《99回告白したけどダメでした》29話

「なんか、めてるみたいね……」

「そうね、彼ってあんなにモテるのね」

「さっきまで半信半疑だったけど、実際に見ちゃうと、納得せざるを得ないわ……」

私と沙は、遠くから隠れるようにして、4人の様子を見ていた。

彼を囲んでいる3人のは皆整った容姿をしていて、可い。

どういう関係なのかは、知らないが、遠目からでも修羅場だとわかるほど、迫した空気がじられた。

「ねぇ、沙。一つ良いかしら?」

「何よ、トイレ?」

「違うわよ、なんで隠れてこんな覗き見してるのよ、帰るんじゃなかったの?」

「面白そうじゃない! 私、晝ドラとかのドロドロしたって好きなのよ。あの3人からは、それと同じ匂いがする!」

「良い趣味ね……」

のそんな発言に呆れながらも、私も4人の様子が気になり覗き見を続ける。

さっきまで、陣だけで何かを話していた様子だが、今はなぜか彼が陣3人に責められているような様子だった。

「お、矛先が伊敷君に向いたみたいね……あのうちの制服じゃない子が気が強そうね……の大きな子は何か闇をじるわ……ん? あれって二年の蓬清先輩? あの人とも知り合いなのね……」

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「ねぇ、もう帰らない? やっぱり悪いわよ、のぞき見なんて……」

「何言ってんの! こんな面白い狀況、滅多にお目にかかれないわよ! それにあんな目立つ場所で言い爭ってるんだから、覗きではないわ!」

沙……楽しそうね……」

私は友人のキラキラとした目を見て、肩を落とし、ため息を一つ吐いた。

しかし、口ではそんなことを言っていても、私も実際は気になっていた。

あんなに可い子たちが周りに居るにも関わらず、なぜ私にあそこまでしつこく告白してきたのか、純粋にそれが気になった。

私は、沙を注意しつつもやはり彼たちが気になり、沙と一緒になって4人の様子を覗く。

すると、昇降口の方から、何やら聞いたことのある聲が聞こえてきた。

「ちぇっ! 誠実の奴、せっかく待っててやったのによ~」

「仕方ないだろ、何か事があったんだろ? そんな事より、職員室に用事って何だったんだ?」

「あぁ、やっぱりよ、學校の人間のデータってもんを詳しく調べておきたくてな、々な先生の事を調べに行ったんだよ」

「何が楽しいんだか……で、どんな事がわかったんだ?」

「あぁ! 聞いてくれよ! なんと、あの世界史の松(おまつ)先生! 実はヅラだったんだぜ!!」

「……それを知って、誰が得すんだよ」

聲の主は、彼の友人の……確か、古沢君と武田君。

あの日、襲われた私を家まで送り屆けてくれた人たちで、し話をしただけだが、良い人達だと思った。

二人は丁度、昇降口から出てきたところで、當然校門前の騒ぎにも気が付いた。

「ん? あれって誠実じゃないか?」

「あぁ、そうだな……それに奈穂ちゃんに、前橋、蓬清先輩もいるな……」

2人は誠実たちを見た後、顔を合わせて同時に言う。

「「修羅場だな」」

そういった2人に目には、キラキラとした何かがあり、わくわくした様子で、私たちの隠れた反対側の建の影にをひそめる。

「おいおい! なんだあの面白そうな狀況!!」

「誠実、最近モテるみたいだからな……いずれはこうなるんじゃないかと思ったが……」

目を輝かせながら、友人の困っている狀況を楽む彼ら、そんな二人をこっそり見ていると、古沢君が視線に気が付いたのか、こちらを向いた。

「あ……」

「……」

古沢君こちらを見たまま、無表で何も言わない。

代わりに、いまだにめている伊敷君たちの方を嬉しそうに眺める、武田君の肩を叩き、私たちを指さす。

「なんだよ健、今良いと………」

古沢君の指さす方向に視線を移す武田君。

「……」

無言のまま、私は2人に見られる。

そして2人は、再び顔を合わせてぶ。

「「修羅場だ!!」」

「違うわよ!」

言われた私は、咄嗟にぶ。

告白されて振った男子が、他の子に言い寄られ、それを遠くからこっそりの覗く私。

確かに、私も修羅場に巻き込まれかねないが、私は違う。

どちらかというと、彼があの中の誰かとくっ付いて、幸せになることを願っている。

そんなことを考えている間に、2人は私たちの方にやって來た。

「いや~、まさか山瀬さんまで居るとは……なにしてるの??」

「そんな嬉しそうな顔で聞かれても……」

「まぁ、大察しはつくよ。今までさんざん付きまとってきた誠実が、今はあんな狀況だ、気にならない方が無理だろ?」

「古沢君は、本當に察しが良いわね…」

私が、古沢君と武田君と話をして居ると、若干空気になりかけていた沙が訪ねてきた。

「ちょっと綺凜、アンタって男子の友達こんな多かったの?」

「違うわよ、2人とは々あって仲良くなったのよ……」

々って何よ! しかも片方は知らないけど、もう片方は一年で一番イケメンって有名な古沢君じゃない! ちょっとアイドルオタクらしいけど……やっぱカッコいいわね…」

古沢君の方を顔を赤らめながら見つめる沙。

古沢君は、そんな沙などお構い無しに、スマホを作し始める。

そん彼を武田君は、涙を流しながら責め始める。

「なんだお前! やっぱりモテるのか! 誠実も最近モテるし! なんで俺だけモテないんだ!!」

「知らないよ、それはそうと、山瀬さんの友達? よろしくね」

「こ、こちらこそよろしくね! よ、よかったら連絡先換しない?」

「おいぃぃ! 何くどきに掛かってんだ!! 今は誠実たちの様子を……あれ?」

武田君に言われて、先ほどまで4人がいた校門前見ると、そこにはもう4人の姿はもうなかった。

々話をしている間に、どこかに行ってしまったようだ。

「あぁ! 見失っちゃった……」

「クッソォ~! 面白いところだったのにぃ~」

本気で悔しがっている、沙と武田君を見ていると、なんだか似たもの同士だな、と思ってしまう。

こうなっては仕方がないので、私は帰宅しようとする。

しかし……。

「追うわよ!」

「そうだな! 誠実の為にも!!」

「お前ら、面白がってるだけだろ……まぁ、俺も行くんだが」

「え! まだ続ける気なの?」

「「「當然!」」」

さっき知り合ったばかりなのに、すっかり打ち解けた様子の三人。

私はそんな3人に手を引かれ、無理矢理付き合わされる羽目になってしまった。

気にならないわけではないが、あまり他人がどうこうして良いものではないと私は思いつつ、3人についていくのだった。

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