《代わり婚約者は生真面目社長に甘くされる》7 代わりとして同棲中!
黒い影が手の中から寶が奪いとる。
私は取り戻そうとして必死に追いかけ、手をばす。すると足元がガラガラと崩れて真っ逆さまに落ちた。
はるか上で誰かがんでいる。
ああ。泣かないで。笑って……。
「ぎゃんっ!」
ベッドから落ちて目が覚めた。ついでに悲鳴もあげて。
そんなに高さは無いものなので大きなダメージはないが、意識がない間に落ちたというショックは大きい。
ここは……ああ。悠馬さんの家だ。
いや、同棲している家か。今日で四日目。
しばらく床に寢転がり息を整える。そうして、またか…と冷靜になりつつある頭で振り返る。
実のところ、夢を見てベッドから落ちるのは昔からあるのだ。寢相が悪すぎるといえばそれまでなのだが。
夢の容はほとんど覚えていない。ただ焦りにも似たがわずかに記憶にこびりついているだけだ。
だけど、今日は……。
「はじめてちゃんと覚えてる……」
ひとりごちる。
何かを奪われて、それを追いかけていたら落ちた。前々から思っているのだがこれは私の傷にも関係があるのでは無いだろうか。
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傷の出來た理由を両親は話したがらない。なんとなく口止めされているようだと分かってからは聞かなくなったし、興味もそこまでなかった。犯罪が絡んでたら怖いけどそういう事ではなさそうだし。
……うーん、だとしても漠然としすぎだ。黒い影、寶、崩れる足場。象的すぎてさっぱりである。夢占いしたら散々な容が出てきそう。
それにどうして今、はっきりと思い出したのかな……。
もやもやしつつ時計を見ると目覚ましのセット時刻より10分早い。私は頭を振りながら起き上がる。背中が痛かった。
ふらふらと寢室のドアを開けるとーー悠馬さんが立っている。私と悠馬さんは寢室が違うのでおやすみからおはようまでは別々だ。
「わぁーっ!?」
素っ頓狂な聲を上げる。
そんな私へ、彼は構わず挨拶をした。
「おはようございます」
「あ、おはようございます…」
ではなくて!
「な、ど、どうしたんですか」
「いえ。すごい音がしたので大丈夫かと思い様子を伺いに來ましたが…いかんせん、朝のの部屋なのでどうしたものかと思っていまして」
デリカシーのある人だ…。
そこでハッと髪のを押さえる。ボサボサだ!
部屋著だし! まだこんな姿を見せられるような関係ではない!
「リビングでまた會いましょう!」
意味の分からないことをびながら私は部屋に引っ込み著替え、そこから洗面所へ飛び込んだ。
顔を洗い、髪を梳かす。本條家の呪いともいうべき頑固なうねりを黙らせていつもの髪型にセットした。
…うん、なくとも同居している人には見せられる姿になったのではないか。
私は醜態を曬してしまったことを恥ずかしく思いながらリビングへる。いい匂いがキッチンから漂ってきている。
「スクランブルエッグです。食べますか?」
「そんな、毎朝作ってもらわなくても…」
私たちが同棲する上で、相手にあまり干渉しないことを決めた。どこへ行くのかとか、何をしているのかとか。
行をすべて把握するほど私は彼を縛るつもりはない。浮気はちらりと気にならなくもないが、信用が売りの悠馬さんが早々やらかしはしないだろう。
そして食事。帰る時間がバラバラなことが多いので相手を待たなくても良いことにした。
まあつまるところ、一つの家で一人暮らしが二人いるようなものだ。ーーと、認識していたのだが。
「一人作るのも二人作るのも同じですよ」
家を出る時間がほとんど同じ私たちは、同じような時間に起床する。自然、朝食も一緒となる。
初日を除いて今日まで三日間、悠馬さんは私の分まで用意してくれているのだ。しかも味しいので斷れない。
とりあえず飲みだけは出さないととお茶とオレンジジュースをテーブルに置く。
準備が終わると私たちは席についた。
「いただきます」
「いただきます」
トーストされた食パンがさくりと軽い音をたてる。
私のお気にりのパン屋で買ったものだ。おととい思わず力弁してしまった。
「さっきはどうされたんですか?」
「ああ…いやあ…落ちてしまって」
「落ちた?」
何故か一瞬、言葉が固くなった。
なにか引っかかることでもあるのかな? 私はの中で首を傾げながら答える。
「ベッドからですね。昔から寢相が全然良くなくて……」
つばきと小さい頃に一緒に寢ていると必ず蹴飛ばしてしまっていた。
何度もそんなことがあり、「もうあやめとは寢ない!」と言われたな…。結局寂しくなって同じ寢床に來ていたけれど。
「ああ…、そうですよね。普通に考えればそうか…」
「?」
どうしたんだろう。難しい顔をしてしまって。
寢相がイメージできないとか。そんなことはないか。
私はスクランブルエッグを口にれる。ふわりとしたが舌に広がる。味しかった。
いいなあ、毎日でも食べたい味だ。
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