《99回告白したけどダメでした》69話

こういう事かと誠実は思いながら、誠実はスマホを沙耶香に返す。

しかし、、同時に誠実はこうも思っていた。

(言った割にはやることがしょぼいな……)

もっと何か凄いことでも起きるかと思った誠実だったが、実際はネットに悪口書かれて終わりで、なんだか拍子抜けしてしまう。

こんな噂は直ぐに収まるだろうと、誠実はあまり気にせずに沙耶香と武司に言う。

「こんな噂、直ぐに収まるだろ? 大丈夫だって、アホらしい」

「そうだよね、所詮噂だし!」

「……果たして本當にそうだろうか?」

武司だけが、心配そうに誠実の顔を見る。

「武司、お前は心配しすぎだ。學したばっかで、お互いの事もよく知らないんだし、こういう時期に噂が流れても別に心配ねーよ」

「なら良いんだが……」

いつもなら、誠実の意見に同意し、そのうち噂も収まると笑いながら言いそうな武司だが、今日に限ってなぜか心配している。

三人で揃って教室に向かう道中も、誠実は視線をじていた。

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教室にったらったで、騒がしかった教室が一気に靜まりかえった。

「やっぱ、最近はすげーな、もう噂が出回ってるみたいだな」

「……嫌な予がする」

「まだ言ってんのか?」

誠実と武司は沙耶香と別れ、自分の席に向かい、話をしていた。

いまだに心配する武司に、誠実は呆れた様子でそう尋ねる。

「だってよ……なんか噂話をする顔じゃねーって言うか……空気が違うって言うか……」

「考えすぎだ。俺は大丈夫だから、お前が心配する事じゃねーよ」

「でもよぉ……」

「そういえば健はどうした?」

「あぁ…そういえば居ないな、どうしたんだ? あいつ……」

いつもなら、誠実と武司よりも先に學校に來ているはずの健。

しかし、今日は誠実と武司が教室に來てもその姿が無い。

風邪でも引いたのだろうか?

誠実と武司がそんな事を考えている間に、擔任の小川が出席簿を持って教室にって來た。

健が來ないまま、ホームルームが始まり、誠実と武司は健に何かあったのだろうかと思い、SNSでメッセージを送っておくことにした。

健が來ないまま時間は流れ、放課後になった。

小川に健の事を聞いてみようという事になり、誠実と武司は職員室に向かっていた。

「しかし、本當にどうしたんだろうな、先生も朝の段階だとわからなかったみたいだし」

「さぁな~、あいつは無斷欠席なんてするタイプじゃないだろうし……」

職員室に到著し、誠実と武司はドアを開け中にっていく。

「「失禮しまーす」」

「ん、伊敷と武田か、丁度いいこっちに來てくれ」

誠実たちが小川の元に行く前に、小川は2人に気が付き、手招きをして自分の方に呼ぶ。

2人が小川の元に行くと、小川は難しそうな表で誠実を見る。

「あ、あの……先生何か?」

いつもと違い、真剣な様子の小川に誠実は張しながら尋ねる。

「あぁ、ちょっと伊敷に聞きたくてな……」

「聞きたいこと? なんですか?」

「ここだとちょっと話にくい、隣の印刷室に行こう」

そう言われ、誠実と武司は小川と共に印刷室に向かった。

狹い印刷室の中で、誠実と武司は、真剣表の小川と対面になり話が始まった。

「単刀直に聞くが、お前らは今學校で広がっている噂を知ってるか?」

「えぇ…まぁ……まさか先生!」

「落ち著いてくれ武田、何も私もすべて信じているわけじゃない」

誠実と武司は、小川が何を言いたいのか直ぐに分かった。

小川は教育者として、噂の真相を確かめようとしていた。

だから、誠実と武司をこうして誰にも聞かれない場所に呼び、話を聞いて居るのだ。

「先生、確かに俺は山瀬さんにかなりの數の告白をしたけど、山瀬さんが嫌がるようなことはしてないつもりです!」

「先生もそれを信じてる。お前は學當初から山瀬にべたぼれだったが、そんな事をする奴じゃないと思ってる。だが……山瀬の親父がな……」

「え……」

綺凜の親父がどうしたのだろうか?

誠実は一気に嫌な予がしてきた。

背中からは汗が吹き出し、何もやましいことは無いはずなのに、悸(どうき)が激しくなる。

「山瀬の親父が、今日の朝來てな、娘が同じ高校の伊敷という名の生徒に酷いストーカー被害をけているらしいと、すごい剣幕でやって來たんだ」

「そ、そんな……なんで山瀬さんの親父さんが……第一俺は面識もないはず…」

「なんでも山瀬の人から聞いたらしい」

「?!」

誠実はそこですべて理解した。

駿が誠実のありもしない話を綺凜の父親に言ったのだ。

すべてを知った、誠実への信頼をなくそうと、先手を打ってきたのだ。

「とにかく、今は証拠も何もないからと、今日は帰ってもらったが、先生達もお前ならあり得るんじゃないかと言っている先生が多い」

これまでのしつこい告白が裏目に出てしまっていると、誠実はじていた。

話を聞きなら誠実は考えていた。

なぜ綺凜は、そんな事実はないと親父を止めなかったのだろう?

綺凜なら知っているはずだ、俺がそんな事をしていないことも、噂が噓であることも。

誠実は更に嫌な予がした。

「先生! なんかの間違いだ! 誠実がそんなことするわけねーよ!」

「俺だってそう信じてる。だが、伊敷にはこれまでの山瀬への異常なまでの告白歴があるからな……」

「それを言われると……お前やったの?」

「おい武司、なんだその中途半端な俺への信頼は、やってねぇよ!! 朝もお前自分で言ってただろうが! 俺がそんな事するわけ無いとかなんとか!」

「なんか先生にいわれると、そうなんじゃないかと……」

「お前を良い奴だと思った俺のを返せ」

とりあえず、今はまだ疑われているだけらしく、別に退學だ停學だという話は出ていないらしい。

「とりあえず、今日は話を聞きたかっただけだ。お前を問い詰めるつもりは無い」

「そう……ですか……あ、先生そういえば健は?」

「あぁ、そのこともあったな、あいつ今朝はいつも通り學校に向かったらしいんだ……お前達何か知らないか?」

「いえ、俺たちも連絡してるんですが、返信がなくて」

「そうか……家にも帰って居ないらしいんだ、あいつはサボりとかはしなそうだと思っていたんだが……」

誠実は自分の事もそうだが、健の事も心配だった。

健はサボリや無斷欠席などをするタイプじゃない事を武司と健がよく知っている。

何かあって休む時や、遅れるときはちゃんと連絡してくる。

もしかしたら、トラブルに巻き込まれているのだろうか?

誠実は更に嫌な予がした。

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