《99回告白したけどダメでした》68話
「……おにぃ、これって全部……私が載った雑誌」
「へ、へぇ~、そ、そうだったんだぁ~。き、気が付かなかったな~」
「じゃあ、なんでおにぃが向けのファッション雑誌なんか持ってるのよ。しかも若い子向けの」
「じ、実はおにぃちゃんには、裝癖が!」
「正直に言ってくれた方が、私もドン引きせずに済むんだけど……」
誠実は自分の選択が間違いだったことに気が付いた。
最初は兄が妹の載った雑誌を買うなんて気持ちがられるかもと思い、何とかごまかそうとした誠実だったが、それ以上に恥ずかしい事態に陥ってしまった。
「はぁ……仕方ない、まぁバレちまったし良いか……お前が始めて雑誌に載ったころから、それ集めてたんだよ……」
「な、なんで?」
誠実は恥ずかしそうな表で、奈穂から視線を逸らして話す。
奈穂もほんのりと頬を赤らめながら、雑誌をめくり、誠実の話を聞く。
「いや……まぁ……お前が載ってたから、なんかうれしくてつい……」
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「ふ、ふ~ん」
よく見ると、奈穂が載っているページには付箋がつけられていた。
「わ、悪いかよ! なんかとか友達が雑誌に載ったって言うと、気になって買っちまうだろ! そういうあれだよ!!」
「……で、どれが一番可かった?」
「は?」
奈穂は頬を赤く染めたまま、笑顔で誠実に尋ねる。
気持ち悪がられるかと思っていた誠実は、奈穂の意外な質問に応えていく。
「え、えっと……こ、これかな」
「あ~、それの撮影した時大変だったな~、何回も著替えさせられてさぁ……」
そこからし、誠実と奈穂は雑誌を片手に話をしていた。
奈穂は誠実が、話をしなかった間も自分の事を見ていてくれたと知り、すごく機嫌がよかった。
「やっぱり、こういうお前も可いけどよ……」
「う、うん……ありがと……」
「なんか普段のお前の方が、俺は良いな……」
「え……」
「生き生きしてるじがするっていうか、自然の方が俺は好きだな…」
「なっ……あ、あっそ! そんなの當たり前でしょ! わ、私そろそろ戻るから!!」
「え、あ…あぁ……」
誠実の言葉に、奈穂は真っ赤になった顔を誠実に見えないようにして、自室に戻って行く。
奈穂はベッドの上にの転がると、そのまま左右に転がり始める。
「可いんだ……そっか~、ウフフ~」
奈穂は誠実から言われたことを思い出し、顔をニヤニヤさせながら上機嫌で抱き枕に抱きつく。
そんな事をしていると、機の上のスマホが鳴った。
奈穂は何かと思い、スマホを手に取ると、マネージャーからの連絡だった。
メッセージだけで二十數件、電話は十數件來ており、奈穂は流石に電話するべきかと思い、マネージャーに電話をする。
*
休みが終わり、本日は月曜日。
誠実はいつも通りに學校に登校したのだが、今日はし學校の様子が変だった。
なんだか以前よりも視線をじる上に、誠実を見てこそこそ話をしている連中もいる。
「なんだ? 俺、なんか変かな?」
誠実は昇降口で靴を履き替えながら、誠実は自分のなりを確かめる。
「うーっす、誠実。おはようさん、何やってんだ?」
「あぁ、なんか今日はやけに人に見られてる気がしてな、俺ってなんかいつもと違うか?」
「いや? いつも通りの不細工面だぞ?」
「だよな……それはそうと武司、一発毆らせろ」
誠実は武司の言葉に不満を覚え、武司に毆り掛かっていく。
昇降口で朝っぱらから取っ組み合いになる武司と誠実。
そんな二人の元に、息を切らせて沙耶香がやって來た。
「お、前橋おはよう、気持ちのいい朝だな」
「沙耶香、おはよう。どうしたの? そんなに息を切らして?」
「笑顔で取っ組み合いしているこの狀況の方が、どうしたのって? じなんだけど……」
武司と誠実を見ながら、沙耶香は苦い笑いでそう応える。
とりあえず、誠実と武司は取っ組み合いを止め、沙耶香の話を聞くことにした。
「で、どうしたの? そんな慌てて」
「誠実が居たから走って來たんだろ? なんたって前橋のお前へのはデカいからな」
「そ、それは……まぁそれもあるけど! 違うの、大変なの! これを見て!!」
「「ん?」」
そこには、學校裏サイトという表記のSNSグループが寫っていた。
これがどうかしたのだろうか? と誠実は最初はあまりピンとこなかったが、読んでいくにつれて、沙耶香が言った大変の意味を理解し始める。
「な、なんだこれ!」
そのグループの會話を見ていくと、誠実の事を話題にしている様子だった。
しかもその容は、誠実が実は綺凜にストーカーまがいの事をしているだとか、誠実が綺凜に必要以上に付きまとっている事などがあげらていた。
「なぁ、前橋、なんでこれが大変なんだ? 誠実は前から山瀬の悪質なストーカーだぜ? それを今更、こんなグル―プで口言ったって、なんも……」
「違うの! 問題はこのあと!」
「その違うは俺がストーカーって言われてる事に対して? それともこのSNSのグループについて? 後者だったら、俺泣くかも……」
沙耶香はスマホを作し、グループのメッセージの履歴をたどり、とある場所で止めて誠実と武司に見せる。
「な、これは……」
「おいおい、マジかよ……」
そこにはとある人が長々と書いたメッセージが寫っていた。
容はこうだった。
伊敷誠実は、學校のみならず、山瀬綺凜を自宅まで付け回すガチのストーカーであり、話によれば、わざと綺凜を襲わせ、そこに自分が助けにり、好意を向けさせようとしていたという話もある。
更には、山瀬綺凜の人に襲い掛かった話もあるらしい。
メッセージにはそう書かれてあり、誠実と武司は絶句する。
「なんだこのデタラメは!」
誠実はそのメッセージを見ながら、大聲を上げる。
もちろん、こんな事実はない。
しかし、なぜこんな話が出回っているのか、誠実は分からなかった。
「違うよね、誠実君はこんな事しないよね!?」
「前橋、當たり前だ。誠実は確かにバカでアホで不細工でに……最近はモテてるな……とにかくそんな奴じゃねーよ!」
今にも泣きそうな顔で、誠実に尋ねる沙耶香に、武司がそう応える。
一だれがこんなデマを流したのだろう?
そう考えていた誠実は、昨日の出來事を思い出した。
駿とすれ違った際に言われたあの言葉を……。
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