《みんなは天才になりたいですか?僕は普通でいいです》27.トレーニング!
日が暮れるまでしっかり海を満喫した僕たちは別荘に帰り食事を済ませた。たよりは誰かと電話中、詩歌はお風呂にっているという狀況で、特にやることもないので一旦部屋へ戻ることにした。
「あ。月見山さんも部屋に戻ってたんだな。今は詩歌が風呂にってるみたいだから、次は月見山さんるか?」
「え、先輩と一緒にですか? それは流石に……」
「誰も一緒にとは言ってないだろ!」
「冗談ですよ。あと私は最後で良いです。今からちょっとやりたい事がありますので」
「やりたい事?  どこかに出かけるのか?」
「いえ、日課のトレーニングをするだけです。先輩も一緒にやります?  ま、先輩が私のメニューについてこれるか分かりませんけど」
「へー。遊びに來てるのに心だな。そしてこの僕を煽ったことを後悔させてやるぜ」
悪戯に笑う後輩に、宣戦布告した僕だったが、挑発に考えなしにのった訳ではない。運部に所屬していないとはいえ、筋トレは結構やっている方なのだ。暇だから。
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高校生男子の平均と比較して、筋力は多くはないにしてもない方では無いはずだ。
「それは楽しみですね。ではまずは幹トレーニングから始めましょう。やり方はご説明しますので」
「幹か。たまにテレビとかで特集されてたりするけど、実際効果あるのか?  なんか地味なイメージがあるんだけど。トレーニングと言ったらやっぱりダンベルとかでガシャガシャやった方がいいんじゃないの?」
「確かに幹トレーニングは地味ですが、馬鹿にはできませんよ。ウエイトトレーニングも効果的ではありますが、バスケに関していえば幹の方が重要と思います。個人的にはですけど」
「そうなの?  でも外國のバスケ選手とかムッキムキじゃないか?」
「ムッキムキではありますけど、幹トレーニングの技はむしろ外國の方が先をいってますよ。要はバランスが大事ってことです」
「そんなもんか。ま、取り敢えずやってみるよ」
「そうですね。百聞は一見にしかずです。それではまず肘をついてうつ伏せにーー」
こうして月見山さんとのトレーニングが始まった訳だが、正直に言おう。僕がついていけたのは最初の15分程度だった。
幹、パネェっす。腹筋つりそうです。早々にリタイアした僕だったが、トレーニングを続ける月見山さんを眺めている。
眺めてはいるんだが、月見山さんはかれこれ一時間近くトレーニングを続けている。幹から始まり、自重での筋力トレーニング、ストレッチ等々、フルコースだ。
朝早くから移し、日中は遊びまくったわけだが、一どこにそんな力が殘っているのか不思議でならない。
「月見山さん、きつくないのか?  し休んだ方がいいんじゃない?」
「まあ、きついですよ。でも休憩はインターバルでちゃんと、とってますので大丈夫です」
表からは苦痛があまり読みとれなかったが、やはりと神的な負擔はかなりなものみたいだ。常にポーカーフェイスでいることもトレーニングの一環なのだろうか。
きつくても苦しい顔を見せない、はったり、相手への牽制。普段から心掛けていないと本番でいきなり出來るわけがない。
「そうか。あまり無理をするなよ」
「心配してくれてるんです?  優しいですね、先輩」
「そりゃ心配くらいするさ。今日はも疲れてるんだし怪我でもしたら元も子もないからな」
「ありがとうございます。でも大丈夫ですよ。普段は部活での練習の後に自宅でランニングしてからトレーニングをしてますので。海で遊んだくらいへっちゃらです」
「ええ?!  部活した日でもそんなにトレーニングしてるのか?」
「當たり前じゃないですか。上手くなるためにはこれでもまだまだ足りないくらいですよ」
「想像を絶するな。あのさ、前々から聞いてみたいと思っていた事なんだけれど、なんでそこまで頑張ることが出來るんだ?」
