《冷たい部長の甘い素顔【完】》第42話 レストランにて

店に著いて、30分程、取り留めのない話をしていると、店員さんがやってきて、席へと案される。

「爽ちゃん、飲むだろ?」

メニューを広げた服部さんは、さも當然のように尋ねる。

「え?

食事だけのつもりだったけど」

私が答えると、

「爽ちゃん、この間の歓迎會で全然飲めないまま帰っちゃったから、代わりに飲んだらいいよ」

と服部さんはにこやかな笑みを浮かべて言う。

「そう?

服部さんは、飲むの?」

私1人で飲むのもなぁ……

「俺は、爽ちゃん程、強くないけど、1杯位、飲もうかなぁ。ワインをボトルで頼んで、俺1杯で、殘りを爽ちゃんで、どう?」

服部さんは、乗せるのがうまい。

「ははっ、うん、いいよ」

私が答えると、服部さんはメニューをめくる。

「じゃあ、メインは後にして、まずは、つまみになりそうな料理を頼もうか?」

「うん」

服部さんは、ワインと単品料理をいくつか頼んでくれた。

「爽ちゃん、歓迎會の日は、部長に家まで送ってもらったの?」

ワインを飲みながら、服部さんが尋ねる。

あの後、飲みに行ったなんて言えないよね。

「うん。タクシーで送ってくれたよ」

途中、バーに寄った事は、省略して話した。

噓はついてないから、いいよね?

調悪いなら、言ってくれれば、俺が送ったのに」

服部さんは、まっすぐにこちらを見て言うので、真剣に心配してくれてた気持ちが伝わってくる。

「ありがとう。でも、大丈夫だったから。

部長、ああいう席、苦手そうだから、私をダシにして、抜け出したかったんじゃない?」

私は、そうごまかした。それを聞いて、

「ああ、そうかも」

と服部さんが笑ってくれたので、しホッとする。

「それにしても、爽ちゃんはすごいよね」

服部さんは、カプレーゼをつまみながら話を続ける。

「ん?   何が?」

 

「爽ちゃん見てると、秦野部長、怖くないのかもって気がしてくるからさ」

服部さんは、くすくすと笑う。

「ふふっ、

みんな怖がりすぎだって。

部長、仕事に真面目で厳しいだけで、全然怖くないよ」

本當はすっごく優しいんだから。

「そういうとこが、爽ちゃんのいいとこだよね」

服部さんは、褒め上手で、いつもこうしてなんでもないことも、褒めてくれる。

優しい人だよね。

「そんなに褒めても、何にも出ないよ」

私は照れ臭くて、笑ってごまかした。

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