《99回告白したけどダメでした》67話

そういえば電話すると言われていたと、誠実は今更ながらに思い出し、そのまま電話に出る。

「も、もしもし?」

『あ、もしもし? 誠実君ですか?』

電話の向こう側から、栞の元気で優しい聲が聞こえてきた。

誠実は、チラチラと奈穂の方を見ながら、栞に応える。

「そ、そうですけど、先輩は何かありましたか? 」

『はい、久しぶりにお父様が嬉しそうに今日の出來事を話すんです。もう子供みたいに……』

「そうですか、それは良かった」

なんだかんだで、上手くいっているようで良かったと誠実はじた。

『伊敷君のお父様を気にったようで、それは楽しそうに話すんです。本當に、あんなお父さんを見たのは生まれて初めてで……』

「せ、先輩?」

よほどうれしかったのか、栞は言葉を詰まらせ、泣いている。

ちゃんと話せたようで、本當に良かったと誠実はじながら、あとで忠志にもこのことを伝えてやろうと思う。

『ごめんなさい……うれしくてつい』

「いえ、よかったです。先輩も元気が戻ったようで」

Advertisement

『貴方は誰に対しても優しいですね……』

「いや、そんな事無いですよ。普通ですよ」

『いえ、そうやって謙遜なさるところがお優しい証拠です』

栞に素直に褒められ、誠実は気恥ずかしくなり、顔が熱くなるのをじる。

しかし、誠実はハッと思い出す。

現在誠実の部屋には奈穂が居る。

しかも、あんなことがあった後の為、なんだか気まずい。

誠実は橫目で奈穂を見ると、誠実に背を向けたまま何かをしている。

『伊敷君? 伊敷君?』

「あ、すいません。なんでしたっけ?」

『もしかして、今お忙しかったですか?』

「いえ、そんな事……」

「おにぃ~、そういえばこの巨エロ本さ~」

「お! おい馬鹿! 今そんな大聲で!」

誠実が電話しているところに、奈穂はわざと大聲を出し電話の相手にも聞こえるように「エロ本」の部分を強調して言う。

誠実は慌ててスマホのマイク部分を押さえ、口元に手を人差し指を當て、奈穂に靜かにするように言う。

しかし、奈穂は言葉を発するのを止めない。

「それと、さっき私のを! みしだいた件について、話が終ってないんですけど~」

「もう帰れよ! お前!!」

誠実は涙目になりながら、奈穂に訴える。

しかし、奈穂はそんな誠実をあざ笑うかのように、悪い笑みを浮かべて舌を出す。

「あ! せ、せんぱい! これは違くてですね!!」

誠実は電話の事を思い出し、スマホを耳元に持っていき弁解を始める。

『うふふ、兄妹仲がよろしいんですね……ところで伊敷君?』

「は、はい?」

前半の方は優しかった栞の聲が、後半にはどこか沈んでいた。

誠実は何か恐怖をじ、張した様子で応える。

『いくら妹さんが可くても、むのはどうかと思いますわ~』

「い、いや…だからそれは事故で……」

『重要なのは、んだかどうかです……んだんですか?』

「し、信じて下さい! 違うんです! あれは……」

んだんですか?』

「………はい」

なぜか急に機嫌が悪くなってしまった栞に、誠実は恐怖をじ、簡潔に一言そう言う。

すると數秒の間返答は無く、代わりに何かが割れる音が聞こえてきた。

「せ、先輩?」

『……そうですか、伊敷君は変態さんですね~』

「いや、だからそれは!」

『もしかしたら、私が今日のお禮をしたいと言ったら、エッチな事を要求されるんでしょうか?』

「し、しませんよ!」

先ほどの恐怖をじた口調から一変し、栞は悪戯っぽく笑いながら、誠実にそう言う。

本心でないとわかっていても、子にそんなことを言われ、顔を赤く染める誠実。

しかし、栞はそんな誠実などお構いなしに続ける。

『すみません、殘念ながら私はそこまでは大きい方では……』

「だからしませんから! からかうのはやめて下さい……」

『うふふ、やはり伊敷君とお話するのは楽しいですね。でも、そろそろ私は浴の時間なのでこれまでにしましょう』

「からかうのはやめて下さいよ~」

『うふふ、嫌です。だって困った伊敷君は可いですから』

「う……ま、またそうやってからかって!」

『いえ、これは本心ですよ。それではまた明日、學校で誠実君』

そういって栞は電話を切った。

電話の最後で、栞が自分の事を名前で呼んだことに、誠実は若干驚いたが、別に気にするほどでは無いと思い、スマホを機に置く。

そして誠実は、もう一つの問題と向き合う。

「……で、お前はなにしてるの?」

「ん? 別になんでも……」

「クローゼットの中をしながら言うセリフか!」

誠実が奈穂の方に振り替えると、奈穂は誠実の部屋のクローゼットの中に頭をれ、中をしていた。

まだエロ本を探しているようで、機の下もされた形跡があった。

しかし、そんな危機的狀況にも関わらず、誠実は落ち著いていた。

「なぁ、もう部屋戻れよ。時期に晩飯だろ?」

「あんたの部屋からエロ本探し出して、全部灰にするまで止めない」

「んなもんもうねーよ」

誠実の言う通り、誠実の部屋にはもうエロ本は無い、出しっぱなしにしていたエロ本以外を誠実は春の廃品回収で、すべてこっそり処分したのだ。

高校學でそっちの方も新規一転しようと、一冊だけを殘しその他はすべて捨てた後だった。

誠実は呆れた様子で奈穂に言いながら、ベッドの上の誠実唯一のエロ本を回収する。

「ほんとにそれ以外無いの? 毎晩毎晩アンタが自家発電する聲が聞こえてくるんだけど?」

「適當な事言うな! 最近はしてねーよ!!」

「あ、やっぱりしてるんだ」

「こ、この野郎~」

かまをかけられ、誠実は青筋を立てながら、奈穂を見る。

そんな中、奈穂が誠実のクローゼットから、何やら雑誌の詰まった段ボールを発見する。

「なんだ、やっぱりあるんじゃない、一どんな……」

「あ! そ、それは!!」

段ボールの中は、向けのファッション雑誌だった。

奈穂は最初、カモフラージュか? と思ったが、中を見てすぐにそうではない事に気が付いた。

そして、なぜ兄が向けのファッション雑誌を買って、保存していたかもわかった。

    人が読んでいる<99回告白したけどダメでした>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください