《冷たい部長の甘い素顔【完】》第15話 歓迎會なんて
晝休み。
「ちょっと、爽、どういう事!?」
社員食堂で真由が聲を潛めて聞いて來た。
「何が?」
真由が何に怒ってるのか、訳が分からなくて、私は首を傾げる。
「歓迎會よ! やらなくていいって本人が言ってるんだから、やらなきゃいいじゃん!」
真由は、憤慨したように答える。
「えぇっ!? だって、それじゃあ、みんな部長の事、怖い人だと思ったままでしょ? 私、昨日、喋ったけど、そんなに怖くないよ?」
みんなも話してみれば、絶対に印象が変わるはず。
「そりゃ、爽だから!」
「へ?  何、それ?」
真由ってば、何に怒ってるの?
「爽ってば、社長にだって平気で話しかけるでしょ!?」
真由は呆れたように言う。
「まぁ、だって、社長、気さくでいい人だよ?」
部長に比べたら、誰だって話しかけやすいじゃない。
「それが変なんだって。普通は、社長なんて、雲の上の人だから、會釈して通りすぎるだけで、會話なんて向こうから話しかけてこない限り、しないよ?」
真由は、さも當然とばかりに主張する。
「えぇ〜!? そんなの私が社長だったら、寂しいからヤダなぁ」
私はお椀を持って、みそをひと口飲む。
「だから、その覚を私達に押し付けないで! ムリだから!」
うーん、そんなに嫌なのかぁ。
「大丈夫だって。もし、無理なら、真由は服部さん達男陣と喋ってればいいよ。私が部長の相手してるから」
私は、妥協案を示す。
「………ほんとに?」
真由は箸を止めて、じっと私を見つめる。
「うん」
「あとで恨まない?」
くすっ。
恨むって……
そんなことするわけないのに。
「全然!」
「約束だよ?」
ふふふっ、こういうところが、かわいいなぁ。
「おっけぃ」
真由はなんとか了承してくれた。
あとは男陣ね。
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