《みんなは天才になりたいですか?僕は普通でいいです》94.エースの自覚
「だいぶ苦戦してますね」
「……」
たより達が予想外の苦戦を強いられているのが不安になり、ついお隣さんに話しかけてしまった。……が、お隣さんからの返答はない。
ハーフタイムの間、ベンチで話す選手たちの顔は明るくない。
何を話しているかはここからは聞こえないが、あの険しい顔を見れば、おおよその容は予想がつく。
「あ、あの……?」
「……っえ!?」
「あ、いえ……どうしたんですか?」
「いや……なんとなく……嫌な予が?」
「え?」
「あ! ごめんごめん、こっちの話! えっと、苦戦してるって話だよね」
返答はしてくれているが、お隣さんの視線は高橋先輩からまったく逸れていない。いや、正確には高橋先輩とその隣にいる夕凪先輩を行ったり來たりしている。その眼はまるで獲を狙う鷹の様な……いや、これ以上はやめておこう。
「相手のディフェンスいいね。特に夕凪さんをマークしてる子、凄い……」
「よくあんなにけますね。見ているだけで息があがりそうですよ」
「一朝一夕でできることじゃないと思うよ。たぶん……毎日毎日、地獄の様な練習を耐え抜いた結果なんじゃないかな。……でも」
でも……?
「それでも、やっぱり越えられない壁って……あると思うんだよね」
「それは……どういう……?」
いや、なんでもない! と、お隣さんは答える。その真意は、今の僕にはよくわからない。ただ、お隣さんの顔は先ほどまでとはうってかわって、どこか寂しそうな表に変わっていた。
……しかしこの人、結構忙しい人だな。喜怒哀楽が激しいというか、がダイレクトに表にでるというか……。僕の周りには今までいなかったタイプかもしれない。もし、こんな人が友達に一人いたら、きっと毎日楽しいんだろうなと思った事は、お隣さんには緒だ。
そうしているうちにハーフタイムは終わり、後半戦が始まる。コートに出ているメンバーは、両校とも変更はない。
立ち上がり早々、夕凪先輩にボールがる。あくまでもうちの高校は、夕凪先輩を中心に攻めるスタイルを崩さないようだ。
 夕凪先輩がボールをもらった瞬間、會場に一瞬の靜けさが漂う。いや、正確には【靜けさが漂ったような気がした】だ。
だけど確かに僕はじた。背中から後頭部にかけてぞわぞわとした何かが通過していく覚を。
よく漫畫やアニメで表現されるような、絶対的強者が本気を出した時のあのじ……凡人はただ圧倒される事しかできない展開が容易に予想されるあのじ。
語のクライマックスに相當する場面。極端に言ってしまえば、それ以外のすべてが、その瞬間をみせるためだけの前置きに過ぎなかったと勘違いしてしまうような、それほどまでに強烈な【何か】を。
どちらかというと、キビキビとキレのあるきではない夕凪先輩だが、前半にも増してそのきはらかになっている。
ゆらりとを揺らすその姿はまるで、風に揺られる柳のように見えた。ディフェンスの足は相変わらずよくいている。こちらも前半よりも一層の激しさでついてきている……様に見えるが、なぜかするりとかわされる。タイミングをずらされる。
ディフェンスが、力めば力むほど、それを逆手に取るかのように位置をずらされる。
ぬるりとかわされたディフェンスはファールすることも葉わない。
本來カバーディフェンスをすべき相手プレーヤーも、夕凪先輩が抜いてくるタイミングが把握できていないようで、全く対応できていない。
次々とシュートを沈めていく夕凪先輩。第三クォーターの終了間際、とどめと言わんばかりにスリーポイントシュートまで軽々と決めてしまった。
「す、凄すぎる。一何點とったんだ……?」
「やばかったね……ほんとに凄い……」
「これって、夕凪先輩は前半は本気を出してなかったってことですか?」
「いや……そんなつもりはないんだろうけど……ただ、ハーフタイムのミーティングで何かあったのかも」
何か……その何とはいったいなんなのか。確かに後半戦のスタート時、夕凪先輩の顔つきは明らかに前半とはちがっていた。
気迫、とはし違う。集中……ともし違う。なんと表現したらいいか。
「覚悟……エースとしての自覚……」
お隣さんの呟きに妙に納得してしまった。と同時に、本當に今更だけど、この人が何者なのか、興味を抑えきれなくなった。
「あの……あなたの名前をお聞きしてもいいですか?」
「名前? そういえば自己紹介がまだだったね。私の名前は、星宮弓月。ただの桜ちゃんのファンだよ」
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