《冷たい部長の甘い素顔【完】》第41話 服部さんと

・:*:・:・:・:*:・・:*:・:・:・:*:・

10月10日    水曜日

・:*:・:・:・:*:・・:*:・:・:・:*:・

2日後の水曜、18時。

「お先に失禮します」

仕事を終えた私は挨拶をして、席を立つ。

特に予定もなく、私が、駅までの道をのんびり歩いていると、

「爽ちゃん!」

と後ろから呼ばれた。

振り返ると、駆け寄ってくる服部さんの姿が目に留まった。

「お疲れ様です。もう上がりですか?」

服部さんは、いつも遅くまで殘業してるのに。

「うん」

原さんは、にこにこといつものように笑顔で返す。

「今日は、珍しく早いんですね」

服部さんは、たいてい全ての店舗の営業が終わる時刻まで會社に待機している。店舗側でシステムエラーなどがあった時に、すぐに対応するために。

「うん。今日は、山下たちが殘ってくれるから、たまにはね」

服部さんは社6年目の30歳。

山下さんは社4年目の28歳。

同じ部署の先輩たちだ。

「爽ちゃん、今日、予定ある? 俺、腹ペコなんだけど、飯、付き合ってくれない?」

服部さんは、軽く尋ねる。

「え?   別に予定はありませんけど……」

同僚が、仕事帰りに何気なく食事にう。

それは、よくあること。

だけど、この前、真由に言われた事が、頭をよぎる。

『服部さん、絶対、爽の事、好きだよ』

「奢るから、ちょっとだけ付き合ってよ」

でも、同僚に軽くわれた食事を斷るのは、なんとなく角が立つ。

ま、真由の思い過ごしかもしれないし、気にする程の事でもないかな?

「いいですよ〜。どこ行きます?」

駅に向かって歩きながら、尋ねる。すると、

「爽ちゃん、食べたいある?」

と、逆に聞き返されてしまった。

「んー、そうだなぁ……

今日は、さっぱり和食よりは、ガツンと洋食な気分かなぁ」

と私が答えると、

「じゃあ、なんて言ったかな? 駅の反対側に新しくできたイタリアンのお店は? 俺、気になってたんだけど、殘業後に男3人で行く店じゃない気がして、行けなかったんだよね」

と笑って提案する。

3ヶ月ほど前にオープンしたそのお店は、カップルや子に大人気の行列店。

確かに、男3人で行くのは、ちょっとハードルが高いかもしれない。

「んー、いいですけど、予約なしでれるかなぁ? あ、今、電話してみましょうか?」

私はスマホを取り出す。

ネットで店名を検索して、電話をかけてみる。

「すみません。

今から2人なんですけど、れますか?」

私が尋ねると、店員さんはすぐに答える。

『申し訳ありません。

現在、3組のお客様がお待ちになっていらっしゃいまして、今すぐというわけにはいかないのですが……』

3組かぁ。

それくらいなら、待っても大丈夫かな。

「分かりました。

申し訳ありませんが、4組目に『園部、2名』と記してはいただけませんか?」

私は、ダメ元でお願いをする。

『はい、かしこまりました。

お待ち致しております』

幸いにも、店員さんはすぐに了承してくれた。

良かった。

私は電話を切ると、服部さんに説明する。

「服部さん、待てます?

嫌なら、キャンセルして、別のお店でもいいですよ」

と私が尋ねると、服部さんは、

「いいよ。それくらいなら待つよ。

爽ちゃんとなら、待ってても楽しそうだし」

と笑った。

私たちは、取り留めのない話をしながら、駅構を通り抜けて、店に向かう。

服部さんは、紳士だ。

いつも周りを気遣って、角が立たないように気を配っている。

今も、私が退屈しないように、々な話を振ってくれている。

優しい人だなぁ。

    人が読んでいる<冷たい部長の甘い素顔【完】>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください