《冷たい部長の甘い素顔【完】》第53話 2人で出勤

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10月16日   火曜日

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翌日。

私たちは、將軍さんの車で一緒に出勤した。

「おはようございます!」

私の無駄に元気な聲が閑散としたオフィスに響く。

將軍さんは、いつも定時より1時間ほど早い時刻に出勤している。

だから、今日も數える程しか人はいない。

だけど、その誰もが、何か言いたげな視線を私たちに投げかけてくる。

何も言わないけど、その視線が語ってる。

やっぱり特別な関係なんだ。

一晩、一緒だったんだ。

……と。

居心地が悪くなった私は、給湯室に逃げ込んだ。

將軍さんの分も含めて、2人分のコーヒーをれようと思うけれど、気が転してスプーンを取り落としてしまう。

こんなんで、今日1日大丈夫なのかな。

それでも、なんとかコーヒーをれて、席に戻り、

「どうぞ」

と將軍さんの席に置く。

見ていた書類から顔をし上げた將軍さんは、

「ありがとう」

といつも通りの優しい笑みを浮かべる。

すると、遠くから、

「おお〜!」

と微かな歓聲が上がる。

これは返って、火に油を注いでしまった?

なんだかいたたまれない。

私は、全て無視する事に決めて、仕事に取り掛かった。

30分程して、みんな続々と出勤してくる。

「おはようございます」

その都度、挨拶は返すが、みんな奧歯にが挾まったような顔で通り過ぎていく。

「おはようございます」

向かいの席に服部さんが座った。

「おはようございます」

私はいつも通り、微笑んで挨拶を返したが、服部さんから、目を逸らされてしまった。

「おはよう!」

いつも朝はローテンションの真由が、あり得ないくらい、にこにこと元気がいい。

「おはよう」

と返すと、

「今日、お晝、楽しみにしてるね」

と言われてしまった。

何を楽しみにしてるんだか……

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