《99回告白したけどダメでした》49話
どうなんだろう、誠実は考えれば考えるほどわからなくなっていった。
綺凜を助けたところで、自分には何のメリットも無い。
でも、何とかしたいと思っている自分が誠実の中には確かにいる。
『別に意地悪言ってる訳じゃないけどさ、そこのところどうなのかなって、そう思っただけ、別に綺凜に言うのは良いよ。私も友達の事だし』
「あぁ、そうか……ありがとう」
沙は友人だから、そういう理由で綺凜に注意を呼び掛けようとしている。
誠実はそれだけいうと、電話を切り、ベッドの上に座り、から力を抜くようにゆっくり倒れていく。
「……なんでだろう」
誠実はそうつぶやきながら、再び考える。
*
翌日の朝は快晴だった。
誠実は奈穂との約束があるので、休日にも関わらず、朝早くにベッドから起き上がり、支度を始めていた。
「こんな時に、俺は何をしてるんだか……」
昨日の事があった後で、妹とショッピングなど、実に平和であり、昨日の事がまるで噓の様で、誠実は違和を覚える。
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「あぁ~眠い……」
大きくびをしながら、誠実はそんな事をつぶやく。
著替えを終え、一階のリビングに向かうと、そこには既に著替えを済ませ、朝食を食べる奈穂の姿があった。
「ん、おはよ」
「おはようさん、ただの買いの癖に、隨分気合って無いか?」
「そんな事ないわよ、おにぃの気のせい」
誠実から見た奈穂は、なんだか普段と違って可らしく思えた。
大人っぽいじがするのだが、それでも服裝は年相応だった。
薄っすら化粧をしているからだろうか?
などと誠実は考えるが、それだけでは無いじもしていた。
「あんたら2人で出かけるなんて、珍しいわね」
母の言葉に、誠実はため息を吐きながら応える。
「無理矢理駆り出せれたんだよ」
「そうよ、おにぃはただの荷持ち」
誠実の言葉に続いて、奈穂が母に言う。
そんな2人を見て、母は短く「そう」と答えてそのまま家事に戻る。
「何時に出るよ?」
「今が9時半で良いわよ、あんまり早いと電車も混むし」
「ちなみに、今日は何軒回るんだ?」
「目についたところ全部」
「鬼か……もうし計畫を立ててだな……」
「計畫なんて立てても意味無いわよ。どうせ目移りして、他の店に行っちゃうんだから」
今日の買いは、神的にも的にも疲れそうだと、誠実は考えながら、トーストをかじる。
なんだか行く前から気が滅ってしまった誠実。
時間になり、奈穂と2人で家を出る。
考えてみれば、こうして一日2人で出かけるのは初めてで、誠実はなんだか違和を覚える。
「なんか変なじだな、お前と買いって言うのも」
「そう? 私は別に何とも、それはそうと、おにぃも一応ちゃんとした格好は出來るのね……」
「お前は俺を引きこもりか、ニートだと思ってるのか?」
誠実の服裝をじろじろと見る奈穂。
一通り見終わり、小聲で「良し」とつぶやくと、元の位置に戻って行く。
「何が良しだよ……」
「あんまりダサいと私が全コーディネートし直さないといけないでしょ?」
「何その使命……自分の服くらい自分で選ぶっての、今日はお前の服を買いに行くんだろ?」
「まぁ、そうだけど、おにぃも見たいお店とかあったら言ってよ」
「俺は良いよ、どうせ金もあんまり無いし」
誠実はため息じりに奈穂にそう言う。
全くの無一文と言う訳ではないが、財布の中がないと気分まで萎えてしまう。
そんな誠実に奈穂はニヤニヤしながら言う。
「中學生の私よりお金ないなんて、おにぃは一生彼なんて出來ないかもね~」
「うっせ! 今はそれを言うな、大お前はモデルやってるから、そんなに金持ってんだろ? 俺はバイトすらしてないんだぜ……」
「ならバイトすれば? 學校で止されてる訳じゃないでしょ?」
奈穂にそう言われ、誠実は考える。
確かにバイトは良いかもしれない、金もるし、社會勉強にもなる。
學校外で友人が出來るかもしれないし、暇な時間に働いて金になるのはうれしい。
「なるほどな……考えてみるか、どうせ毎日暇だし」
「本當に、暇なんだ……」
「おい、妹よ。あんまり兄にそんな冷たい視線を向けるな、傷つく」
そんな事を話しているうちに、誠実達は駅に到著した。
改札を抜け、電車に乗って2人は目的地に向かう。
數分ほど電車で揺られ、誠実達は大きなビルやショッピングモールなどが立ち並ぶ街に到著した。
「人多いなぁ~、休日の朝から何をやってんだか……」
「おにぃが引きこもりすぎなのよ、まずはあの店に行くわよ」
「あ! おい待てよ!」
奈穂はさっそくる店を決めると、吸い込まれるようにそのお店にって行く。
誠実は離れないよう、奈穂の後ろについて行く。
最初にったのは、向けの洋服専門店だった。
いきなりのばかりのお店に、誠実は冷や汗をかく。
「お、おれ…外で待ってても良いか?」
「なんのために來たのよ。ほら、行くわよ」
「ばか! 襟を引っ張るな!」
2人そろって店にると、の店員が笑顔で接客を始める。
「いらっしゃいませ~、本日は何かお探しでしょうか?」
「そうですね……」
奈穂が店員と話始め、誠実はその後ろでジッとその様子を見ていた。
早く終わってくれないかと思いながら、ただひたすら待つ誠実。
「これなんてどうですか?」
「う~ん、私には大人っぽすぎると思うな~」
「そんな事ありませんよ~、彼氏さんもそう思いますよね?」
「え?」
急に店員に話を振られる誠実。
彼氏と勘違いされ、誠実は「まぁ、無理もないか」などと思いつつ、特に弁解もせずに短く応える。
「あぁ、良いんじゃないっすかね?」
「もぉ~駄目ですよ? 可い彼さんなんですから、ちゃんと見てあげなくちゃ!」
フレンドリーなじの店員にそう言われ、誠実はし面倒になってしまった。
彼氏では無く、兄だと言ってしまった方が楽かもしれない、誠実はそう思い弁解しようとするが、先に奈穂が話出す。
「そうよ、なんのために連れて來たんだか」
奈穂が兄弟だと言うのかと思った誠実だったが、そうではなく自分が責められてしまった。
このままこの彼氏設定貫くのか?
などと考えながら、とりあえず想を言う。
「んな事言われてもな……何著ても似合うやつに、どれが一番良いかなんてわかんねーよ」
誠実がそう言うと、奈穂は頬を赤らめる。
そんな誠実と奈穂を見て、フレンドリーな対応の店員さんは、ニヤニヤしながら楽しそうに次の服を選び始める。
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