《冷たい部長の甘い素顔【完】》第32話 一生

店にると、店員さんに注文したついでに、由香を呼んでもらった。

「爽、どうしたの?」

香は、不思議そうに首を傾げる。

そうだよね。

合コン以外で來たことないし。

知らない男の人と一緒だし。

「忙しい時間にごめんね。

香に紹介したくて。

秦野將軍はたの しょういさん。

付き合う事になったから、もう合コンには來られないって、言おうと思って」

私がそう言うと、由香は目を輝かせて喜んだ。

「良かったじゃん!

秦野さん、爽をよろしくお願いします。

爽、ほんとにいい子なんで、大切にしてやってくださいね」

香が將軍さんに太鼓判を押してくれる。

こういう世話焼き上手なところが、店長としても生きてるんだろうな。

「はい。もちろん、一生大切にしますよ」

將軍さんは、さらっと當然のように口にする。

でも、今、一生って言った!?

それって……

「將軍さん?」

「秦野さん!

それって、爽と結婚を考えてるって、事ですか?」

私より先に由香がまくし立てる。

「俺はね。後は、爽次第かな?」

ほんとに!?

だって、私たち、昨日、付き合い始めたばかりで……

私は、どうしていいか分からなくて、下を向いた。

「爽、良かったじゃん!」

香はポンと私の肩を叩く。

「ふふっ、

爽、照れてるの?

耳まで赤いよ」

「だって……」

私は、上目遣いでちらっと將軍さんを見る。

將軍さんは、優しく微笑んでいた。

「じゃ、ごゆっくりどうぞ」

香は私たちに気を遣って廚房へ戻って行った。

「將軍さん?」

「ん?」

「私たち、昨日、付き合い始めたばかりなんですけど……」

私がそう言うと、將軍さんは優しく微笑む。

「そうだな」

「それで、その、結婚っていうのは……」

ちょっと早すぎない?

いや、決して嫌だとか、そういうわけじゃないんだけど。

「別に今するって言ってるわけじゃない。

これから付き合って、爽が俺と一生一緒に過ごしてもいいって、思えたら…って事だから」

「はい……」

確かに、そうかもしれないけど……。

でも、將軍さんは、私なんかでいいの?

まだ、良いところも悪いところも、お互いに全然知らないのに……。

私は、恥ずかしくて、照れ臭くて、つい、俯きかげんで、もじもじしてしまう。

すると、後ろから聲が掛かった。

「將軍しょうい!」

振り返ると、いつもここで將軍さんと飲んでた人の1人だった。

「田代……」

そう呟いて、將軍さんは頭を抱えた。

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