一通りトレーニングを終え、カバンからバスケットボールを取り出してハンドリング練習をしている後輩に問いかける。
やけに大荷だとは思ってたけど、まさかボールを持ってきてるとは思わなかったよ。ここまでくると執念だな。
「それは……うーん」
いつもズバズバとした言いの月見山さんが珍しく言い淀んだ。
「あ、いや。言いたくなかったらいいんだけど。し気になっただけだからさ」
「言いたくないとかでは無いんですけど……聞いていて面白い話ではないと思いますよ?」
「月見山さんが良ければ是非、聞かせてほしいな」
「分かりました。えっと、何からお話しましょうか」
そう言いながら顎に手を當て首を捻る仕草をする。
「そうですね、まず先輩は私の型を見てどうじますか?」
そう言いながら両手を広げる形で自分のを見るように促す。
「くも魅力的なだと思うけど?」
「すみません、先輩の癖の話ではなくてバスケ選手としてです」
「じょ、冗談に決まってんだろ!  分かってるよそれくらい」
「……」
「あ、あれだな。バスケット選手としては、申し訳ないけどやっぱり長が低いとは思うな。あと、晝にを見た時も思ったんだけど、なんていうか線が細いっていうか。し頼りないじに見えなくもない」
「そうですね。先輩が私の著替えを覗いた事は大目に見るとして、実際私のはスポーツ選手としては恵まれているとは言い難いですね。言い訳にはしたくないのですが、現実として筋がつきにくい質なんですよ。こればっかりは生まれ持ったものなのでしょうがないですけど。個差というやつです」
「ちょっとまて。僕は別に著替えを覗いたわけではないぞ」
「長もそうですけど、バスケットボールプレーヤーにとってフィジカル……の強さはかなり重要になります。技をいくら磨いたとしても、それを発揮できる狀況を作り出すにはどうしたっての強さがいるんです」
「おい、スルーするんじゃない」
「なので私は人一倍努力してを作る必要があるんです。長をばす事はできませんが、つきにくいとはいえ筋力はある程度なら鍛えることができますから。他の人の三倍やってやっと追いつけるくらいですけどね」
「それでこんなにハードなトレーニングをしているってわけか」
「はい。あとは新陳代謝があまり良くないのか、汗をあまりかかないんですよ私。ちなみに人間が何故汗をかくかご存知ですか?」
「溫調節だろ?」
「そうです。だからに熱がこもるんですよ。ってみます?」
あれだけのトレーニングをした後にも関わらず、月見山は確かに汗をあまりかいていなかった。僕としては汗臭くならなくて羨ましいなとか思うけど、スポーツ選手にとっては決してプラスな要素ではない。
差し出された腕を恐る恐るってみると、に閉じ込められた熱が即座に僕の手のひらに移するのが分かった。
「先輩の手、冷たくて気持ちいいです。しばらくそのままでお願いします」
「僕の手が冷たいんじゃなくて月見山さんのが熱いんだよ」
「そうですね。今、ざっと説明した様に的な面で々とマイナスな部分があるわけです。でも勘違いはしてしくないんですけど、それを悲観しているわけではありませんよ?  パワーはありませんが、その分スピードには自信があります。それにドライブ……えっと、ドリブルをつきながらゴールに向かって切れ込むことですけど、小さい分、低い位置でドリブルが出來るので相手にとってはボールを奪い辛いですし、小回りが利くので止めにくいと思います。軽四みたいなもんですね。ドライブだけに」
「誰が上手いことを言えと……」
「まあ、軽四は逆に停めやすいのも売りですけどね」
「駐車し易いってか」
「ちゅーしやすい?」
「ごめん、話が全然進まないんだけど……」
「失禮しました。えっと、なんでそんなに頑張るのかって話でしたね。それをお話する前に、一つ約束してもらえませんか?」
約束? 一何を…?
「私のことを嫌いにならないって約束してもらえますか?」
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