《みんなは天才になりたいですか?僕は普通でいいです》77.計畫通り……②
食事を終えた僕たちは、駅前のショッピングモールでウインドウショッピングをしながら、だらだらと歩いてる。
ウインドウショッピングとは名ばかりの、目的地の無いただの散歩と言い換えることもできるけど。
昔はデートの定番と言っても過言では無かったであろう【買い】も、今ではただの口実になりつつある気がする。
現代社會で何かしいものが発生した場合、大半の人がまずはパソコンなりスマートフォンで報を集めるだろう。
スペックの確認、価格の比較、畫像検索からレビュー畫まで。下手をすれば店頭で実際に現を見るよりもはるかに多くの報を簡単に、しかも瞬時に探し出すことができる。
どうしても現を見てから購したいという人も、目的のアイテムが自分の住んでいるエリアのどこの店舗へ行けば在庫があるかまで調べる事が可能だ。
そうなってくると、目的のを手にれるための道のりは一本道となり、ブラブラと々な店を散策しながら買いをする必要はほぼ無いに等しい。時間の無駄とすらじる人もいるだろう。
Advertisement
だけど、それはそれ、これはこれ。
実際に、たよりと目的もなく【買い】をするのはとても楽しかった。服のショップにるのは流石に恥ずかしかったので遠慮させてもらったけど。
逆に男服のショップに、たよりがることには誰も何の嫌悪も抱かないのに、男が逆になるだけで、何故あれ程の気まずさが生じるのだろうか。男平等社會とは一……
別に何かを買うつもりがあった訳ではなかったんだけど、たよりに似合っていると言われた、し厚手のコートを衝買いしてしまったのは、無意識のうちに上がってしまったテンションの所為ということにしておこう。
その後、雑貨屋や本屋にも寄ったが、結局たよりは何も買わなかった。
「なんか悪いな。僕だけ買いしちゃって」
「別にいいよ。いま私、お財布ピンチだから」
「あぁ……なるほどな。ひょっとして僕だけ楽しんでいて、お前に退屈な思いをさせていたんじゃないかとし心配になっていたんだよ」
「……文人、私といて楽しいの?」
「え? そりゃ楽しいけど……」
「ふーん」
たよりはまたそっぽを向いてしまった。まるでバッチを持ってないポケモントレーナーになった気分だ。今日は全然こっちを見てくれない。
結局たよりが楽しめているのかどうか分からないままだ。
「それより次はあっちに行こう」
「え? まだ歩くのか?」
「うん。せっかくだし々見よう」
「でもお前、財布ピンチだったら何も買えないんじゃ……」
「大丈夫、行こう」
珍しく強引なたよりに引っ張られる形で買いを続ける。
そして気づけば外は夕日が沈みかけるほど時間が経っていた。
見慣れた街を、たよりと二人でこれ以上ないくらい探索して、僕の足は棒の様になってしまった。
「歩きすぎて足が痛くなっちゃったよ。し休憩しようぜ」
「計畫通り……」
「ん? 何か言ったか?」
「ううん、何でもない。あそこのベンチに座ろう」
「ベンチか……外は冷えるし、どこか店にって暖かい飲みでも飲むか?」
「あそこのベンチに座ろう」
「お、おう」
どうやらこれも、たよりのプランの一つだったらしい。
僕を歩き疲れさせて、どこかのベンチにい込みたかったのか……
そんな回りくどいことをしなくてもいいのにと思う反面、そこまでしてくれることに対して謝の気持ちが湧いてくる。
ベンチに座った僕は、パンパンに張ったふくらはぎをマッサージしながらふーっと息ついた。
「文人、々連れまわしてごめんね」
「全然いいよ。いい運になったしな」
「そかそか」
「「…………」」
「寒いね」
「そうか? たくさん歩いてが火照っているのか、案外寒くないんだよな」
「え? そうなの……」
「「…………」」
「文人、寒くなった?」
「いや……」
「寒くなったら教えて」
なんだそりゃ、とツッコミたい気持ちもあるけど、たよりって格通りで、アドリブがきかないタイプだったんだな、とし可笑しくなった。
僕が寒さに震えるのをじっと待っている。何を狙っているのかは知らないけど、ここは、たよりの策略に綺麗にはまるために、本當に寒くなるまで僕も待つことにした。もう秋とは言い難い程の外気溫だから、そんなに時間は掛からないのだから。
「たよりは寒くないのか?」
「ちょっとだけ寒い」
「大丈夫か? 県大會の前に風邪なんてひいたら灑落にならないぞ」
「大丈夫」
こいつの大丈夫は、全然大丈夫じゃないんだよな……
僕はおもむろに自分の著ていた上著をたよりの肩にかける。
「あっ……」
突然の僕の行に驚きすぎて聲にならない聲をらすたより。
僕としてもこんなイケメン行をとっている自分に驚いている。漫畫やドラマの中の出來事で、自分には一生縁のないシーンだと勝手に思い込んでいた。
でも、たよりが寒そうにしている姿を見て、それを放っておける程、僕は腐ってはいなかったようだ。
「だめ。文人が風邪ひいちゃうから」
「大丈夫だ。さっき、たよりに選んでもらったコートがある」
僕は先ほど買ったばかりのコートを袋から取り出す。そしてタグに指を掛けて思いっきり引っ張ってみる。
……けど、當然のごとく僕の非力な腕ではタグをちぎり取ることは出來なかった。
指がちょっと痛くなっただけだった。
