《みんなは天才になりたいですか?僕は普通でいいです》10.メロンソーダ
「文人くん、今日は付き合ってくれたお禮に何か……そうだ。晩飯をご馳走するよ」
「え?  いやいや、僕も買いしたかったし、そんな気を使わなくていいぞ?」
「ううん。是非お禮をさせてほしいな。お金も全部使ったわけじゃないから」
ずっとしかったグッツを手にれることが出來て、よっぽど嬉しかったみたいだ。斷って詩歌の気持ちに水を差すのも悪い気がする。
お禮のお返しはまた改めてするとして、ここは詩歌の提案に乗っておいた方が良さそうだ。
「いいのか?  じゃあ、お言葉に甘えて。ご両親にはちゃんと連絡しとくんだぞ?」
「うん。わかった。文人くんは何か食べたいもの、あるのかな?」
「そうだな。この辺だと、マクドナルドとかサイゼリアかな?」
我ながらかなり無難なところだな、と思いながら提案する。
「じゃあ…サイゼリアにしようか。久しぶりにドリア食べたいかも」
「よし、じゃぁ決まりだな。この時間ならまだ混んでもいないだろうし、いってみようぜ」
注文を終えた僕達はドリンクバーにジュースを取りに行く。詩歌はメロンソーダを選んだようだ。
「詩歌ってメロンソーダ好きだよな」
「うん。味しいよね、メロンソーダ。あのね、たまに思うんだけど、コンビニやスーパーでメロンソーダってあまり売ってない気がするんだよね……なんでかなぁ」
「うーん、言われてみれば確かにそうかもしれないな。マクドナルドとかケンタッキーとか、ファーストフード店には必ずと言っていいほど置いてあるのに、小売店ではあまり売ってない印象はあるな」
「だよねだよね。なにか……裏で大きな力が働いてるんじゃないかと思うんだよね。いや、そうとしか考えられない」
いったい何の組織が何の目的でメロンソーダ販売を規制しているのだろうか。
「よく分からないけど、詩歌がメロンソーダを好きだって事は伝わってきたよ。炭酸が好きなのか?」
「炭酸、好きだよ。文人くんは炭酸きらい?」
「炭酸はきらいじゃないぞ。まあ特別好きって訳でもないけど。でも夏とか、が乾いた時は炭酸に限るよな」
「うん、うん、流石だね。限界まで我慢した後で、一気に炭酸を流し込んだ時のあの爽快……尋常じゃないよね。……ジンジャーじゃないね」
「……全く、しょうが(生姜)ない奴だなあ。ジンジャーだけに。なんてな」
「出來る……!」
詩歌は普段は大人しくてあまり何かを主張するタイプではないんだけど、好きなや好きな事については結構喋ったりする。
冗談も通じるタイプだから喋っていて結構楽しかったりする。ふわふわとした印象の見た目とらかな雰囲気が相まって、幻想的とまでは言わないが、なんとなく神的にじるのは僕だけだろうか。
學校でもこのくらい喋れば、結構人気者になったりして……なんて事を考えながら食事を済まし、帰路についた。
後は野となれご令嬢!〜悪役令嬢である妹が婚約破棄されたとばっちりを受けて我が家が沒落したので、わたしは森でサバイバルすることにしました。〜
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