《99回告白したけどダメでした》56話
車が停車したのがわからないほど、車の中に揺れは無かった。
先ほどまで流れていた、外の景が止まり、誠実は栞の自宅についたことに気が付いた。
「つきました。どうぞお気をつけて降り下さい」
「は、はぁ……」
誠実は義雄に言われるがまま、車から降り外に出る。
すると誠実の目の前には、大きなお屋敷があった。
まさに、テレビなんかで見る金持ちが住んでいるようなじの屋敷で、誠実はそのまま數秒間フリーズしてしまった。
「どうかなさいましたか?」
「い、いやぁ~、デカいな~って思って……」
「そうですか? 普通だと思いますけど?」
「あ、そうですか……」
誠実は栞の家の金持ち加減を実し始め、さらに張してきた。
考えれば考えるほど、不安になって來る。
(やっべー! なんだこの家! まるで城だよ!! 手土産にケーキ買ってきたけど、この量で足りるの? 絶対この後、使用人がめちゃくちゃ出てきてお出迎え、みたいな流れになんだろ! なんか予想できるもん、なんだったら玄関のドアから、誰かこっちを覗いてるもん!!)
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玄関のドアはしだけ隙間が出來るくらいに開いており、誰かが誠実達が到著したのを確認している様子だった。
誠実は背中に変な汗をかき始め、張がピークに達していた。
「伊敷君? どうかしましたか?」
「い、いえ……これだけ広いと部屋の掃除とか大変だろうなぁ~って思って」
「そうでもありませんよ? 大きいだけで、ほとんどの部屋はあまり使われていないんです。こんなところで立ち話もなんですから、中にって話しましょう」
「は、はい!」
誠実はいよいよ中にる時が來てしまったと思いながら、栞の後ろに続いて屋敷の中にる。
栞と誠実の後ろに義雄が続く形になった。
屋敷の中にると、そこは大きなエントランスのようだった。
中央には大きな階段があり、誠実の思った通り、エントランスの右側にメイド、左側に執事、とい言ったじに合計して30人ほどの使用人が、頭を下げて出迎えた。
「「「おかえりなさいませ、栞お嬢様」」」
「はい、ただいま帰りました」
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「えぇ………」
誠実は栞の家の出迎えに圧倒され、言葉を失う。
とんでもなく場違いな場所に來てしまった。
誠実はそんなことを考えながら、誠実は張した面持ちで栞の後をついていく。
両脇のメイドと執事がコソコソ何か話している様子だった。
いつもなら、そんなに気にならないのに、こんな狀況だからだろうか、誠実はその話の容が気になった。
「あの子がお嬢様の?」
「なんか普通ね」
「そこが良かったんじゃない? お嬢様もようやく……う……涙が……」
「何泣いてるのよ、聞こえるわよ!」
「しかし、本當に普通だな」
(普通で悪かったな!)