せっかく格好よく上著を貸したのに、これじゃあ逆に格好悪いじゃないか……こんなことなら、すぐに著れる様にお店でタグを切ってもらっておけばよかったと激しく後悔した。
「ちょっと貸して」
たよりが僕からコートを取り上げ、タグのあたりを口へ運ぶ。
【カリッ】という聞き心地の良い音を立てながら、八重歯でタグを止めているインシュロックを噛み切った。
「おお。凄いな……てか僕、格好悪すぎだな。ははは……」
「そんな事ない。文人は……かっこ……ごにょごにょ」
「え? 何だって?」
……このセリフを口に出來たということは、僕は鈍ラノベ主人公だと罵られる覚悟を決めれたみたいだ。
「そ、それはいいとして……もうこの流れで渡しちゃお」
「渡す……?」
「はい、これ。かなり早いけど、クリスマスプレゼント」
「え!? ぼ、僕にか?」
「他に誰がいるの」
ガサガサと音を立てながら、たよりは自分のバックから僕へのプレゼントを取り出す。
「開けちゃうね」
袋の上部についているリボンを外して中からマフラーを取り出して、コートを著終わった僕の首にくるくると巻き付ける。
そしてどうでもいいかもだけど、顔が近い……
「な、なんで? 凄く、本當に嬉しいんだけど、どうして僕なんかに」
「べ、別に……えっと、ほら、特訓に付き合ってくれたし……そのお禮も兼ねて」
「それは僕がしたくてしたことだし、お禮をもらう事じゃないって……」
「もー、いいから貰っといてよ」
「……でもなんでこのタイミング? ほんとにクリスマスまでは、まだ結構あるぞ?」
「だって、もうかなり寒くなってきてるし、早く渡したほうが長く使ってもらえるじゃん。それに……クリスマスは……わ、私が忙しいから」
そう言えば、県大會で勝ち進むことができたら、ウインターカップがちょうどクリスマスから年始にかけてあるんだったな。
県の代表校としての全國大會。クリスマスだろうがなんだろうが練習が休みになるわけがない。
と、すっとぼけるのはやめよう。ひょっとして、たよりは僕と二葉の関係に変化があったことに気付いているのかもしれない。確信はないけど。
それで……遠慮をしているのか?
僕は本當に最低だな。二葉にも気を使わせ、たよりにまでこんな思いをさせて……
さすがにこのまま鈍ラノベ主人公ではいられない。敏ヘビノベ主人公にもできればなりたくはないけど……
「たより、本當にありがとう。でも……これはけ取れない……」
冥府
山中で夜間演習中だった陸上自衛隊の1個小隊が消息を絶った。 助け出そうと奔走する仲間たち、小隊を付け狙う地獄の使者、山中一帯に伝わる古い伝承。 刻々と死が迫る彼らを救い出すため、仲間たちは伝承に縋る。 しかしそれは、何の確証も一切ない賭けだった。 危機的狀況で生きあがく男たちの戦いを描きます。 カクヨムにも掲載しています。
8 140どうやら魔王は俺と結婚したいらしい
俺達が普通に何気無く生活していた時、突然俺達の世界に謎の建造物が現れた! その名は魔王城! そこには人ではない魔物が住んでいて、その魔物達が人間達を襲い混沌とした日常が訪れる……なんて事にはならずに俺達は何気無く普通の生活を送る。 なにもしてこないなら良いか、俺を含めた皆が安心していた時、俺の身にあんな事が起きるなんて想いもしなかった……。 この物語は俺が魔王に拐われ魔王城や色んな所でドタバタする、そんな話である。 ※ なろう、の作者、麥茶ライスさんがイラストを描いてくれました! 2話にあります、ありがとうございます。 ※表紙は、小説家になろう、の作者、麥茶ライスさんのイラストを使わせて頂いております。 ※この小説は、小説家になろうにも投稿しています。
8 59義妹は引きこもり美女
俺は、岡宮 大和。17歳、妹も17歳。最近妹がよく俺をみているが、なんでだろう? 私の名前は、岡宮 凜空。17歳 お兄様が大好きなヤンデレ引きこもりです♪
8 121公爵令嬢!政略結婚なんてお斷り!!
公爵令嬢のルーナはほぼ毎日のよう婚約の話が入ってくる。そんな日々にうんざりしていた所お父様の頼みより王城が開く立食パーティヘ。 そこで出會った男性に一目惚れされてしまい……? ***** しばらく更新停止とさせていただきます、 申し訳ありません
8 180腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが 特別編 〜美少女転校生と始める學園生活〜
この作品は「腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが」の特別編です。 2年生になった主人公藤山優はある日転校してきた山田ミーシェと仲良くなったことで今までの冴えない學園生活とは一転、振り回されることに?! 學園×戀愛×青春です。 戀愛ものは初めてですが、頑張ります。
8 171俺の許嫁は幼女!?
上ノ原 陽一(かみのはら よういち)は、ある日母親にこう言われた。 「あなたに許嫁ができたわ。」 それからというもの俺の人生は一変してしまった。 カクヨムでも、「許嫁が幼女とかさすがに無理があります」というタイトル名で投稿してます!話の內容は変わりませんがあちらの方でも投稿して貰えたら光栄です!
8 91