《冷たい部長の甘い素顔【完】》第39話 部長の眼差し

私は、新たに加わった定例業務を含めて、必要な資料を出力して、將軍さんの所へ持っていく。

「部長、先週分のデータです。

確認をお願いします」

私が資料を手渡すと、將軍さんは、

「ありがとう」

と私の目を見て微笑んでくれた。

會社で冷たい銀縁眼鏡越しに微笑まれると、いつも以上にきゅんきゅんする。

仕事中なのに、『將軍さん、大好き』の気持ちが膨らんで、ふわふわと舞い上がりそうになる。

私は、ミスをしないよう、気持ちを引き締めるため、コーヒーをれに行った。

自分の分のついでに、全員分のコーヒーをれて席に戻る。

「部長、どうぞ」

私がコーヒーを部長席に置くと、將軍さんはまた、

「ありがとう」

と微笑んでくれる。

どうしよう!?

私、キュン死するかも!?

ニヤつきそうになる頬を引き締めて、他の人のコーヒーを配って、席に著く。

すると、真由がまた椅子を近づけて、小聲で話しかける。

「爽、今、部長、笑ってなかった?」

………

真由、気づいたんだ……

どう思ったかな?

「うん。

ちょっと、表らかかった気がするよね」

私は、さりげなくごまかす。

「爽って、何気にすごいよね」

真由はちらりと部長に目を遣る。

「え?   何が?」

まさか、付き合ってること、バレてる?

「相手の懐にるのが、うまいというか、心を開かせるのがうまいというか……」

これ、バレてないよね?

「ふふっ、

私は、傍若無人な無禮者だからね。逆に遠慮なく踏み込んで、引かれる事もあるよ」

子供の頃から、いつもそうだった。

人懐っこいと言ってくれる人も大勢いたけど、うるさいと口を言われることもあった。

まぁ、気にしても仕方ないことだけど……。

その後、部長はいつも通り、冷たい視線で、部を凍りつかせながら、きっちりと仕事をしていく。

この公私の切り替え方はすごいなぁ。

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