《99回告白したけどダメでした》88話
「ただいま~」
「お帰り」
帰宅した誠実を出迎えたのは、部屋著姿の奈穂だった。
なぜか不機嫌そうな表で、玄関先で腕を組み、仁王立ちで誠実を出迎える。
「おぉ、どうした妹よ? そんな不機嫌そうに」
「別に……今日、なんで遅かったの?」
「ん、メッセージ送ったろ? 勉強會だよ、勉強會」
「誰と?」
「友達と、そろそろ良いか? 部屋でテスト勉強しないと」
誠実は靴をぎ、奈穂の脇をすり抜けようとする。
階段を上がっていく誠実を見送りながら、奈穂は誠実に言う。
「昨日、なにあったか知らないけど、怪我してるんだから早く帰ってきなさいよ……心配するでしょ…」
奈穂のその言葉を聞いた瞬間、誠実は奈穂が自分の事を心配してくれていたんだという事にようやく気がついた。
誠実は奈穂が心配してくれた事がうれしくなり、冗談じりに奈穂に言う。
「そうかそうか~、そんなにおにぃちゃんが心配か~、何なら今日一緒に寢てやろうか?」
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「っ! 馬鹿!」
「ぶっ! スリッパを投げるなよ……」
誠実の言葉に、奈穂は顔を真っ赤にし履いていたスリッパを誠実の顔面に投げつける。
奈穂はそのままリビングにっていってしまった。
誠実はそのまま自分の部屋に行き、制服から部屋著に著替え始める。
すると、誠実の制服のポケットにっていたスマホが音を立てて振し始めた。
「ん、電話か?」
スマホを取り出し、畫面を見るとそこには蓬清栞と映し出されていた。
栞からの電話に、誠実は何の用だろうと疑問を浮かべながら電話に出る。
「もしもし?」
『あ、誠実君ですか? 栞です』
「あ、先輩どうも、どうかしましたか?」
『何か無いと電話してはいけませんか?』
「あ、いや…そういう訳じゃなくて…その……」
『うふふ、ごめんなさい。し意地悪でしたね』
「勘弁してくださいよ~」
一瞬冷やっとした誠実だったが、いつも通りの栞で一安心する。
『実はですね、誠実君に聞きたい事がありまして……』
「聞きたい事ですか? ホモではないですよ」
まさかあの新聞の事ではないかと思い、誠実は先に否定しておく。
しかし、そんな噂ごときで栞がわざわざ電話をかけてくるとは思えず、誠実は違う事だろうなと思う。
『そのこともありますが、本命は別です』
「あ、そうだったんですねぇ……」
やっぱり知っていたのかと、誠実は若干ショックをける。
あの新聞を見た栞は、今の自分の事をどう思っているのか、し気になった。
否定はしたが、正直全力で誤解を解きにいきたいと誠実は思っていた。
『実はですね、夏休み中に誠実君と誠実君のお父様を家にご招待したいと思っているんです』
「え? 俺と親父ですか?」
『はい、いろいろお世話になりましたし、いつかのお禮も兼ねてと思いまして』
そういえばまた改めてなんて話をしていたなと思い出す誠実。
夏休み中だし、親父と一緒ならそこまで張もしないだろうと考え、誠実は二つ返事でOKする。
「じゃあ、夏休み中にお邪魔します。すいません、気を使ってもらって……」
『いえいえ、私達が招待したいだけです。気にしないでください』
金のある人は心もかなのかな? なんて事を考えながら、誠実は栞との通話を続ける。
『それでは、詳しい日にちなどは後ほど……それと誠実君』
「はい?」
『誠実君は最近、人生二回目の告白をけたそうですね』
「え!」
なんで栞が知っているんだと、誠実は驚き言葉を失う。
それと同時に、なんだか栞の話かたがすこし厳しくなったじがした。
『どうなんですか? 本當ですか?』
「ほ、本當です……」
『どこのどなたですか?』
何でそこまで追求してくるのだろうかと、誠実は疑問に思いながら沙の事を話す。
『そうですか……返事はどうするんですか?』
「えっと……なんで先輩がそんな……」
『どうするんですか?』
「まだ決めてません」
栞の口調の厳しさに、誠実は反論出來ずに思わず応える。
一どうしたのだろう? 先ほどまではあんなに優しい口調で、まるで神と會話をしている用だったのに、今は大魔王と會話している気分だとじる誠実。
『誠実君』
「は、はい!」
『あなたはどんなが好みなんですか?』
「は、はい?」
なぜそんな事を急に聞いてくるのだろうかと、誠実の疑問はどんどん増えていく。
明らかに機嫌の悪い栞。
誠実はなんとかいつもの神のような栞に戻ってもらおうと、栞の質問の答えを慎重に選んでいく。
そして、誠実は栞の機嫌を損ねない回答を思いつき、栞の質問に答える。
「先輩みたいな優しいです!」
『……!!』
「せ、先輩?」
そう誠実が答えた瞬間、電話の先で栞の聲ではない、大きな音が聞こえてきた。
何かまずい事を言ってしまっただろうかと思い、誠実は栞に呼びかける。
『な、なんでしょうか?』
「い、いや……凄い音だったので…大丈夫ですか?」
『だ、大丈夫です!! ま、全くせ、誠実君は……年上をからかうんじゃありません!』
「え、いや、冗談ではないんですが……」
確かに誠実は、栞の機嫌を取ろうとしてあの回答をしたが、別に噓ではない。
栞のような綺麗で優しいが彼だったらと、昔の自分なら考えていたかもしれないし、栞のようなは魅力的だと誠実は思っていた。
『な……な、なにを……きょ、今日は失禮します! おやすみなさい!!』
「え、ちょっ! 先輩??」
栞からの電話はそこで切れてしまった。
一何だったのだろうと誠実は不思議に思ったが、とりあえず次に會ったらちゃんと謝ろうと決めた。
「って、こんなことをしてる場合じゃない! 勉強せねば」
誠実は後二日後にテストだと言う事実を思い出し、鞄から教科書を取り出して勉強を始める。
テストが終われば夏休み。
早速予定も出來始め、絶対に補修になる訳にはいかない誠実は、前回のテストほどではないが、しっかり勉強を始めた。
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