《代わり婚約者は生真面目社長に甘くされる》37
「仕事が早く終わった」
悠馬さんは生真面目な顔をしながら帰宅してきた。
「書いわく、君が來てから仕事のスピードが変わったらしい」
東さんの言うことは間違えていなかったらしい。嬉しいやら照れるやら、だ。
「忘れを持ってきてくれて本當に助かった。ありがとう」
「ううん。間に合ってよかった」
テレビの橫に置かれたテディベアを見つけ、彼は表を緩めた。
時間が合ったら繕ったり綺麗にしてあげようと思っている。狀態は良く、かびている部分もない。
「こんなこともあるんだな。二度と會えないと思っていたよ」
「私は、忘れていたけれどね。申し訳ないけど……」
「でも最後には思い出してくれたじゃないか」
私の額の髪をかき分け、彼はを落とす。
こそばゆくて私はくすくすと笑い聲をらした。
「ご飯食べよ?」
「ああ」
二人で夕飯を用意する。
つばきのために用意された生活が、いつの間にか私の生活になっている。
幸せだと思う一方でいいのかなと重いが首をもたげる。
幸福をじる裏で、後ろめたさに苛まれていく。
「どうしたの?」
「ん? なんでもない」
この気持ちを吐きだせる日はいつになるのだろうか。
日常となった夕食の席で、あの時泣いていた理由を聞く。思い出したので知ってはいたけれど、小さなころの記憶なので合っているか自信がなかったのだ。
「母さんはもともとが弱い人でね。俺が十一迎える前に亡くなった」
「そうだったの……」
「俺が小學校るまで持たないと言われていた人だったから長生きしたと思っている。だけど悲観的ではなくて、明るくて――豪膽な母親だった」
辛かっただろうにな、と悠馬さんはし悲しそうにつぶやいた。
「それと『大丈夫?』と聞くと必ず『大丈夫じゃない』と返してきた。機嫌がいい時も調が悪い時も」
私を見て、目をわずかに細める。
「『大丈夫』といえばみんな安心して離れていく。だけど、そう言っている人間ほど大丈夫ではないから、傍にいてやりなさいと母さんは何度も繰り返して言っていた」
「……どうりで」
「本當に大丈夫そうではないのに『大丈夫』と繰り返すのは君が初めてだったけどね」
「う」
だって心配されたくなかったんだもの……。
「そんな母さんが亡くなって、しばらく忙しくて泣きもしなかったんだけれどパーティー會場で好き勝手言われたのがたまらなく嫌で、泣いてしまったんだ。知らない人に同されるほど俺の母さんは弱くなかったし、俺はかわいそうではないって」
「あの時、ぜんぜんそんなこと考えてなかった……」
「まだ小學校はいるかどうかぐらいだっただろう? むしろそこまで察していたら怖いよ」
ああ、理解できないと思ってい私に溢していたのかもしれない。
を吐き出さずにはいられなかったのなら。
「結果的に、君を傷つけてしまったけれど……」
「後悔はしていないよ、私は」
し強めに私は口をはさむ。
「テディベアをあなたに渡したことも、落ちそうになる手を引っ張ったことも、後悔していない。今だってそう。傷にはもちろんコンプレックスはあるけど、傷を作った原因に恨みを抱いてはいないよ」
本當のことだ。
思い出せなかったというのもあるが、「どうして私に」と思ったことはなかった。
周りからいろいろ言われるのはそりゃあ嫌だったけれど……。
「それに、悠馬さんが気付いてくれた。――私は、泣いていた男の子を救えた?」
「……うん。笑って、ここにいる」
「それでいいの」
なら、あの時の私の行には意味があったという事だから。
まさかあの男の子がこうなっているとは想像もしなかったけれどね……。
お皿を洗い、水を止めたタイミングで悠馬さんは若干目をあさっての方向に泳がせながら言う。
「これから……どうかな」
思わずお皿を落としかけた。
そんないたたまれないじで言われても。こちらまで気まずくなってしまうではないか。
「いいよ」
ちょっと目を合わせられなかった。
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