《99回告白したけどダメでした》43話
「ね、ねぇ…誠実君」
沙耶香は、恥ずかしそうに顔を赤らめながら、誠実の機の上の手を指先で絡めて來た。
そんな沙耶香の行に、誠実も驚き固まる。
「え、えっと……何かな?」
誠実は顔を赤く染める沙耶香に、張した様子で尋ねる。
すると、沙耶香は更に指を絡ませ、とうとう誠実の手を握り始めた。
流石の誠実も教室でこんな事をされるのは恥ずかしく、思わず続けて沙耶香に尋ねる。
「な、なんで手を握って來るの?」
「ご、ごめん…嫌……だった?」
不安そうな表で見つめてくる沙耶香に、誠実は嫌とも言えず、そのままを固まらせる。
次第にクラスの生徒も、沙耶香と誠実の様子に気が付き、何やらコソコソ話をしている様子だった。
「い、嫌ってわけじゃないけど……やっぱり周囲の視線が……」
「やっぱり嫌なんだ……」
「あ、いや! その! 違くて!」
寂しそうな表の沙耶香に、誠実は慌ててフォローをれる。
「じゃぁ……良い?」
「う……うん」
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上目遣いで尋ねてくる沙耶香に、誠実は思わず頷いてしまう。
了解を得た沙耶香は遠慮はしない、誠実の手をがっちりと握りながら、楽しそうに話始める。
周りのクラスメイト達は、何か確信を得たようで、興気味にコソコソ話を始める。
「また、面倒な事に……」
そんな事をつぶやきながらも、誠実は沙耶香が楽しそうに話をしているので、まぁ良いかと思い、沙耶香の話を聞いていた。
「それにしてもビックリだよ、誠実君の妹さん、よく見るとあんなに可いなんて」
「まぁ、それは俺も認めるよ。実際モデルやってるし、人気もあるみたいだし、でも兄弟だよ」
「そっか、なら私が誠実君と結婚したら、私の妹になるね」
「そ、それは話が早すぎるんじゃ……」
結婚などと言う、誠実にとってはまだ先の事だと思っていた話をされ、誠実は返答に困ってしまう。
「そ、そんな事よりも、もうすぐテストだな」
誠実は話を逸らし、テストの話をし始める。
學して初めてのテストでは、誠実は綺凜に好かれたい一心で、ひたすら勉強し、學年一位を取ったのだが、今回はそこまでモチベーションが上がらない。
「そうだね、でも誠実君は學年一位だったんだし、今回も大丈夫でしょ? 何なら勉強教えてしいくらいだよ~」
「沙耶香も績良いだろ? 確か學年10位にってたんじゃないか?」
「まぐれだよ、今回もそうとは限らないし、出來れば教えてしいな……ふ、2人っきりで……」
恥ずかしそうに「2人きりで」と強調され、誠実は戸う。
確かに前回は學年一位だった誠実だが、今回は全く勉強をしていない。
教えられるほど勉強は得意じゃない誠実は何とかうまく斷るすべを探す。
最悪でも2人きりと言う狀況だけでも避けなければ、沙耶香が何をするか分からないと誠実は思っていた。
「そ、そうだなぁ~、どうせなら皆でテスト勉強なんてどうだ? 俺も前回がまぐれだっただけで、今回も良い點が取れるとは限らねーし、健とか武司とか、あと料理部の皆も一緒に……」
「ふーん、私と2人は嫌なんだ?」
頬を膨らませる沙耶香に、誠実は言葉を詰まらせる。
昨日の告白の時の沙耶香の言が、どうしても頭から離れない上に、次また同じことをされてしまったら、自分は々と抑えられるのか心配になってしまう。
押さえられず、沙耶香に何かしてしまったらと考えると、誠実は後々の関係にもひびがるかもしれないと恐れていた。
「い、嫌ってわけじゃないけど、ほら、やっぱり多い方がわからないところも教え合えるしさ!」
「まぁ……良いけど……」
「じゃ、じゃあそうしよう! テストが終われば夏休みだしな!」
夏休み、そう誠実が言った瞬間、沙耶香は目を輝かせ、誠実に言う。
「そ、そうだね! 夏休みに補習とかになったら嫌だもんね!」
「あぁ、だからとりあえずテスト頑張ろうぜ」
何とか山場を越えた、誠実はそう思って一安心するが、沙耶香の積極的な行はこれで終わらなかった。
「な、夏休みは……誠実君と遊びに行きたいし……う、海とか……」
「う、海!?」
誠実は沙耶香と海に行くことを想像すると、2人で勉強をするよりも危険なのではないかと考え始める。
服の上からでもわかるほど、大きなを持つ沙耶香が、水著などと言ういつもよりも出度の高いものを著て自分の目の間に現れると思うと、考えるだけでも顔をが熱くなってしまう。
海に行って、実を見てしまえば、誠実はきっと一日中前かがみで過ごす羽目になるのではないかと考える。
「あ、あぁ……海も良いけど、山なんてどうだ? 最近流行りだろ?」
「う~ん、でも山は蟲がいるし、暑そうだよ?」
「た、確かに……蟲は嫌だな」
夏休み話をしている間に、チャイムが鳴り、先生が教室のドアを開けて中にってきた。
沙耶香との話はそこで終わり、沙耶香は自分の席に戻って行った。
誠実は先ほどまで沙耶香に握られていた手を見つめ、顔を赤くする。
(沙耶香の手……らかかったなぁ……)
ふとそんな事を考えながら、誠実はぼーっとホームルームをけていた。
何事も無く、誠実はその後も授業をけていた。
毎日の日課だった告白も無くなり、誠実はやる事が無い上に、やる気も起きなかった。
あっという間に放課後になり、健と武司が誠実の元にやってくる。
「誠実! 今日はボーリング行こうぜ!」
「カラオケも飽きてきたからな、たまにはをかそう」
「おぉ、良いなそれ……あ、悪い、今金欠でさ……」
ボーリングにわれた誠実だったが、自分のお財布事を思い出し、いを斷る。
「そんなん、奢ってやるよ!」
「まぁ、昨日は々あったようだし、それにそのきっかけを作ったのも俺達だ、ボーリングくらいは奢ろう」
「お、お前ら……」
友人の優しい言葉に、涙を浮かべる誠実。
しかし、誠実はよくよく考える。
考えてみれば、自分の金が無い理由は、この2人にカラオケを奢らされたからでは無かっただろうか?
それを考えると、この対応は當たり前なのでは無いか?
誠実はそう考えると、あまりこの2人に謝する気になれなかった。
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