《冷たい部長の甘い素顔【完】》第40話 社長とランチ

晝休み。

私は社員食堂で、真由と取り留めもない話をしながら、お弁當を食べていた。

すると、後ろから私を呼ぶ聲する。

「園部さん」

振り返ると、そこには社長が立っている。

「社長! こんにちは。

社員食堂でお會いするなんて、珍しいですね」

社長は、晝も會食があることが多くて、ここにはあまり來ない。

「あぁ、この後、會議だから、簡単に食事をと思ってね。隣、お邪魔してもいいかな?」

社長は食事の乗ったトレイを持って尋ねる。

「もちろんです! どうぞ」

私は、箸を置いて、目の前の席に手を差し出して勧める。

「それにしても、社長、相変わらずお忙しそうですね。無理せず、おだけは、大切になさってくださいね」

私がそう言うと、

「ありがとう。

園部さんぐらいだよ、そんな風に気遣ってくれるのは」

と社長は腰掛けながら笑顔で答える。

「いえいえ、そんなはずありませんよ。

皆さん、直接、口に出さないだけで、心配なさってますよ」

それこそ、真由が言うみたいに、話しかけられないだけの人もたくさんいるに違いない。

私の言葉を聞いて、社長はにこにこと微笑む。

この人好きのする笑顔が、社長の魅力なんだろうなぁ。

「そういえば、園部さんは企畫部だったね。

部長が変わったけど、その後、どう?」

社長はお味噌を飲みながら尋ねる。

突然、將軍さんのことを聞かれて、心、焦ったけれど、私は、出來るだけ平靜を裝って答えた。

「きっちり仕事をなさる方なので、信頼してついていけます」

うん、大丈夫。

ちゃんと普通に話せてるはず。

「そう。うまくやっていけそう?」

「もちろんです。

厳しい所もありますが、きちんと褒めてもくださるので、やりがいがあります」

私は、今朝のことを思い出しながら、答える。

すると、社長は嬉しそうに笑った。

「よかった。

園部さんなら、秦野部長のいい所もちゃんと分かってくれると思ってたよ」

社長は、食事をしながら、話を続ける。

「これは、緒の相談なんだけどね」

し聲をひそめた社長は、周りを気にしながら尋ねる。

「秦野部長にいい人いないかな?」

「え!?」

私は、思わず、飲んでいたお茶を吹き出しそうになった。

「秦野くん、もう35だし、いい子だから、そろそろ幸せになってしくてね〜」

「はぁ……」

ふふふっ

社長にかかると、將軍さんも『いい子』扱いなんだ……

でも、まさか、ここで私と付き合ってます…と言うわけにもいかず……

「部長は、イケメンですから、もうお付き合いされてる方がいらっしゃるんじゃありませんか?」

とごまかした。すると、社長は、さらに

「園部さんも、秦野くんはイケメンだと思う?」

と尋ねる。

「はい。ねぇ、真由?」

と私は、社長が何を言いたいのかよく分からないまま真由に振る。

すると、真由は焦って、

「はい」

と一言だけ、答えた。

「そうか、そうか」

なぜか、社長はご機嫌で答えて、食事を続ける。

何なの?

將軍さんが社長を尊敬してるのは分かるけど、社長も將軍さんを特別にかわいがってるじ?

そして、社長は、あっという間に、日替わり定食を完食して、

「ごちそうさま。園部さん、またね」

と去っていった。

將軍さんがイケメンなのは、社でも評判なのに、なんで今さらそんなことを聞いて嬉しそうにするのか、さっぱり分かんない。

將軍さんも社長をすごく尊敬してたし、長年の絆みたいなのがあるのかな。

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