《冷たい部長の甘い素顔【完】》第20話 お先に

すると、部長が口を開いた。

「無理しなくていい。送ってやる」

部長は、そう言うと、立ち上がって私の腕を取り、私を引き上げる。

「え!?」

私が驚いていると、

「園部の調が悪そうなので、今日は先に失禮する。後はみんなで楽しんでくれ」

と、聲を掛け、ポケットから財布を取り出し、一萬円札を2枚、スッとテーブルに置く。

そうして、そのまま足もとに置いてあった私のバッグを左手に持ち、右腕で私を支えるように歩き始めた。

「えっ? あの、部長!?」

部長は、戸う私に構うことなく、そのまま強引に外へ連れ出す。

店の外に出て、歩き始める部長に、

「部長! 待ってください! どういう事ですか!?」

私は尋ねるけれど、部長の足は止まらない。

腕を摑まれたまま、どんどん連れていかれる。

「部長!」

店からし離れた所で、私がし聲を荒げると、部長はようやく足を止めた。

「あいつらは、俺がいない方が、楽しく飲めるだろ?」

そう言って、また私を連れて行く。

「どこに行くんですか!?」

送ってやるって言うけど、部長は、私の家を知らないじゃない。

「飲み直す」

「え?」

私たちは、いつの間にか駅前まで來ていた。

部長は、戸う私を連れて、駅前の綺麗な複合ビルへとっていく。

何?

ここ、どこ?

う私に構うことなく、エレベーターに乗り込んだ部長は、最上階のボタンを押す。

「待ってください! 私、行くなんて、言ってませんよ!」

私は抗議するけれど……

「俺と飲むのは嫌か?」

そう尋ねた部長は、摑んでいた腕を離すと、そのまま私の髪にそっとれた。そのままひと筋を指に絡める。

部長の真っ直ぐな目に見つめられると、どうしていいか、分からなくなる。

「別に、イヤ……なわけじゃ、ありませんけど……」

私がボソボソと答えると、部長は緩やかに微笑んで言った。

「じゃあ、行こう」

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