《99回告白したけどダメでした》66話

誠実は現在、自室にて考え事をしていた。

考えることは一つ、どうやって駿と綺凜を引き離すかだ。

沙に話をしておいてくれとは言ったものの、そんな簡単に信じてはくれないだろうと、誠実は思っていた。

「う~む……やはり明日か」

今日、栞と誠実が街に居た時、駿が誠実に言ったセリフがずっと引っかかっていた。

明日、駿は自分か綺凜に対して何か行を起こすのだろうと想像していたが、それがなんなのかもわからない。

「どうしたもんかなぁ~」

悩みながら椅子にをあずける誠実。

そんなことをしていると、部屋のドアをコンコンと2回ノックする音が聞こえる。

「誰~?」

「私、っても良い?」

聲のじから、誠実は直ぐに奈穂だとわかった。

なんの用かと誠実は不思議に思いながら、部屋のドアを開ける。

奈穂は部屋著姿のラフな格好で、ドアの前に立っていた。

「どうかしたか?」

「ちょっとね、っても良い?」

「え? お、おい……」

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誠実の返答を待たずに、奈穂は誠実の部屋にっていく。

奈穂はそのまま誠実のベッドの上に座り、壁にもたれ掛かりながら、近くに置いてある雑誌を読み始める。

「おい、何しに來たんだよ。俺も忙しいんだぞ」

「どうせエッチな本でも見てたんでしょ?」

「見てねーし! そんなん部屋にねーし!」

半分本當の噓をつき、誠実は先ほどまで座っていた、學習機の椅子に座りなおす。

奈穂は雑誌を読みながらベッドに橫になり始め、いよいよ何をしに來たのかわからない。

「んで、なんの用だよ。用がないなら部屋戻れよ」

「用ならあるわよ。今日のデートは楽しかった?」

「デート? あぁ、先輩の家に行った話か……別にデートでもなんでもねーよ」

(何かと思えば、今日の話を聞きたいだけか……)

やっぱり奈穂も気になるのだろうか?

などと誠実は考えながら、奈穂にそう言う誠実。

しかし、奈穂の表はどこか怒りに満ちているじがする誠実。

何か怒らせるようなことでもしたか?

などと考える誠実だったが、殘念ながら何も心辺りが無い。

「ふーん、何もなかったんだ……」

「あぁ……何もなかった……あ……」

誠実は何もなかったと言おうとした瞬間考えてしまった。

そういえば、先輩と手をつないだことは、何かあった事になるのだろうか?

などと考えていると、奈穂は雑誌から目を離し誠実の方を見る。

「あ、ってなに? 何かあったの?」

機嫌悪そうに言う奈穂。

誠実はなんでこんなに機嫌が悪いのだろうか? と奈穂に対して疑問を抱きながら、正直に話す。

別にてをつなぐ位は何かあったらないだろう、そう思って誠実は奈穂に言う。

「いや、手は握ったけど、それ以外は何も……」

言わなければよかった。

誠実は奈穂の顔を見ながら、後悔した。

なぜかわからないが、奈穂は元々不機嫌そうだった表をさらに暗くし、さらに不機嫌になっている。

なんで先輩と手を繋いだくらいで、うちの妹はこんなに機嫌が悪くなるんだ?

などと考えながら、誠実はとにかく奈穂の機嫌を取るために考え始める。

「そ、そんな事より、お前は今日は仕事どうだったんだ? 疲れてるんだし、風呂でもってきたらどうだ?」

「いい、それよりもおにぃ」

「な、なんだ?」

「おにぃっての大きな人が好きなの?」

「いやぁぁぁぁぁ!!!」

誠実はすっかり忘れていた。

奈穂が今まで読んでいた雑誌は、誠実がカモフラージュの為に、表紙を変えてカモフラージュしていたエロ本。

最近では家族の誰かが、部屋にることは無くなっていたので、誠実は油斷して出しっぱなしにしていたのをすっかり忘れていた。

誠実は大聲でびながら、奈穂が持っている雑誌を奪い取ろうとする。

「お! お前はまだ! そういうのはっ! 早い!!」

「おにぃが、出しっぱなしなのがいけないんでしょ」

奈穂は誠実をよけながら、雑誌の中を凝視する。

誠実じゃ何とか取り返そうとするが、奈穂がするすると誠実の手を逃れていくので、なかなか捕まらない。

「へぇ~、巨妹……ごめんね~巨じゃなくて」

「やめろ! そんなごみを見るような目で見るな!! それに、その雑誌の本命は一番後ろのお姉さまだ!」

誠実と奈穂は言い爭いながら、部屋の中をドタバタと走りまわる。

このままでは自分の癖がどんどんバレていく気がして誠実は、必死になって奈穂を捕まえに行く。

最早なりふり構っていられない誠実は、奈穂の後ろから抱きつき、無理やり本を奪還することにした。

「おりゃぁ!!」

「きゃっ!」

誠実は奈穂の背後から抱きつき、きを封じる。

しかし、ここで異常事態が発生した。

別にその部分をろとして抱きついたわけではなかった誠実だったが、誠実の手はしっかりとその部分をっていた。

それはもうしっかりと摑んでいた。

「な、何ってんのよ!!」

「す、すいません!!」

誠実は顔を真っ赤にした奈穂に言われ、すぐさま奈穂から離れベッドの下で土下座をする。

奈穂は顔を真っ赤にしたまま、を隠すように腕を組む。

以外にも妹のがあった事に驚いた誠実。

そんな時、誠実のスマホが、機の上で音を立てて鳴り始める。

「あ、あの……出ても良いでしょか?」

「す、好きにすれば!」

奈穂の顔はまだ真っ赤なままで、誠実のベッド上でを隠したまま座り込んでいる。

誠実はそんな気まずい空気の中、電話に出る。

ディスプレイには「蓬清栞」の名前が表示されていた。

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