《99回告白したけどダメでした》31話

誠実が席を立つ數十分前、誠実たちを探して學校を出た綺凜たちは、商店街で誠実たちを探していた。

乗り気な三人に比べて、綺凜はいまいち乗り気になれず、一人だけテンションが違う。

「居た?!」

「いや、どこにも、どこ行きやがったんだ?」

「後は古沢君だけね……」

ノリノリで4人を探す沙と武司、今は手分けして誠実たちを探している途中で、戻ってきていないのは、健だけだった。

「あいつは意外にこういう時にやる奴だからな……もしかしたら、もう発見してるかもしれん」

「いやいや、いくら何でもそれは……」

「そうだよな、イケメンでそこまで勘が良かったら、どんだけハイスペックなんだか」

そう言って笑う沙と武司、そんな事をしている間も健は姿を現さない、代わりに武司のスマホが音を出して震え始める。

「お、電話だ……もしもし? お! 健か! どうした? ………おい、お前マジか……わかった、今行く」

なぜか急にテンションが下がってしまった武司。

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気になった綺凜は、武司に尋ねる。

「どうかしたの? もしかして何かトラブルに……」

「いや、が渇いて、自販機で飲み買ってたら、偶然ファミレスにって行くところを発見したって……」

「……ハイスペックだったわね」

「クッソ! イケメンな上に勘が良いってなんだよ! 死ね!!」

泣きながらわめく、哀れな武司を見ながら、沙と綺凜は「男子も大変だ……」などと思う。

「…で、結局どこのファミレス?」

「あぁ、この商店街を抜けてすぐのとこだって、今は健が飲み飲みながら監視

中だってよ」

「よし! 行きましょう!」

意気揚々と足を進めようとする沙と武司だったが、そんな二人を綺凜が止める。

「ねぇ、やっぱりやめない? こんな尾行みたいな事……」

綺凜も確かに気にはなるが、誠実に悪いと思っていた。

尾行なんて行為があまり良い事とも思えなかったという事もあるが、それ以上に、誠実が困っている狀況を橫で笑いながら見ているのもなんだか嫌だった。

「山瀬さん、これは尾行みたいな事じゃないよ」

「そうよ綺凜、これはね……」

何やら真剣な表で話を始める二人。

もしかしたら、二人なりに誠実を心配して、何かあった時の為にこんな事をしているのではないかと、思い始める。

しかし、當の本人たちは……。

「「尾行そのものだよ!」」

「……」

この一言で、この二人は完全にこの狀況を楽しんでいるんだと、綺凜は確信した。

「遅いぞ」

「悪い悪い、であいつらは?」

「あそこ」

ファミレスにつくと、その近くの自販売機で、健はペットボトルの飲みを飲みながら、待っていた。

健が指さす方には、ファミレスの窓際の席で何やら話をしている誠実達の姿があった。

「う~ん、どう見ても楽しい雰囲気ってじではないよな……」

「そうね……伊敷君と妹ちゃんだっけ? その二人はなんだか難しそうな顔だし、逆に向かい側の蓬清先輩とえっと、前橋さんだっけ? 彼たちはなんだか不自然に笑顔ね……」

狀況を簡単に説明する沙の言う通り、現在の4人の様子はそんなじだった。

なんだか3が彼にバレて、責められているプレイボーイのような景に、武司と健は目を輝かせながら、楽しそうに話す。

「健! 誰が勝つと思う? 俺は奈穂ちゃんに購買の焼きそばパン3個!」

「先輩が突然參戦したからな……もしかしたらがあるかもしれん……先輩に購買の苺牛5個で行こう」

「なんか知らないけど、賭け始めたわよ……」

「じゃあ、私は前橋ちゃんに購買のシュークリームパン4個だぁ!」

「……沙も參加するんだ」

ノリノリな3人とは対照的に、乗り気ではない綺凜。

しかし、悪いと思っていても興味が先に來てしまうのが人間というものらしく、綺凜も様子をうかがう。

「う~む、なんだか奈穂ちゃんが怒っている様子だな……」

「仕方無いだろ、あの子は昔からブラコンなんだから、兄貴にの影が會ったら、あぁもなるだろ?」

「へ~、伊敷君の妹さんってブラコンなんだ……しかも今サイトで見たけど、結構有名な學生モデルなのね……本當に兄妹?」

スマホのファッションサイトに寫る、奈穂の姿を皆に見せながら、沙は尋ねる。

「兄弟だぜ、奈穂ちゃんのブラコンに気が付いてないのは、誠実くらいのもんだ……」

「俺達ですら気が付くものだが……」

綺凜も沙がスマホに表示させている、ファッションサイトの奈穂を見る。

確かに寫真も可い、そう思った綺凜だったが、それよりも実の方が更に可いと、綺凜は思った。

「んで、なに話してるの? あれ」

「「知らん」」

聲をそろえて答える健と武司に、ガクッと肩を落とす綺凜と沙。

それもそうなのだが、これでは賭けも立しないし、何より容がわからない。

これでは意味が無い、そうじた健は急にスマホで誰かに電話をし始めた。

「健、誰に電話してんだ?」

「誠実」

「あぁ、誠実か……ってお前何やってんだ! そんな事したら尾行バレんだろ!」

「悪い、もう……」

健が言いかけたところで、ファミレスから誠実が席を立ち、外に出て來た。

「呼んじまった」

「よぉ……何してんだよ、お・ま・え・ら!」

誠実は尾行されていた事を知り、怒りをあらわにして二人に問いただす。

怒りの為か、沙と綺凜には全く気が付いていない。

「よ、よぉ…マイブラザー、偶然だな!」

「あぁ、偶然だ」

「さっき電話で呼び出した奴が、偶然とかいうなよ、健!」

フランクな対応の二人に対し、誠実は怒りをあらわにしながら、二人の肩に手を置き、力一杯に肩を握る。

「待て待て、俺達はお前を心配して……」

「心配してる奴は尾行なんてしないよな?」

「それよりも、良いのか? 彼たちを放っておいて」

「あん! なんだ、他にも誰……か」

健に言われ、誠実は初めて綺凜達の存在に気が付く。

気まずそうに誠実を見る綺凜と、手を振りながら「どうも~」とのんきに言う沙を見て、誠実は急に冷や汗をかく。

「な! なな…なんで山瀬さんが!! もしかして俺、とうとう幻覚を!」

「お、落ち著いて! 幻覚じゃないわよ!」

自分の頭がおかしくなったと勘違いし、電信柱に頭を打ち付けようとする誠実。

綺凜はそんな誠実を止めにり。

他の三人は店きがあった様子で、そちらに視線を移していた。

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