《冷たい部長の甘い素顔【完】》第44話 もし……

「そうか……

もし、俺がもっと早く言ってれば、結果は変わったのかな?」

將軍さんに出會う前なら、違ったのかな?

……ううん、違わない。

だって、別れてすぐの頃の私は、もう2度とはしないって、決めてた。

一生、獨で、仕事をがんばるって。

將軍さんと出會ったから……

將軍さんだったから、もう一度、男の人を好きになれた。

將軍さんじゃなければ、やっぱり、合コン相手と同じように斷ってたはず。

「多分、同じだと思う。私は、もう男の人を好きにならないって、決めてたし、付き合ったり、結婚したりしないって決めてたから」

私は、出來るだけ、真摯に思いを伝える。

「今の人を好きになったのも、奇跡だと思うの。だから、他の人のことは、考えられなくて……」

服部さんは、し悔しそうに顔を歪ませる。

「ふっ、そんなに好きなんだ……。

でも、俺は爽ちゃんの事、諦められそうにないよ。

でも、明日からは、ちゃんとただの同僚として、普通に振る舞うから、安心して」

それを聞いて、私はこくんとうなずいた。

「だけど、俺が爽ちゃんの事、想ってるって事は、覚えておいて。いつか、爽ちゃんの気持ちを変えてみせるから」

えぇ!?

諦めてくれないの〜?

さっき、會社では普通に振る舞うって言ったのに。

「そんな事、言われても、困るよ……」

服部さんが、どんなに頑張っても、その思いに応えることはできないんだから……

「困るって事は、ちょっとは意識してくれてるって事でしょ? たくさん、困ってて」

服部さんは、優しく笑う。

でも、そうじゃないよ。

申し訳ない気持ちが募るばかりで、応えられないから、困るんだよ。

でも、そんなこと、本人には言えなくて……

これ、將軍さんに、なんて言おう?

っていうか、言った方がいいのかな?

緒にした方がいいのかな。

「今日は、付き合ってくれて、ありがとう。

送るよ」

服部さんは、すっきりした顔で、伝票を持って立ち上がった。

「え?

いいよ、まだ、電車あるし」

送ってもらうなんて、余計に申し訳ない。

けれど……

「俺が送りたいんだ。家まで送らせて」

結局、私は斷りきれずに、服部さんに送られて、家に帰った。

「爽ちゃん、おやすみ」

「おやすみなさい……」

服部さんは、私に指一本れる事なく、きっちり送ってくれて、そのまま帰っていった。

服部さんを好きになることはできないけど、それでも、やっぱり、紳士だなぁ……

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