《冷たい部長の甘い素顔【完】》第11話 部長の車で

私が、部長を追いかけて駐車場に付いて行くと、部長は助手席のドアを開けて待っていてくれた。

円が4つ並んだシルバーの輸車。

「どうぞ」

部長に促されるまま、私は助手席に乗り込んだ。

無言で走り出した車の助手席で、私は妙に落ち著かなくて、部長の顔を眺める。

やや面長で整った顔立ちは、やはりカッコいい。

長い手足に細の長

だけど、ジャケットをいで腕まくりをしたワイシャツの袖口からは、筋張った筋が見える。

筋トレとかしてるのかな?

「くくっ

そんなに見たら、が開くだろ?」

部長は、私をチラッと見て、楽しそうに笑った。

っ!!

笑った!?

「部長、笑うんですね!?」

私は思わず、口にしてから、後悔した。

しまった!

いくらなんでも、これは失禮だよね。

だけど……

「くくっ

お前は、俺を何だと思ってるんだ?

仕事を離れれば、俺だって笑う事位ある」

部長は、笑顔のまま。

「すみません。

あまり部長が笑ってるイメージがなかったもので……」

私がし消沈して言い訳をすると、

「まぁ、會社では、そうかもな」

と軽く流してくれた。

あれ!?

なんか、意外と部長、話しやすくない!?

もともと人と垣を作るのが苦手な私は、すぐに調子に乗る。

「ねぇ、部長。

今から、どこに行くんですか?」

私が笑顔で尋ねると、

「腹減ったから、メシ」

と、ぶっきらぼうな返事が返ってきた。

「どこですか?

私、あんまり手持ちがないんで、出來れば、リーズナブルな所がいいんですけど……」

お財布の中には、確か三千円くらいしかってないはず。

すると、部長は堪えきれないと言うように、笑い出した。

「くくくっ、

お前、面白いなぁ。

俺にそんな事言う奴、初めて會った」

「え?

私、変な事、いいました?」

あ、もしかして、調子に乗りすぎた?

「いや、別にいい。

金は気にするな。

奢ってやる」

部長は、一瞬、ちらりとこちらに視線を向けて言う。

「えっ!?

いいんですか!?

やったぁ!

じゃあ、高くてもいいですよ」

私がにこにこすると、部長はさらに笑う。

「くくくっ

お前、そこは普通、

『えぇ!?   いいです。払いますよ〜』

って言うとこじゃねぇの?」

あれ? 部長、話し方がしくだけてきた?

「部長は、そういうワザとらしい遠慮するが好みなんですか?」

私は、そういうタイプ、苦手だなぁ。

「いや、思ってもいない事を言う奴は苦手だ」

部長は、左にハンドルを切りながら答える。

「じゃあ、いいじゃないですか。

の子は誰だって、奢ってもらえたらラッキーって思ってますよ」

自分で払いたいなんて、変なこだわりを持ったフェミニストくらいだと思う。

「くくっ、正直だな」

そう言いながら、車は靜かに減速する。

「はい!

それが私の唯一の取り柄ですから」

「くくくっ」

部長が笑みをこぼす一方で、車は、ゆっくりと歩道の段差を乗り越え、駐車場にる。

ふと見ると、部長は、なんだか、もう、笑いが止まらなくなったみたいに笑っている。

部長、冷徹で強面だと思ってたけど、笑うと雰囲気がらかくなるのね。

それにしても、私、そんなに変な事、言ったかなぁ。

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