《99回告白したけどダメでした》80話

バイキングの時間がどんどんなくなり、誠実たちはラストスパートにっていた。

「健! あと何分だ?」

「10分だ、そろそろデザートの方に行こう」

「いや、俺はそろそろギブ……」

「誠実、お前はラーメンなんか食うからだ!」

誠実たち三人はバイキングの元を取るため食べまくっていた。

月曜日という事もあり、誠実たち以外の客はなかった。

「ふぅ~……食った食った……」

「時間も丁度良い、元は取れただろう」

「ラーメンなんて食うんじゃなかった……」

誠実は完全に後半からペースが落ちてしまい、健や武司より食べることが出來なかった。

し休憩してから出ようぜ、腹が重くてうごけねぇ」

「そうだな、ドリンクバーは時間無制限のようだから、落ち著くまでゆっくりしよう」

誠実達三人は、椅子にもたれ掛かり、力を完全に抜きリラックスする。

そんな中で、健が誠実に尋ねる。

「それで、誠実は実際どっちが好みなんだ?」

「は? どっちって?」

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「んなもん決まってんだろ? 前橋と笹原の事だよ」

健と武司に言われ、誠実は考える。

どっちが好みかと言われても、正直困ってしまう。

今まで友人としか思っていなかった沙耶香と、出會ったばかりでまだ何も知らない沙では、比べる事が出來ないし、正直まだ対象として見れない。

「ま、誠実的には沙耶香じゃねーの? 巨だし」

「武司、いい加減沙耶香に怒られるぞ」

「だが、好きだろ? 巨

「まぁ……大きいのは良いよな…」

誠実は沙耶香のを思い出しながら、健と武司に言う。

しかし、それは癖の話であり、どうこうといった話とは違う気がする誠実。

「まぁ、確かに前橋も良いが、笹原もそこまで悪くないだろ? も標準だし」

「その基準やめろ」

健の言う通り、沙のも沙耶香ほどではないが普通にある。

スタイルだけで言えば、沙の方が手足が長い上にシルエットがほっそりしているので、スタイルが良いじがする。

「まだ答えなんてだせねーよ。それに、そんな基準で決めるのはなんか違う気がする」

「選べる男は言う事がちがうね~、俺なんて告白されたことすら無いのに……」

「気を落とすな武司、お前にもそのうちいい相手が見つかる」

「ほ、本當か健?」

「あぁ、十年後に婚活パーティーとかで」

「それじゃ意味ねーんだよ!! 俺は青春時代の今! 彼しいんだよ!!」

大聲で言う武司の言葉に、店の店員はクスクスと笑っていた。

「落ち著けって、俺たちの青春時代は始まったばっかりだろ?」

「そうだ、まだ學してから三カ月しか経っていない、それにもうしで夏休みだ」

「た、確かに! そうか……確かにまだ俺たちは高1! 周りがモテるから焦りすぎてたぜ!」

すっかり元気になる武司。

しかし、誠実は夏休み前に何か忘れていることがある気がして、思い出そうと頭を悩ませていた。

「なぁ…夏休み前に、すごく面倒な何かが無かったか?」

「面倒なのは夏休みの宿題だろ?」

「いや、それ以外に何か………あ」

そこで誠実は思い出し、顔を青ざめる。

「こ、今週の金曜から……テストだ……」

「「あ……」」

それを聞き、誠実達三人は一気に顔を青くしフリーズする。

「やべぇぇぇ!! 全く勉強してねーぞ!」

「最近は誠実の周りが騒がしくて、それどころじゃなかったからな……」

「お、俺のせいかよ! 俺だって勉強なんかしてねーよ!!」

三人は一斉に鞄から教科書を取り出し、テストの範囲を確認し始める。

「おい! 數學ってどこからどこまでだ?」

「てか、誠実は前回のテスト學年一位だろ! 勉強教えろ!」

「あの時は、山瀬さんが頭のいい人が好きって言うから頑張っただけで、俺は基本バカだよ!」

満腹になった事をすっかり忘れ、誠実たちはテスト範囲の確認をする。

時刻はすでに21時を周り、誠実たちはとりあえず店を出る。

「やばいぞ! 赤點あったら、夏休みに補習だろ? 俺の青春が!!」

「武司、落ち著け! 確か赤點は40點以下だ! つまり、全教科41點を目指せば行ける!」

「今から間に合うのか?」

「明日から勉強會だ! 健の家で!」

「なんで俺の家なんだ?」

「お前の家が広いからだよ!」

わーわーと焦って対策を練る誠実たち。

次第に落ち著きを取り戻し、とりあえず明日から頑張ろうという事になり、解散する誠実たち。

「誠実!」

「ん? どうした?」

別れ際に健が誠実に聲をかける。

無表の健だが、その目はどこか心配しているようなじだった。

「噂は俺たちが消す、だから……何を言われても気にするなよ?」

「おう! 任せとけ、それに言うだろ? 人の噂も六十五日(ろくじゅうごにち)って!」

「武司……それを言うなら七十五日(しちじゅうごにち)だ、十日足りない」

「どっちでも良いんだよ! とにかく心配すんな!」

そんな二人のやり取りを見て、誠実は笑う。

隨分心配をかけ、迷もかけたしまったと反省する誠実。

この二人がいなかったら、自分は今笑えていないんだろうなと考えながら、いつもの調子で二人に言う。

「お前ら本當にバカだな! 俺が今更そんなん気にするかよ、ストーカーだぞ? 俺は」

「「うわっキモ……」」

「おい! この流れでなんでその返しなんだよ!」

誠実は武司と健と別れ帰宅した。

家に著く頃には21時30分になっていた。

「ただいま~」

「あんた、遅かったわね……ってどうしたの? 不細工が余計に不細工になって」

「母さん…息子をいじめて楽しいかい?」

いつものように、誠実に厳しい母親に、誠実は肩を落としながら応える。

「まぁ々あってな…風呂空いてる?」

「お父さんと一緒で良いなら空いてるわよ?」

「開いてないならそういって……」

誠実は風呂を諦め、風呂が空くまで自室で待つことにする誠実。

部屋にり、誠実はベッドに橫になって力を抜く。

「あぁ~疲れた……」

疲れたかいもあり、ようやくモヤモヤしていたことが解決し、誠実は満足した様子で目を閉じる。

「……終わったなぁ~」

本格的に誠実は自分のの終わりをじ、誠実は笑いながら涙を流す。

これまで泣かなかった分、誠実は疲れと同時に涙があふれてきた。

「ま、いっか………」

口ではそういう誠実だが、心は悔しくて仕方なかった。

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