《99回告白したけどダメでした》42話

「はぁ……はぁ……」

誠実はやっとの思いで、教室にたどりついた。

奈穂の事を々聞かれたり、何とか紹介してくれないかと、皆言うことは同じだった。

「つ、疲れた……」

誠実は自分の席にたどり著き、機の上に顔をつけての力を抜く。

今日はあまり、面倒ごとに巻き込まれずに過ごしたかった誠実だったが、出だしからつまずいてしまった。

「よ、よぉ……誠実」

「おはよう」

「ん? あぁ、おはよう。 お前ら昨日は直ぐに帰ったのか?」

誠実が自分の席でリラックスしていると、健と武司がいつものように近づき、話しかけてきた。

「あぁ……まぁな」

「お前も大丈夫か?」

「ん? あぁ……昨日の事か……」

どこか気まずそうに話しをしてくる、2人の態度から、誠実は直ぐに昨日の事が原因だと気が付く。

あんな帰り方をしたのだ、何かありましたと言っているようなものだ。

「お前ら聞いたのか?」

「まぁ……ざっくりと」

「元気出せ」

2人の様子から、大の事を知っている事を誠実は察し、2人にあまり落ち込んでいるそぶりを見せないように、明るいじを意識しながら返答する。

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「いや、まいったよ……まさかあんな理由だったなんてな、婚約者って何時代だよ!」

「誠実……」

「無理するな、バナナ食べるか?」

「なぜバナナ??」

なぜか懐からバナナを取り出し、誠実に渡そうとする健。

誠実は、2人が自分に対して気を使っている事が、直ぐに分かった。

明らかに言葉を選んでいる上に、いつもの勢いがない。

「いつも通り接してくれよ、そうじゃねーと、なんか気悪い」

2人の優しさは確かに誠実に伝わっていた。

誠実もいつもはバカな事ばかりしている友人達だが、いざという時は、こうやって気を使ってくれる、良い友人だと再確認する。

「そうか? じゃあいいや、どんまい! まぁ、俺らも話聞いて、誠実とどう接していいもんか考えてたんだけど……あれはやっぱり疲れるな」

「あぁ、疲れる」

「健、お前は変わってないぞ?」

やっぱり2人と話すときは、この方が落ち著く。

誠実はそんな、いつも通りの2人から、しだけ元気をもらえた気がした。

「でもよ、誠実、とりあえずだ、お前は今、一番考えなきゃいけない相手の事を忘れて無いか?」

「ん? あぁ……沙耶香の事か……」

「まぁ、昨日の今日で大変だと思うが、切り替えるのも大事だ」

2人に言われ、誠実は昨日の沙耶香の告白の事を思い出す。

いつもはあんな積極的な事をしない沙耶香が、あそこまで積極的になって、自分の事を思ってくれていた。

なのに、誠実自は沙耶香の事を対象として認識していなかった。

これからはちゃんと考えると言ったものの、何をどうすれば良いのか、誠実自よくわkらずにいた。

「健、お前っての子を対象として見る時って、どういうとこを見る?」

この中で一番モテるイケメンの健に誠実は尋ねる。

しかし、誠実は健の殘念な一面を忘れて、この質問をしてしまった。

「俺はに興味などない、あるのはアイドルへの興味だけだ」

「ブレないのな、お前は……」

健がモテるのに彼をつくらない理由は、アイドルが好きすぎて、興味のベクトルがアイドルの方にすべて流れて行ってしまっているからなのだ。

ライブはもちろん、ファンクラブの會員で、噂ではどっかのアイドルのファンクラブの會長をしているらしいが、アイドルにあまり興味の無い誠実と武司は、健のそういう部分をよく知らない。

「んじゃ、武司は?」

「仕方ないから、俺に聞くみたいな流れやめてくれない? 多分この中で一番モテないの俺だよ?」

泣きそうな顔でそういう武司。

しかし、それでも武司は、誠実の質問に対して、真剣に考える。

「俺はやっぱり格かな? いくら可くても、格に問題あったら、長続きしないし、それに優しい子なら、守ってあげたくなるって言うか……」

顔を赤らめながら、まともな回答をする武司。

健と誠実は、そんないつもの武司らしからぬ返答に、自然と口から言葉が出る。

「「キモ……」」

「誠実、お前が聞いたんだよな……」

「悪い、なんか武司らしくない、まともな回答だったから」

「まったくだ、どうした? 頭でも打ったか?」

「お前ら、俺に一どんなキャラ付けしてんだよ……」

いつもの他もない會話をする3人。

そんな誠実たちの元に、子生徒が一人近づいてくる。

「お、おはよ。誠実君」

「あ、あぁ……さ、沙耶香」

誠実たちの元にやってきたのは、ちょうど話題に上がっていた沙耶香だった。

張した様子で、誠実の名前を呼び、誠実も昨日の事を思い出し、沙耶香を意識する。

「じゃ、俺らは邪魔だろうから、あっち行くか」

「そうだな、俺達は最近のアイドルについて語ろう」

「語らねーよ。ホント好きだな」

健と武司はそう言うと、誠実の元から離れ、教室の隅の方に移する。

「あ、おい!」

昨日の今日で、流石に2人で會話はし気まずく、誠実は健と武司にもこの場に居てしかった。

健と武司が居なくなったところで、沙耶香はさり気なく、誠実の前の席に座り、誠実と向かい合う形で話を始める。

「あぁ…昨日はごめんな」

「なにかあったの? 電話でなにか言われた?」

誠実はとりあえず、昨日急に帰ってしまった事を謝罪した。

「いや、ちょっとな……それよりも奈穂と先輩とは何を話してたんだ?」

誠実は、綺凜の事を沙耶香に言うのは、々と面倒なので、話を逸らす。

聞かれた沙耶香は、頬を膨らせながら、誠実に不満げに言う。

「別に~、誠実君は私のです! って言っただけ」

「ぶっ! ちょっと! え、ほんとに!?」

言われて誠実は驚き、思わず勢いよく立ち上がる。

沙耶香はそんな誠実を見てクスクスと笑う。

「冗談だよ、でも告白したことは言っちゃった」

「なんだ、良かった……」

「良くないよ~、妹さんはともかく、あんな人の先輩と知り合いだなんて~」

再び頬を膨らませながら、不満を言う沙耶香。

誠実はそんな沙耶香を見ながら、栞とは最近知り合ったばかりという事を伝える。

それから、他もない話を続ける、誠実と沙耶香。

話を続けていくに、誠実はある事に気が付いた。

沙耶香がちょいちょい、誠実の手をってくるのだ。

なんなのか気にはなったが、まぁ別に意味はないだろうと、思い込み、そのまま沙耶香と話を続ける。

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