使用人のコソコソ話を聞きながらそんなことを思う誠実。
誠実にとって、もの凄くアウェイな狀況に段々張が疲労になって來た。
中央の大きな階段を上がり、誠実と栞、そして義雄は大きな扉の前で立ち止まる。
「ここでお父様とお母様がお待ちしているはずです。まずは2人に……」
「どういう事なの!!」
部屋の中から、の大きな聲が聞こえてきた。
急な大聲に誠実は持ちろん、栞と義雄も驚く。
慌てて義雄が扉を開け、中にっていく。
「奧様! どうかいたしましたか?」
「義雄……ごめんなさい、驚かせたわね。実は主人が……」
誠実と栞も義雄の後に続き、部屋の中にっていく。
中は大きな部屋で、長いテーブルが中央に置かれ、そのテーブルを取り囲むように椅子が何個も並んでいる。
奧様と呼ばれたはおそらく栞の母だろうと想像する誠実。
高校生の娘がいるとは思えないほど、人でスタイルの良いが部屋の中におり、使用人とは服裝が違っていたので、直ぐにそれが栞の母だとわかった。
「ご主人様がどうかなさったんですか?」
「そういえば、お父様が居ませんね……お母さま、一何が?」
「私も今さっきこの子から聞いたの、どうやらどこかに一人で外出してしまったらしくて……」
「な! なんですと!!」
「お父様が!!」
聞いているだけの誠実にも、大の狀況は理解できた。
今日は誠実が來るからと、栞の両親は仕事に都合をつけて、待っていたのだろう。
しかし、いざとなってみたら、父親の方がどこかに一人で行ってしまった。
しかも誰にも何も言わずに行ってしまったため、皆心配しているのだろう。
「あら、栞、そちらの方が?」
「あ、そうです。お話していた、伊敷誠実君です」
(あ、このタイミングで紹介されるんだ……)
いきなりの自己紹介タイムに、誠実は戸うが取り合えず名前を名乗っておこうと、名前だけを栞の母に告げる。
「初めまして、い、伊敷誠実と申します!」
「この度は急な招待で申し訳ありません。私は栞の母で蓬清由良(ほうせいゆら)と申します」
誠実の由良に対する最初の印象は、優しそうな印象だった。
らかい笑顔で話かけ、立ち振る舞いや言葉遣いなどから、育ちの良さが見けられる。
黒髪を後ろで束ねて折り、簡単に言ってしまえば、栞を長させてようなじだった。
「ごめんなさい、本當は主人も一緒に挨拶をするはずだったのだけれど……」
「どこかに行ってしまったと?」
「そうなのよ、いつもはこんなことをするような人じゃないから……心配で……」
どこか不安げに顔を落とす由良。
そんな由良に義雄は落ち著いた様子で話かける。
「奧様、旦那様の行方は分かっているのですか?」
「いえ、書置きだけが殘っていたらしくて」
「これです」
部屋に元から居た、若いメイドが義雄にメモ用紙を渡す。
そこには一言だけ「し出かけます」とだけ書いてあり、それ以外は何も書いてなかった。
「一どうしたというんだ、私の知る限りでも、旦那様は約束を破るような方ではない……何が……」
深刻な表の義雄。
栞も父親の事が心配な様子で、どこか表が暗い。
そんな中で誠実は思わず口に出して言う。
「早く探しましょう!」
「え……」
「だって、こんな事いつもだとありえないんですよね?」
「そ、そうですけ……」
「なら、もしかしたら何かあったのかもしれません! 早く探しに行かないと!」
誠実の言葉でその場にいた皆がハッと気が付き、き出す。
栞も誠実の言葉で、表を戻し、キリッとしたじの表になる。
「義雄、車の手配をお願い、私も探しに行きます」
「わかりました奧様。メイドと執事を旦那様の捜索に向かわせます。奧様は私達と共に參りましょう」
「お母様私も行きます!」
「しかし、それでは伊敷さんが困ってしまいますよ?」
心配で栞も居てもたってもいられないのであろう、母の言葉に栞は「あっ」と言葉を出し、気が付く。
そんな栞の顔を見た誠実は由良に言う。
「じゃあ、俺も手伝います。折角來たんだし、挨拶していきたいですから」
「しかし、お客様にそんな……」
「大丈夫ですよ、それに人數は多い方が良いでしょうし」
そういう誠実の言葉に由良は甘えることにする。
家に著いたばかりであったにも関わらず、またしても車でドライブをする羽目になってしまった。
誠実が探すのを手伝うといったのには、理由があった。
(なんか、うちの親父と似たようなことするんだな……)
誠実の父親もたまに置手紙を殘してどこかに消えるのだ。
大抵は近くの居酒屋で酔いつぶれているのだが、一回だけ通事故に巻き込まれていたことがあった。
あの時は、家族全員がなんで探しに行かなかったのだろうと、後悔した。
そんな経験もあって、誠実はこういう事態にはし敏に反応してしまうのだ。
誠実達は、栞の父を探しに町の方に向かった。
もしも変わってしまうなら
第二の詩集です。
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