《99回告白したけどダメでした》75話

「ぐっ! お、お前!」

誠実の拳はそのまま駿の頬に直撃する。

しかし、駿にダメージはほとんどなく、一方で毆った方の誠実は息を荒くしながら、フラフラとその場に立っていた。

「ふん!」

「ぐあっ!!」

駿は誠実を睨みつけ、誠実を毆り返す。

誠実は再びその場に倒れてしまった。

駿は、誠実を見下ろし、そのまま誠実の頭を踏みつける。

「お前みたいな馬鹿見てると、本當にムカついてくるんだよ! 昔の馬鹿な自分を見ているようでなぁ!」

「う…うぅ……」

誠実は地面に顔をこすりつけながら、それでも再び立ち上がろうとする。

しかし、誠実にはもうそんな力殘っておらず、立ち上がるはおろか、その場からくこともできない。

「お前に良いこと教えてやる。今、綺凜がこっちに向かってるからよぉ、お前のぬれぎぬ晴らしてやるよ……ま、でもお前の大好きな綺凜は相當傷つくだろうな~、信じていた相手に裏切られて、利用していた男から助けられる。最高にわくわくする展開だなぁ!」

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「ぐふっ……」

駿は言葉の後に、誠実の腹部を思いっきり蹴り飛ばす。

誠実がもうけない事を悟った駿は、健の方を向いて歩みを進める。

「さ~て、そろそろ終わらせようか……あとはそこのイケメン君だけだしな」

誠実が健の方を見ると、健も息を荒くし、立っているのがやっとの様子だった。

先ほどまでは無傷だったはずなのに、今の健はボロボロだった。

「はぁ……はぁ……や、やれるもんなら……やってみろ」

ボロボロに無りながらも、ヤンキーたちに敵意を向ける健を見て、ヤンキーたちは恐怖をじていた。

そんな中駿だけが、恐怖をじず健に近づいていく。

「おいおい、この數相手にまだ勝てると思ってるのか? お前はこの件に一番関係ないだろ? なんでそこまでするのかね~」

「……同じ……馬鹿だからだ……」

「は?」

「お前は……俺たちを舐めすぎてる……お前も自分自自負するなら、覚えておいた方がいい……行的な馬鹿ほど……」

「うぉりゃぁぁ!!!」

健と駿が話をしているスキに、早々に倒れた武司が立ち上がり、駿に向かって思いっきり飛び蹴りをしてきた。

そして健は、そんな武司の様子を見ながら、口元をにやりと歪ませて言葉を続ける。

「……厄介な奴は居ない」

「がはっ!! な、なんでお前が……」

「あんなパンチ一発で、俺がやられるわけねーんだよ! 通信空手舐めんな!」

武司は、頭から流れるをふき取りながら、地面に倒れる駿に向かって言う。

殘っている敵の數は駿を含めて五人。

健も誠実もボロボロだが、武司はまだ余裕がありそうだった。

「頭がクラクラしてし休んでたけど、もう大丈夫だ! おい、誠実! お前もいつまで寢てんだ! 早く起きて、こいつらをかたずけねーと、山瀬さん來ちまうぞ!」

武司は駿達に囲まれながらも、決してあきらめたは居なかった。

それどころか、余裕の笑みさえ見せながら、ヤンキーたちに拳を振るっていた。

誠実は武司の言葉に、笑みをこぼし、を無理やり起こして立ち上がる。

「寢てねーよ馬鹿! ちょっと休憩してたんだっての!」

「なら、そこで倒れてるサル山の大將は任せたぞ! 俺と健はこの髪型しか個のないモブ共の相手をすっからよ!」

「なんだとおらぁ!!」

「テメェ死にてーのか!」

武司がヤンキーを刺激し、自分に注意を向ける。

怒りにを任せ、ヤンキーたちは武司に一斉に毆り掛かってくる。

武司は四人を相手にしようと、構える。

しかし、毆り掛かたヤンキーのうちの二人は早々に倒れてしまった。

「通信空手、カッコつけすぎだ……俺もまだいけるぞ」

「無理すんなっての、はぁはぁ言ってるくせによ。あと通信空手って呼ぶな!」

健は武司に遅い掛かったヤンキー四人のうち、二人を持っていたペンライトで思いっきり毆ったのだ。

「誠実! 早くしろよ、山瀬さんが來ちてしまうからな、こっちは俺と通信空手が抑える」

「だからやめろっての!!」

健と武司はそう言い終えると、再びヤンキーたちと対峙する。

四対二という狀況に加え、健の疲労が激しいうえに、武司もそれほど強くない。

狀況の悪さは変わらないが、健も武司も負けるなんて思っていなかった。

その理由は簡単で二人は同じことを信じて疑わないからだ。

それは……。

(誠実が山瀬さんの事で負けるわけがない!)

健も武司も、ずっと誠実の告白を近くで見てきたし、その思いの強さも知っている。

誠実は綺凜の為に々な事をしてアピールしてきたことも知っている。

だからこそ、二人は誠実を信じられた。

山瀬綺凜の為に戦う伊敷誠実という男は、絶対に負けないという事に……。

「まだ、立ち上がれるのか……なんでだ、なんで勝てないのにそこまで頑張る? なんで綺凜の為にそこまでできる! なんでだ!」

駿は立ち上がり、誠実と対峙しながら、聲を荒げて誠実に言う。

すると誠実は、拳を構えながら駿を睨み、ゆっくりとその理由を言う。

「好きだからだよ!」

そう誠実は言った瞬間、素早く駿の懐に潛り込み、駿の顎めがけて拳を振り上げる。

「ぐはっ! この…こいつ!」

「がはっ……ま、まだまだ!!」

誠実と駿は互に毆り合った。

顔面・腹・脇・腕、あらゆるところをに拳をぶつける。

しかし、お互いに倒れずギリギリのところで踏ん張り、倒れまいとしていた。

そういうルールなど存在しなかったが、お互いが同じことを思っていた。

倒れたら、それは敗北と同じだと。

「ふん!」

「ぐ! このぉ!!」

「が! 調子に乗るな! この野郎!!」

「が……あ……ふん!」

駿に毆られ、一瞬倒れそうになる誠実。

しかし、誠実は耐えた。

負けたくない、綺凜の為にも負けたくないと、強く思って居たからだった。

そして、お互いに限界が近づき、毆り合うペースが落ちてきたころ。

誠実と駿は肩で息をしながら、互いを睨み言葉をわす。

「い、いい加減……倒れろ……」

「お、お前…こそ……早く……しないと……山瀬さんが……」

自分の力の限界を誠実も駿もじていた。

次の一撃で、勝負が決まる。

二人はそうじていた。

「一つ聞かせろ……なんでお前は……綺凜が好きななんだ……」

「はぁ……それを話すとなると、一時間以上かかる……それでも良いか?」

「いや……もういい……」

駿も誠実もかないまま、話を続ける。

「じゃあ……教えろ……なんで俺に喧嘩を吹っ掛けた!」

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