《冷たい部長の甘い素顔【完】》第35話 好きが止まらない

私たちは、食後、DVDを借りにレンタルショップへ來た。

私は、今、話題の純と、昔、見損ねたジャパニーズホラーを手に取り、將軍さんに見せる。

「どっちがいいですか?」

「お前、すごい二択を出してくるな。」

將軍さんは、苦笑いをこぼす。

「え?   そうですか?」

どっちもおもしろそうだと思ったんだけど……

それでも、將軍さんは、両方借りてくれた。

將軍さんは、マンションの地下駐車場に車を止めると、私の手を引いてエレベーターに乗った。

5階のボタンを押し、繋いだ手の指を絡める。

ふふふっ

何度目か分からない將軍さんの手が、心地いい。

將軍さんに「どうぞ」と促され、部屋に上がる。

ぅわぁ……

全てがきちんと整理整頓され、塵ちりひとつ落ちてない。

幾帳面っていう噂は、本當なんだ……

どうしよう。

困った私は、正直に打ち明けることにした。

「將軍さん、お話しておかなければいけない事があります」

私は、上がり框かまちに立ち盡くしたまま、聲をかける。

「何だ? 改まって。なんだか、怖いな……」

將軍さんは、振り返って、怪訝けげんそうに私を覗き込む。

ふぅぅっ

私は、深呼吸をひとつして話し始める。

「実は、私、掃除と片付けが、大の苦手なんです。だから、將軍さん、私の雑然とした部屋に來たら、きっとがっかりして私の事を嫌いになると思います。

將軍さんは、將來の事も考えてくれてるみたいですが、私と住んだら、將軍さん、きっとイライラし通しだと思うんです」

言っちゃった……。

これで、全部終わっちゃう。

だった2日間。

短い幸せだったな。

けれど……

私の顔をじっと見て、真剣に話を聞いていた將軍さんは、突然、大聲で笑った。

「あはははっ

神妙な顔して、何を言うかと思えば。

そんなの得意な方がやればいいだけだろ?

爽が片付けられないなら、爽が散らかす側から、俺が片付けてってやるよ」

將軍さんは、言いながら私の頭をくしゃりとでる。

「でも……」

私が言い淀むと、

「だいたい、爽が大雑把なのは、見てれば分かる。でも、だからって、爽の良さは、それぐらいじゃ、なくならないよ」

そう言った將軍さんは、頭の上の手をそのままするりとらせて、私の頬にれた。

「ほんとに私でいいの?」

私は、將軍さんを見上げながら尋ねる。

すると、將軍さんは、

「爽じゃなきゃ、ダメなんだ」

と言って、ぎゅっと抱きしめてくれた。

良かった。

もう、ダメかと思った。

別れる覚悟もしていた私は、幸せな気持ちで將軍さんの背中に腕を回して、ぎゅっと抱きしめ返す。

どうしよう。

毎日、1分1秒ごとに、どんどん、將軍さんを好きになってく。

好きが止まらないよ。

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