友達ですか??」
「せ、先輩まで、どうして……」
栞は満面の笑みで誠実に尋ねる。
しかし、誠実はそんな先輩をよそに、背中に來る悪寒とどす黒い何かの二つをじながら、言葉を失った。
「おにぃ」
「誠実君」
「「この人たち誰?」」
誠実はの子、しかもに囲まれるという夢のような狀況にも関わらず、早くこの場から立ち去りたいと強く願っていた。
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